[420](投稿)第三次予算案GoTo 1兆円

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3次補正でGo To予算1兆円 二階幹事長らは過ちを繰り返すのか

日本は、猛威を振るう新型コロナウイルスの対応に失敗した国だと言わざるを得ない。医療面では、人口あたりの病床数が先進国でも飛び抜けて多いにもかかわらず、重症患者やハイリスクの高齢者が病床不足で入院できない医療崩壊を招いた。さらに菅政権は、感染対策において大きな失敗をする。それは「Go Toキャンペーン」だ。

 推進したのは、全国旅行業協会会長で“観光業界のドン”である二階博・幹事長が最高顧問を務める「自民党観光立国調査会」だ。  会長は二階氏の“右腕”と呼ばれる林幹雄・自民党幹事長代理、事務局長は福井照・元沖縄北方相、事務局次長は二階側近の門博文・代議士と二階派議員が幹部に並ぶ。

 菅氏と二階氏は感染第2波が始まっていた昨年7月にGo Toトラベルを見切り発車すると、9月の総裁選で二階氏は菅氏を強力に支援して総理の座につけ、Go Toで旅行者が増えていた10月に二階派は盛大な政治資金パーティーを開催した。就任したばかりの菅首相が「二階会長をはじめ、皆さまに大変世話になった」と挨拶している。  Go Toトラベルは緊急事態宣言で停止期間が延長されたが、同調査会の面々は再開に動いている。菅首相が緊急事態宣言を発出した今年1月7日、二階氏や林氏ら同調査会幹部と官公庁、旅行業界幹部が自民党本部に集まり、宣言の解除後に早期にGo Toトラベルを再開するよう求める提言を決定。政府は第3次補正予算でGo Toに約1兆円の予算を追加した。

 二階氏が政治力によって菅首相を動かし、感染収束する前にGo Toトラベルを再開させれば、昨年の二の舞になりかねない。経済ジャーナリスト・荻原博子氏が語る。 「Go Toは本来、コロナ後の政策です。菅さんは感染防止と経済の両立というが、二階さんに総理にしてもらったから貸し借りで再開するというのは経済対策でもなんでもありません」 ※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号
(yahooニュース 2021・2・20より引用)

※※※ 与謝不遜のコメント

 菅政権が息子の「衛星放送」疑惑でもめて、総務省の幹部2人が更迭されました。泉宏氏はこの件で、次の予算の成立が怪しくなるという見立てをしています。全国旅行協会会長で「観光協会のドン」である、夜のステーキ会にもガースーを呼ぶ力を持っている二階博氏の思惑通りの「Go To 事業」予算が通るかどうかが目下焦眉の大問題です。

 せっかくやや落ち着いてきた新型コロナ感染者の数ですが、病床の逼迫はまだ改善されていません。ワクチンも果たしてオリンピック・パラリンピックの開催に効果をもたらすかどうかわかりません。

 また、旅行業界だけに1兆円をつぎ込むと、自粛要請を受けている飲食店など、多くの他の業態で働く人たち、正規雇用でも危なくなってきている時代ですが、とりわけ非正規の労働者が「雇止め」になって苦しむ。一人親はもっと苦しんでいます。女性の自殺者は幅広い年齢で大きな数字で増えています。この状況を考えれば、人から人へと感染するいわゆる「ヒト・ヒト感染」をもたらしやすい「旅行」は、今はしてはならないとおもいます。

 新型コロナ感染の拡大防止のためには、ワクチンが日本の全人口の7~8割に行き渡ることが必要です。その後には旅も、「他の人の感染させない、自分も感染しない」と安心できて、良いと思います。

 この原則を外すと、菅総理の続投は雲散霧消になると思います。このような政策は「政策でもなんでもありません。下策でもありません。悪策です」と付け加えておきましょう。

 ▲▲▲ コロナ来る県外からの客が来て落とすお金とコロナ感染

          アベノウタマロ 作

[419](寄稿)「広く、薄く」から「選択と集中」へ

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ペンギンドクターから続稿です。

皆様 またまたMRICからの情報を転送します。塩崎衆議院議員の1月22日の意見です。彼の意見はもうお馴染みであり、新鮮味はないかもしれませんが、具体的な数字が出ているので、私は興味深く読みました。「保守系」の政治家すなわち自民党の政治家にもそれなりに勉強し地道な活動を続けている人がいるのはちょっと救われます。「革新系」政治家も「文春砲」に頼らず地道に情報収集とそれによる発信を試みて欲しいものです。
 書棚にある若い時に買った本とともに、最新の新書もたまに購入していますが、駅ビルの書店を見る限りは、本当に信用していい内容なのか躊躇する本があふれていて暗い気持ちになります。私が信頼している保守系の「佐藤優」も、彼の『池田大作研究』を読んで、ちょっと抵抗を感じました。宗教を理解するためには、その「内在的論理」を知る、私なりに言い換えれば、自分の評価を殺して、池田大作の論理を辿っていくことが必要だ、ということはわかりますが、(佐藤優自身はカルヴァン派キリスト教徒ですから、そういう考え方が出てくる)結局それは研究でも何でもなく、池田大作を持ちあげている結果になっていると感じました。つまり創価学会公明党の応援部隊という結果になっているということです。また断片的な情報ですが、日本学術会議委員の任命拒否の問題で情報漏洩があり、それには日本共産党が絡んでいるということで、佐藤優赤旗との論争になっている・・・・・・と知り、佐藤優の論理が菅政権の行為を弁護する形になっていると感じています。
 佐藤優保守系評論家だから当然という考えもありますが、情報収集とその分析には公平であってほしいものです。彼はあの森元首相に重用された外交官です。今回のオリンピックにおける森発言を佐藤優はどうコメントするか、私には別の興味があります。
 と言ったわけで、政治的なことを云々し始めると、泥沼です。この辺でやめておきましょう。
 このところ、一気に暖かくなり、花粉が飛び出しました。私も3日前から抗アレルギー薬の内服を開始しましたが、先ほど朝7時半からの散歩では猛烈な「鼻水」と「くしゃみ」で、大変でした。帰宅して一時間ほどたち、ようやく落ち着いてきてこの文章を書いています。
 島根県知事が聖火リレーの中止を訴えたのは、なかなか骨があると思いました。地元では9割ほど県知事に賛成らしく、竹下派の竹下代議士の「県知事を呼んで注意する」という発言も話題になっていました。竹下さんは県知事選では現知事の対立候補を応援したとかいう話で、そういうことなら、今回のやり取りも納得と言えそうです。オリンピックをやるにしても3月の段階で無理に聖火リレーをすることはないと言うのが、私と女房の実感です。いろいろ聖火リレーには準備とお金もかかるのでしょうし・・・・・・。また政治的なことに逆戻りしました。
 前回、慈恵医大の大木隆生氏の発言を紹介しましたが、大木氏について調べてみました。その上で私のコメントを述べます。
Wikipediaからの抜粋です。
 大木隆生氏(1962年8月12日生まれ)
●1989年慈恵医大卒業・医師免許を取得し、東京慈恵会医科大学第一外科入局。
●1993年医学博士取得。
●1995年米国アルバートアインシュタイン医科大学モンテフィオーレ病院血管外科研究員。
●1998年同病院血管内治療科部長。●2002年同病院血管外科部長
●2005年アルバートアインシュタイン医科大学血管外科学教授。
●2006年~現在、慈恵医大外科講座教授、診療部長
●2007年~現在、慈恵医大外科学講座統括責任者(チェアマン)
●2011年~2017年 銀座7丁目クリニック下肢静脈瘤センター統括医。  

米国では10年余りで無給医から外科教授まで昇りつめ、独自の手術やステントグラフトの開発にも成功したようです。慈恵医大の外科は今は珍しい「大外科」方式で、消化器一般外科、小児外科、血管外科などを含んでいて、約300名の医局員がいるようです。大木氏はそのチェアマンですから、トップであり、権力者でもあるわけです。さらに慈恵医大で対コロナ院長特別補佐も務めています。漫画にも取り上げられていたり、マスコミにもしばしば登場しているらしく、医療界では有名な医師のようです。私が知らなかっただけということでしょう。
 彼の文章をそのまま紹介しておきます。以下の彼の文章は「不急医療の最たるものが健康診断と人間ドックです」というデイリー新潮の記事に対するものではなく、開業医の先生の「アクセスが制限されておらず、医療行為単価(診療報酬)は激安に」という記事に対する返信のようです。つまり、コロナ診療を引き受ける場合の危険と報酬についてのアンバランスに対する開業医の先生に対する返信ということのようです。

 2021年1月25日 投稿者大木隆生 
はい、だれも赤字覚悟で新型コロナ診療をやれ、とは考えていません。
 菅総理には民間が新型コロナ診療に参入した場合、院内クラスター・風評被害対策などのリスクを負うので、インセンティブに加えて前年度売上を補償してもらうようにお願いしました。さらに新型コロナ診療に携わっている医師・ナース個人へ各々月額100万円、50万円の手当上乗せをすることで十三病院の二の舞を回避するようにと。いずれに対しても菅さんはすでに政府が医療支援に拠出した約4兆円に比べたら少額で、実行力があるのならコスパが良さそうなので官僚に試算させ、前向きに考える、と言ってくれました。なので、もう少し見守ってください。 
本来、こうした交渉は日本医師会がやってくれたら僕が矢面に立つこともなかったのですが、、、医療財源確保の話を誰もしないのでやむにやまれず僕が火中の栗を拾った、という事情もご理解ください。今後も医療体制を強化すべく尽力したいです。
 慈恵医大外科 大木隆生  

次に私の考えです。推定を交えながら述べます。
 「デイリー新潮」(私はこの文章を読んではいません)に述べた大木医師の発言は彼自身ですら「しまった!余計なことを言ってしまった」と感じていると思います。そうでないとすれば、大木医師はよほどレセプターのない人です。
 実は私も去年の5月の段階で、「健診や人間ドック」を中止・延期するのは当然だと思いました。しかし、重症者の医療逼迫の今年1月の時点では、問題は異なっています。投稿者:「自分が何科なのかよくわからな医」という匿名の健診・人間ドック担当医の見解は正しいと思います。重症者対策で、健診や人間ドックの医師やナースを新型コロナ診療に回すのは無意味です。むしろ不慣れなことで感染を広げかねない。これは以前私自身の見解を述べておきました。
 前回のくり返しになりますが、大木医師は現状をわかっていない。アメリカで頑張って超一流の血管外科医になったことは認めるにしても、医療現場とコロナ禍での日本の医療について無知であると考えます。慈恵医大外科の医師たちが手術したいのに出来ない、部下の若手の医師の中にはコロナ診療に携わっている人もいて、彼らが「不急医療でしかない人間ドックの医者がコロナ診療をやればいい」などと愚痴っている現状も実際あるのだろうと思います。・・・・・・。 しかし、どうみても大木医師は塩崎衆議院議員に比べてレベルが低い。まずは、重症者医療逼迫の解決には、自分もその一員である大学病院の現状を分析することから始めるべきです。慈恵医大の医師たちが疲弊するほど頑張っているのなら、その数字を出して他の大学、東大などに文句をつけるべきです。それが「大外科」のチェアマンであり、対コロナ対策院長特別補佐の役割でしょう。
 さらに、新型コロナ診療に携わっている医師とナースに100万円・50万円上乗せと菅総理に伝えたそうですが、非現実的です。また自分の名前を出したメールで日本医師会云々と述べていますが、極めて軽率です。文章は残りますし、メールは転送されます。実際私がそれを見ています。下世話に言えば「日本医師会がダメだから俺様が総理に直言した」という文言はヤクザか政治屋の言い方のように思えます。
 大木医師は日本医師会についてもよく知らないのではないかと思います。日本医学会は日本医師会の下部組織となっています。日本医師会は無力な団体ではありません。開業医の利益ばかり考える圧力団体だという陰口は一部的を射ていますが、日本の医療を動かす大きな団体でもあります。昨年選挙で、麻生副総理の「盟友」である横倉さんから中川会長になって以前よりは勤務医の現状にも理解が深くなっていると思います。
 大木医師は別のところで、日本医師会長の言う「医療崩壊」(通常の医療、がんや心臓病などの治療が出来ないので医療崩壊が既にきているという認識)と異なり、「イタリアのようにコロナ患者が次々と医療を受けられずに死亡する」のを医療崩壊と言っているようですから、日本医師会と対立することを見越しているのかもしれません。それならそれで最後まで筋を通して日本医師会に直言してほしいと思います。
 話せば切りがありませんが、いずれにしろ大学人ですから、もっと情報を収集し熟慮した発言をしてほしいと思います。では。        

*************************************************「広く、薄く」から「選択と集中」へ
この原稿は塩崎やすひさ『やすひさの独り言』(1月22日配信)からの転載です。https://www.y-shiozaki.or.jp/oneself/index.php?start=5&id=1338 衆議院議員塩崎やすひさ 2021年2月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp


医療崩壊が現下の最大課題としてクロースアップされている。特に、入院先調整待ちで自宅待機の間に亡くなられる方が後を絶たず、国会の代表質問でも厳しく指摘されている。
原因ははっきりしている。まずは、入院先の病床が、「選択と集中」がないがゆえに、病床は十分といえる状況下での「コロナ病床不足」に陥っているのだ。従って、保健所や救急隊、医療関係者による入院調整はパンク状態。
一昨日のテレビ番組で、改めて厚労大臣、知事に大学病院やその他公的病院に対し重症コロナ患者等の受け入れを要請・指示する権限を感染症法上明確に定め、コロナ患者受け入れにおける「選択と集中」を図ることしか、問題解決の突破口がないことを改めて訴えた。
病棟の切り分けが可能な大規模病院が重症患者を受け入れ、結果として公的病院等大規模病院に「重症患者」を集中させ、「中等症患者」は公的病院、民間病院双方で受け持ち、「軽症者」、「無症状患者」は民間病院と宿泊施設が中心となるべきだ、と申し上げた。
その振り分けを行う法的根拠、政策ツールとなる法律が不可欠なのだ。 その大前提は、病院全体として、その「対応能力に応じた役割と責任」を担い、「選択と集中」を行うことが原則だ。すなわち、重症状態を脱して軽快しつつある患者は、公的病院等からより軽装備の病院に、できるだけ早期に移動して頂き、限られた医療資源の有効活用を図らないと、全体が回らない。また、厚労省の退院基準を満たすようになった患者は、帰宅し家族と過ごして頂くことやコロナフリーの民間病院に移ってのリハビリなどに移行して頂くのが望ましい。
宿泊療養や自宅療養で入院先調整を待機している多くの方、また、病状軽快者、退院基準を満たす者などで、入院が必要な方を臨時に受け入れる仮設の専用病院・病床を新たに緊急に整備することや国立病院等での受入れを進めることも必要だ。
同時に、コロナ以外の一般医療の停滞も許されない。コロナ医療・病院とコロナフリー医療・病院を明確に分け、「選択と集中」の中で、医療人材は、有事の間は病院間を、時に患者とともに弾力的に移動することも受け入れて頂き、各医療圏のコロナ期前の医療の質と量の全体は守り切らねばならない。 そうやって、人材を含めた医療対応能力に応じた感染症危機における「有事の役割分担」と「有事の連携」に迅速、円滑に移行できることが、最も適切な感染症有事の地域医療体制だと思う。
ところが、1月19日付で行われた全国医学部長病院長会議による記者会見で配布された資料を見て、驚いた。【「新型コロナウィルス感染症患者の受け入れ状況調査結果」と「新型コロナウィルス感染症患者に係る後方施設状況調査結果」】
この組織は、全国の82大学の医学部長と附属病院長などで構成されている。それらの附属病院への1月6日午前0時現在の緊急調査結果だが、「中等症・軽症病床」における「無症状患者」の占める比率が、全国(1216床)の何と27%にも上り、緊急事態宣言下の4都県の21病院(494床)の33%にも上ることに、驚きを禁じ得なかった。 このことを私から紹介した一昨日のTV番組では、コロナ感染から治った方がそのまま病院におられるのではないか、ということになった。
しかし、診療報酬も優遇される高度医療提供病院である「特定機能病院」は、全国で87病院しかなく、その中の82病院を占める「大学病院」が、そもそも「中等症・軽症用」コロナ病床を全国で1216床、4都県で494床も用意すること自体、限られた資源配分として非効率ではないかと強く思った。さらに、何とその2~3割は、症状のない患者によって占められている、という。医療資源の余りの非効率な利用が行われていることが明らかになった。
また、82病院のうち、回答のあった67病院中記載のあった65病院での集計結果によれば、上記のような、軽快、ないし厚労省の退院基準に合致するところまで治った患者を他のもう少し緩い医療環境の病院へ移動をサポートするはずの「後方施設の整備状況」を見ると、「整えられている」と回答した先は、たった25%、16病院。その結果、軽快ないし退院できるのにそのまま高度医療機関である大学病院に残ってしまい、結果としてベッドが空かず、重症患者の受け入れが進まない、医療資源の有効活用ができないことになっていることが容易に見て取れる。
こうした調整こそ、都道府県内全体を見渡せる知事、場合によっては厚労大臣の仕事であろう。しかし、今の知事・厚労大臣に、大学病院に要請・指示をする権限はなく、だからこそ法改正でその調整パワーを付与しなければならないのだ。 さらに、同調査から「重症患者」の受け入れ状況を大学病院平均で見てみると、全国では3.8人、4都県では5.8人と、ハーバード大学医学部の附属病院的存在のマサチューセッツ総合病院の昨年春時点での121人、とは比べ物にならないほど少ない。 因みに、東大病院のICUの数をみると、成人一般用だけで42床あり、その他の用途の病床も含めれば84床あると聞く。それに対し、1月第一週段階では、重症患者受け入れは、10人未満だったと聞く。
検査の徹底により、無症状患者を見つけ出して感染拡大を阻止しつつ、「対応能力に応じた役割と責任の分担」に基づく「選択と集中」、そして「連携」を医療体制において本格的に実現し、コロナに打ち勝つしかない。

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ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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MRICの英語版として、MRIC Globalを立ち上げました。MRICと同様に、医療を超えて、世界の様々な問題を取り上げて参りたいと思います。配信をご希望の方は、以下のリンクからメールアドレスをご登録ください。https://www.mricg.info/
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[418](投稿)菅さんどうする

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記憶にない→記憶力不足 総務省接待、崩れた
国会答弁
2021年2月19日 21時10分 朝日新聞デジタル 小林豪 豊岡亮 三輪さち子、黒田健朗

 総務省幹部4人が、菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から接待を受けていた問題で、会食時に放送事業に関わる会話をしていたことを認めた。菅政権は幹部2人の異動を決めたが、これまでの国会答弁は崩れ、政権の姿勢も問われる事態になっている。19日の衆院予算委員会は、冒頭から武田良太総務相の謝罪で始まった。
「まずもって度重なる幹部職員の会食に関わる報道により国民の疑念を招く事態となっていることを深くおわび申し上げます」
続いて、原邦彰総務省官房長が再調査の結果を説明。文春オンラインが報じた秋本芳徳・情報流通行政局長との会食時の音声にあったBSやスターチャンネルなどに関する首相長男らの発言について、「(首相長男ら)東北新社のお二方とも『自分だと思う』とのことだったと述べた。前日まで「記憶にない」と繰り返していた政府答弁が崩れた。
秋本氏も「今となっては(首相長男らから)BS、CS、スターチャンネルに言及する発言はあったと受け止めている」と認めた。(後略)

※※※ 与謝野晶児のコメント

菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から総務省幹部4人が接待を受けていた問題で、会食時に「放送事業」に関わる会話をしていたことを認めました。
4人のうち2人は菅政権によって更迭され官邸内に「幽閉」同様にされました。
19日の衆院予算委員会で、冒頭から武田良太総務相の謝罪で始まりましたが、「まずもって度重なる幹部職員の会食に関わる報道により国民の疑念を招く事態となっていることを深くおわび申し上げます」という発言には違和感を覚えます。「疑念ですか」と聞いてみたいものです。疑念ではなく「事実ですよね」と確認したくなります。
文春オンラインが伝えた秋本芳徳・情報流通行政局長との会食時の音声にあったBSやスターチャンネルなどに関する首相長男らの発言について、「(首相長男ら)東北新社のお二方とも『自分だと思う』とのことだったと述べた。前日まで「記憶にない」と繰り返していた政府答弁が崩れたのであった。
秋本氏も「今となっては(首相長男らから)BS、CS、スターチャンネルに言及する発言はあったと受け止めている」と認めました。
以上のことから、「苦労人」ガースー首相は、これからもっと本当の「苦労」をしなければならなくなったっと思います。
 一時は菅義偉氏は「総務省」の大臣をしていて、その折には、ここに登場する現在は「東北新社」に勤務している菅首相の息子が秘書を務めていました。それゆえ、阿吽(あうん)の呼吸で、東北新社菅首相の息子ともども、総務省幹部に会食を持ちかけ、衛星放送の利権獲得工作を持ちかけたと思われます。賂(まいない)は別途にということかもしれません。
 これからの国会運営はどうなるのでしょうか?
コロナ禍の大型台風と利権の大型地震の二重苦に苛まれて、首相の座も危うくなりました。

■ 露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢

         豊臣秀吉

[417](寄稿)Covid19とこの国のこれから

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ペンギンドクターより
皆様 
昨日今日と異常に暖かな日が続いています。異常な降雪とともにやはり世界的な異常気象なのでしょうか。

 本日は、いつものMRICからの転送の文章とともに私の近頃感じたことを送信します。

 下記の「永井雅巳」という医師について、ネットで調べてみました。
現在60代半ばの医師で香川医科大学に所属していたようです。内科医のようです。徳島県立中央病院院長(当時61歳)のとき、自身も含めて病院内で喫煙していたことが公になり、「一身上の都合」を理由に退職、その後福島県いわき市の「ときわ会」の病院の在宅医療を担当されていたようですが、現在は千葉県印西市の「印西総合病院」に在職されているようです。
信頼できる医師かどうかはわかりません。「ときわ会」というのは東大の医科研の若手医師たちが関与している様々な面で活動的な団体です。永井医師が大震災後の福島県へ移動して、すぐ千葉県に移るなどの行動を見ても、本当の意味で第一線にて地道に頑張っている医師ではないと想像しますが、文章そのものはそれなりの説得力をもっています。「眉に唾をつけつつ」読んでいただければ幸いです。  


さて、私の日常生活からの駄文を少々お送りします。

一昨日金曜日に「確定申告」に行ってきました。私は40年以上前から「確定申告」を自分でしています。常勤医の時も、いろいろな病院で病理診断や手術や外来をしていましたので、やらざるを得なかったのです。2020年度は、5月に検診業務が中止になりましたが、そのしわ寄せが他の月の検診人数の大幅な増加となり、検診センターの職員の仕事量が増えたのは勿論のこと、私たちパートの医師の仕事も増えました(残業というわけではありませんが)。経営者側からみれば、5月はパート医に給与を払わなくてよかったわけで、その分人件費を節約できたことになります。私自身については金曜日の産休の医師、土曜日の大学の医師の代理などで、パートの日数はほぼ同じでした。ミスのないよう注意しつつ、老骨に鞭打っています。

 

「不要不急」の仕事は中止か延期ということが言われています。医師ネットワークM3にこんな情報が出ていました。


「『不要不急の最たるものが健康診断と人間ドックです』大木隆生氏発言 」
2021年1月23日 投稿者:自分が何科なのかよくわからな医  


「不要不急の最たるものが健康診断と人間ドックです。1月10日現在、都内の大半の急性期病院は人間ドックをやっていて、やめた病院を知りません。この事実が、医療崩壊とほど遠い証左ではないでしょうか。4~5月まで待ってもらい、医療崩壊閾値を上げる努力が必要です。東京都や医師会は医療崩壊と叫ぶ前に、こういうことをすべきです」デイリー新潮記事 東京慈恵会医科大学大木隆生氏


●日本の1年間の健診受診者数 約1億人

●大量の受診者のため、健診のスケジュールはタイトで2カ月遅れるとスケジュール調整がものすごい困難になります。昨春の緊急事態宣言時は感染対策も不十分だったため一時中止しましたがクレーム殺到でした。感染対策のための制限もあり、受診枠を減らしているので、いまだに遅れを完全には取り戻せてはいません。

●健診で急性期入院することは原則皆無、医療圧迫の要因にはならないのでは

●健診医・健診ナースを急性期病棟に回してどうにかなりますか?閾値上がります?

●そもそも健診は病院のスキマ産業。スキマがあればやるし、なければやらないのが普通。

 結局のところ、ただ単に健診というものを軽視した発言と思います。
 健診をろくに臨床的な意味も考えず金儲け目的だけでやっている所も相当数あることはわかっていますので、日常的批判はやむを得ないと思っています。
でもとてもお偉い崇高なお仕事をされている自分の診療科を回すためなら、他科は潰してしまっていい、なんていう方がいると少しがっかりします。 
△賛成181△反対34  



この大木隆生という医師の専門は血管外科らしく「神の手」とも言われているというコメントが他の医師からの発言にありました。私自身は調べていません。これらの意見に対し、大木医師より弁明?のコメントも登場しています。

 ある医師の発言「民間病院にとって、ぎりぎりの経営状況なので、検診業務は重要な収入源であり、そう簡単にやめるわけにはいかない・・・・・・」という意見に対し、大木医師は「誰も赤字覚悟で新型コロナ診療をやれ、とは考えていません。・・・・・・菅総理に会った時、新型コロナ診療に携わっている医師・ナース個人へ各々月額100万円、50万円の手当を上乗せするよう伝えました。本来こうした交渉は日本医師会がやってくれたら僕が矢面に立つこともなかったのですが・・・・・・医療財源確保の話を誰もしないのでやむにやまれず僕が火中の栗を拾った、という事情もご理解ください。今後も医療体制を強化すべく尽力したいです」と言っていました。

 私はこの大木医師は偉い医師のようですが、無知で増長した医師のような感じがします。彼自身は新型コロナの診療に関与していないようです。慈恵医科大学では呼吸器内科や救急部など頑張っていますが、彼自身の血管外科が関与しているという情報はありません。また慈恵医大では今でも人間ドックを続けています。そこに働いている医療従事者を新型コロナ診療に回したという話もない、と別の医師が述べていました。 そもそも「菅総理に話しておいた」と言うこと自体が、私には気に入りません。こういう発言はいわゆる日本の政治屋の「口利き」の闇を連想させます。

 医療の世界の前近代性の一端がここにもある、と思うのは考え過ぎでしょうか。ではこのへんで。 

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Covid19とこの国のこれから 永井雅巳 2021年2月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp ································································

1年前となる2020年2月、和光市にある国立税務大学校を訪ねた。ここでは、普段は税務に携わる国家公務員(税務職員)が各種の研修や税務に関する学術研究を行なっている所だそうだ。広大な敷地の中に幾棟もの建物があるが、当日はガランとして人影も少ない。所々に、自衛隊ジープが停車しており、隊員がタイベックの着脱訓練をしているのが見られた。

ここに私が来た目的は横浜港に停泊するダイアモンド・プリンセス号(以下、ダ号)の乗客の入国受け入れを手伝うためだ。乗員・乗客併せて約3700人を乗せたこの船は2020年1月20日に横浜を出港した。ところが、出港6日目香港で下船した乗客が30日に発熱し、翌2月1日にCovid-19 (SARS-CoV-2)に感染していることがわかった。ダ号は行程を早めて2月3日 横浜に戻り、有症状者に再検疫を行ったところ少なからず陽性者のいることが判明した。

2月5日以降、症状のない乗員・乗客は14日間の大半を船内で待機し、すべての乗客がPCR検査を受けた後、陰性者は最後の期間を下船して、宿泊施設を有するここで異常のないことを最終確認し開放される仕組みであった。

私は厚労省関係者の指導下、橋本康子先生(日慢恊副会長)をリーダーにDMAT、DPATの方々(総勢約30名程度)とともに、施設入所に際しての問診や滞在中の健康相談に関わった。

ダ号については、それまで連日報道で映像がながされ、私のいた当日には隣の施設に武漢からの最後のチャーター便(第5便)の住民も搬送されたが、いずれも粛々と静かな入場であった。結局、初動の感染対策の不十分さによりダ号の乗客・乗員の感染者数は700余名に及び、うち7人が死亡した。 3月になり、感染経路のはっきりしない感染者が東京都を中心に少しずつ増え始めた。第1波とよばれるものである。

この時点では、症状がなければPCR検査をしない、その適応は保健所が決めるというのが国策であり、関連学会も追従した。しかし、ダ号での経験から軽症者・無症状陽性者の早期からの隔離が重要であることを学んだ私は2020年4月2日掲載の本誌(Vol.075)に、「感染症学会・環境感染学会の“軽症者にはPCR検査推奨せず”に反論」をあげた。私の病院の発熱外来には、すでに何か所か医療機関を受診した若い介護士や看護師が訪れ、結果、PCR陽性と診断されるようなケースが続いた。彼らは施設・病院で感染者と接する機会があり、一方プライベートの活動範囲は概して広い。その中で不本意にもスプレッダーとなってしまったのだ。私たちは、ダ号の経験から元気な軽症者・無症状者にこそこの時期、PCR検査をすべきことを学んだはずなのに、いつからこの国の学界代表者は権力筋に阿るようなったのか、非常に残念だ。ただ、幸いなことに第1波は国民自らが自分たちの行動を律する(未知なるウィルスに怖れをいだいた)ことにより、5月初めには一旦終息した。1年後に日本が、世界がこのような状況になるとは多くの国民が無想だにしなかったに違いない。 しかし、蟻の一穴をすり抜けたようなCovid19は6月末からの大きな第二波、そしてその波は終息することなくダラダラ続き、そのまま11月中旬から第三波といわれる巨大な波となった。

第二波の途中、千葉県知事は幕張に1000床規模の隔離病床を作る構想を発表した。当時、私はたとへ病床は1か月で作れても、働く医療スタッフはどうするのだろうか、病床規制の問題はどうクリアするのかとか思った。この森田構想は年を超え2月になって、千葉県がんセンター旧病棟をつかって、66床確保され、2月5日から当面26床で運用されるそうだ。スケールダウンはやむを得ないとして、とりあえずは専用病棟がつくれたのは良かった。スタッフは大変だが、感染患者にだけ対峙すればよい。感染者と感染しているかどうか解らない患者両方に接することは大変だし、リスキーだ。

一方、少し前後するが、1月中旬、同じ千葉県知事から二次救急告示病院宛に1床でもよいからCovid19の専用病床を持つようにとの要請があった。病床専用率が連日60%を超え逼迫したため、自宅待機中に急変・亡くなられる患者さんも増えた。私の所属する病院も現在4床動かしているが、効率が悪い上に、私は陽性の患者だけでなく、一般病棟の患者や在宅患者もみなければならない。十分、気を付けてはいても危険だ。他の民間病院も同様であろう。やはり森田構想(一か所で集中的に診る)が一番良いような気がするが、いかがだろうか。

もう一つ民間病院で陽性患者の受け入れが困難な理由の一つに医者や看護師が高齢であることだ。厚労省の2018年の調査報告によると、医育機関付属の病院の医師の年齢別割合は39歳以下で61.3%、逆にそれ以外の病院では40歳以上が60%。同じく厚労省からの報告によると、2021年1月18日時点でCovid19による日本の死者3470名のうち、死者数÷感染者数(死亡率)が30代以下は0%、40代から徐々に上昇して、60代で1.4%、70代で4.5%となる。その他には、私の病院の例でもあげたようにスタッフ数が少なく専門チームが作りにくいことだ。そのため、効率が悪くかつ蔓延リスクが高くなる。

特定機能病院には若く優秀なスタッフがたくさんおり、そこに患者を集めることにより効率的で、蔓延リスクが少なく、さらにもし医療スタッフが感染しても重症化率は少ない医療を提供できる。国が緊急事態宣言をしている非常時に、独法化したとはいえ、旧国立大学に対して、行政府の与える影響力は大きいのではないか。各県に一つ以上ある大学病院の地域必要度に併せて、非常時に限り、○○〇床準備しなさいと首相が言えば即座に叶うガバナンスがこの国にはないのだろうか。

A医大学長は特別であろうが、自らの使命を果たさず、この学長に同調しているボードの方々の見識を疑う。自治体病院は首長の権限でのガバナンスが概して強い(首長の資質により必ずしも良いことばかりではないと思うが・・)。権力筋に阿る学界と、彼らに遠慮してモノ言えない行政府のもたれあった関係が垣間見えるようだ。

幸い、2月になり都市部の新規感染者数は減少している。緊急事態宣言の成果と思うが、東京・神奈川では保健所の疲弊のため、濃厚接触者の追跡を止めたと聞く。千葉でも同様、私の病院の発熱外来(PCR検査)は一般が半分、残りは保健所から指示された濃厚接触者であったが、2月になりこの保健所からの指示による濃厚接触者がなくなった。濃厚接触者が自らの意思で検査に来ることもあるが、自分が濃厚接触したと解らない場合もあろう。また、濃厚接触したと解っても、検査はしたくない場合もあろう。PCR検査を受ける人が減り、陽性率がさがれば、当然、新規感染者数は減る。最近の感染者数は、実際の感染者をunderestimate している可能性を危惧する、杞憂であればよいが・・。

さて、最後にこの国のこれからの医療・介護の話だ。1月末で国内では5753人の方が亡くなっている。世界では1月中旬にすでに200万人を超えているそうだ。この200万人の中には入院できずに亡くなった人が多くいるに違いない(必ずしも、全員、病院で死ぬ必要もなくて良いと思うが・・)。この時期、景気が良いのは株を持っている一部の富裕層だけで、日本でも職を失ったり、商売を失ったり、夢を失った方々が多くいるに違いない。年々格差は広がる一方である。

振り返れば、2019年10月28日の経済財政諮問会議において時の安倍首相は「地域住民の医療・介護サービスへのニーズを的確に反映し、持続可能で安心できる地域医療・介護体制を構築していくためには地域医療構想を実現していくことが不可欠」と述べた。時の加藤厚労相(現・官房長官)は、具体的に過剰と考えられる約 130,000床の病床削減を速やかに進める意を表した。また、時の西村内閣府特命担当大臣(現・新型コロナ対策担当大臣兼務)も共に、(現在まで各地域で先頭に立って新型コロナ対応に頑張っている)公立・公的病院のうち424病院は再編・統合が必要と表明した。たった1年半前の話だ。1983年時の厚生省保険局長の「医療費亡国論」以来、厚労省の宿願である病床削減は数次の医療法改正を経て、ついにあと一歩まで迫ったところで、Covidがきた。

確かに最初は想像できなかったことかもしれないが、平時の際に、緊急事を想定して対応するのが政ではないか。東北震災の原発問題、そしてCovid、また予測される大規模地震災害・・。安倍元首相は“政治は結果責任である。”と言われたが、その責任の渦中に立たされるのは国民である。是非、議員・官僚の方々、そして国民は、しっかり“この国の医療・介護のこれから”について考えるべき時でなかろうか。


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[416](投稿)管首相の息子総務省接待問題、森友以上

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菅首相、長男の接待疑惑「森友以上」の深刻度
不祥事が政権危機につながるボディブローに

泉 宏 : 政治ジャーナリスト

2021/02/19  (東洋経済オンラインより引用)
ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種となっている。

立憲民主党など主要野党の追及に対し、菅首相は「息子は別人格」と色をなして反論。いらだちを露わにしている。

2月17日には『週刊文春』が接待時のやりとりを記録した音声をネット上に公開し、与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が広がっている。

22日にも総務省幹部を処分
総務省菅首相副大臣と大臣を務めて以来の「菅首相天領」(政府筋)とされる。今回の接待疑惑で国家公務員倫理法違反に問われている4人の同省幹部も、菅首相の知遇を得て出世の階段をのぼってきた人物ばかりだ。

総務省は「できる限り迅速に調査を終わらせ、ルールに則って厳しく対応する」(武田良太総務相)として、22日にも処分を決める方針だ。4幹部が懲戒処分ともなれば、「今後の総務省幹部人事も大混乱」(政府筋)となるのは必至で、菅首相指導力も問われる。

野党側は2021年度予算案の衆院通過に絡め、さらに攻勢を強めている。人事による霞が関支配を権力の源泉としてきた菅首相にとって、身内の不祥事が国会運営にも影響することになり、「政権危機にもつながる深刻なボディブローになる」(閣僚経験者)との見方が広がる。

事の発端は、森元首相の女性蔑視発言で政界が大騒ぎになった3日、『週刊文春』が菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、事実なら手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界に波紋が広がった。


週刊文春』によると、2020年10月に東京・日本橋の高級料亭で、映像制作などの事業を手がける東北新社の二宮清隆社長らが、総務省内で次の事務次官の呼び声が高い谷脇康彦総務審議官を接待。同社が数万円の食事代を負担し、手土産やタクシーチケットも渡すなど、国家公務員倫理法違法の疑いがある接待をした。

同席した正剛氏の肩書は、同社の趣味・エンタメコミュニティ統括部長とされた。同社は都内に本社を置き、基幹事業の1つが衛星放送事業。総務省は電波法に基づき放送の許認可を行っており、同省幹部が衛星放送を手がける会社の社長らから接待を受けた事実が認定されれば、国家公務員倫理規程違反で懲戒処分の対象となる。

総務省幹部を野党が厳しく追及
立憲民主など主要野党は色めき立ち、4日の衆院予算委で菅首相を追及。当初は言を左右にしていた菅首相も、長男と電話で話したことを結局は認め、「調査にしっかりと対応するよう伝えた」と防戦一方となった。

ただ、違法行為かどうかについては「総務省はしっかり対応する」と述べるにとどまり、「長男はコネ入社したのでは」との追及には「息子とは別人格。民間人で家庭もありプライバシーもある」と逆切れしたように反論した。「(首相の)世襲反対との信条にも反する」との指摘にも、「私は、息子を後継者にする気はまったくない」とかわした。

2020年秋から冬にかけて正剛氏らは、谷脇、吉田眞人両総務審議官のほかに、秋本芳徳情報流通行政局長と湯本博信官房審議官の4人をそれぞれ接待したとされる。野党側の要求で秋本、湯本両氏が参考人として招致され、野党側の厳しい追及を受けた。

両氏や原邦彰総務省官房長らは当初、会食の事実は認めたものの、「調査中」を理由に詳しい説明を拒否し続けた。しかし、8日の衆院予算委で主要野党が審議をボイコットすると、金田勝年委員長(自民)の指示もあって、再開後に対応を一変させた。

事実上の接待会食だったことを認めたうえで、会食時には「東北新社の事業が話題にのぼった記憶はない」(秋本氏)、「(東北新社の事業が)話にのぼったことは一切なかったと記憶している」(湯本氏)などと釈明した。

さらに、正剛氏も参加した会食は「2015年以降」とし、頻度は「おおむね年1回」だったなどと、長期間継続していたことを認めた。


主要野党は調査結果を2021年度予算案の衆院通過までに報告するよう要求。武田良太総務相は「一刻も早く処分を下せるよう国家公務員倫理審査会に報告を上げたい」と答弁した。

しかし、問題発覚から2週間後の17日夕、『週刊文春』が二の矢を放った。正剛氏らが秋本局長を接待した12月10日の高級和食割烹での音声記録が公開されたのだ。音声は技術的に修正されているが、3人のものとされる会話の中には「BS」や「衛星」などの言葉が含まれていた。

これを受けて17日夕、立憲民主党安住淳国対委員長自民党森山裕国対委員長が会談。安住氏は総務省が音声内容の事実関係を調査し、衆院予算委理事会で報告するように要求した。同省は18日午前の同理事会で、報じられた会食中の音声について、秋本局長が一部は自身の声だと認めたと報告したが、衛星放送に関する発言があったかは「記憶にないということだった」と説明した。

東北新社献金と会食を認める
この回答に野党は猛反発し、19日に発言を改めて報告させるとともに、22日に予定される集中審議に谷脇、吉田両総務審議官を出席させることで合意した。

週刊文春』の音声録音公開は、17日の衆院予算委で、立憲民主党議員が菅首相を追及している最中だった。菅首相は、親しい間柄だった東北新社創業者の植村伴次郎氏やその長男(いずれも故人)からの「総額500万円の献金」と過去の会食も認めた。

ただ、会食については「10年ぐらい前のことで覚えていない」と具体的説明は避け、植村氏らのパーティー券購入も「法令に基づいて、適正に処理されている」と事実関係には踏み込まなかった。

しかし、音声公開で事態は一変。野党側は秋本局長らを攻め立てるとともに、国会答弁で「事業にかかわる話は一切ない」と答弁した武田総務相の責任問題も追及した。菅首相の立場も苦しくなっており、22日に予定される集中審議がこの問題で大荒れになる可能性も出てきた。

正剛氏は学生時代からミュージシャンとして活動し、大学卒業後も定職に就かなかったため、心配した菅首相が2006年の総務相就任時に政務秘書官に起用。その後、正剛氏は東北新社に入社した。

「コネ入社ではないか」との野党の追及に対し、菅首相は自らの教育論を述べ、「『自分のことは自分で責任をもって生きていく』と強く言って育ててきた」と防戦した。しかし、野党側は「情実入社の疑念は濃い、まさに李下に冠はたださず、だ」と責任追及を続ける構えだ。

安倍前首相は森友問題について、「妻や事務所が関与していたら総理大臣だけでなく議員も辞める」と啖呵を切り、それが財務省の前代未聞の公文書改ざん事件につながった。それだけに、菅首相が長男に説明を求めず、釈明や謝罪も拒否すれば、事態の深刻化は避けられない。

霞が関菅首相に反旗?
安倍前政権も菅政権も、「記録を隠蔽するなど、いわゆる逃げ恥作戦で疑惑を封じ込めてきた」(立憲民主幹部)のが実態とされる。官僚側も強い政権に忖度し、「知らぬ存ぜぬ」で野党追及をかわしてきた。

2020年1月の黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長問題では、いったんは政府見解は変わっていないと答弁した人事院の女性局長が、その後の「政府として見解を変えた」という安倍氏の答弁で対応に窮し、「つい言い間違えた」という答弁を強いられた場面が記憶に新しい。

人事院は今回、総務省が調査をしている最中でも「国会での説明は妨げない」との見解を示し、秋本氏らは「自白」を余儀なくされた格好だ。こうした対応の変化は、「これまで恐怖政治で忖度させてきた菅首相に対する霞が関の反乱」(閣僚経験者)との見方も出る。

17日には、自民党白須賀貴樹衆院議員が高級会員制ラウンジを訪れていたことが暴露され、自民党離党と次期衆院選の不出馬の表明を余儀なくされた。「銀座の夜遊び」で離党した松本純国家公安委員長らに続く不祥事に、公明党からも「いい加減にしてほしい」との批判が噴出している。

コロナ感染防止の切り札となるワクチン接種が17日にスタートし、株価も3万円台を回復。最新の各種世論調査では内閣支持率も下げ止まり、菅首相に自信と余裕が戻ってきた時点で政権の火種が相次いでおり、菅首相も苛立ちを隠せない。

接待疑惑で総務省幹部の懲戒処分が決まれば、菅首相の責任も厳しく問われる。展開次第では2021年度予算の年度内成立が確定する3月2日の衆院通過も危うくなりかねない。菅首相は当分、「針のむしろに座る状況」(自民国対)が続きそうだ。

※※※ 骨川筋衛門のコメント

「ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種」となっていて、「与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が上がっています。森元首相の「女性蔑視」問題が上がった3日の『週刊文春』に、菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界や世の中に波紋が広がりました。

「問題発覚から2週間後の17日夕、『週刊文春』が二の矢を放った。正剛氏らが秋本局長を接待した12月10日の高級和食割烹での音声記録が公開されたのだ。音声は技術的に修正されているが、3人のものとされる会話の中には「BS」や「衛星」などの言葉が含まれていた」のでした。この録音で、「菅首相は、親しい間柄だった東北新社創業者の植村伴次郎氏やその長男(いずれも故人)からの『総額500万円の献金』と過去の会食も認め」ました。総務省の幹部も始めは野党の追及に対して、最初は、衛星放送の話をしたことを「忘れた」とどこかで聞いたセリフを言っていましたが、音声録音を聞いて事態は急変し、衛星放送の話をした音声が自分の声であることを認めました。この事態は、「これまで恐怖政治で忖度させてきた菅首相に対する霞が関の反乱」(閣僚経験者)との見方」も出てきていると著者は言っています。すでに2人の総務省幹部は官邸に「幽閉」されたも同然で、表に出ないように囲い込まれました。これ以上の事態の悪化を防ぎたい一心でガースー首相はあの手この手をやっていますが、次々と自民党の議員が銀座などで飲み歩くなども出てきて対応に追われました。はたして、今後、予算の成立など重要事案が通過できますでしょうか?

菅首相は、いずれ近いうちに「菅」と「相」が離れてしまい「首」だけ残ることになるのではないかと思います。

▼▼▼ 首切り魔それは俺だと自負してたその自分が首になるとは

                  コバヤシイッチャッタ 作

[415]パクスなき世界

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「世界は転機にある。20世紀の礎となった民主主義と資本主義という価値の両輪は深く傷つき、古代ローマで『パクス』と呼ばれた平和と秩序の女神は消えた。新型コロナウイルスの危機は超大国・米国の衰えに拍車をかけ、世界の重心は力を増す中国に傾く。あなたは歴史の転換を傍観するだけですか━━。」
これは2月22日の日経新聞「パクスなき世界」「夜明け前➊」のリードです。
日経新聞が一面で、あなたは傍観するだけてすかと問いかけるのは珍しいと思います。強い危機感があるからでしょう。
パクスアメリカーナ━━アメリカによる平和━━といわれた時代はすでにおわり、いまの世界は米・中の対立、抗争を軸としてカオスのなかにあるといえるでしょう。
宗教・民族対立と国家利害の対立が戦争の危機を醸成し、各資本主義国の経済危機を根っ子とする反政府闘争が勃発しています。新型コロナ感染症の広がりは「格差社会」の暗黒面を明るみにだしました。富めるものはコロナマネーでますます富み、他方に失業者が生み出され貧困が進行しています。
ブログ管理人も傍観せず、歴史の転換を考えていこうと思います。日経新聞のいう「パクスなき世界」をたどってみます。

つづく

[414](投稿)起きあがり小法師

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福島県会津地方の郷土玩具、起き上が小法師。何度倒れても起きあがる姿は、東日本大震災の被害地復興を願う象徴として、多くの人に愛されてきた。▼昨年10月に亡くなった服飾デザイナー高田賢三さんが発起人となった「起き上がりこぼし絵付けプロジェクト」もそのひとつ。知人の協力要請を快諾した高田まんがさんが参加を呼びかけ、俳優のジャン・レノンさんらが復興への願いを込めて描いたという▼2014年には日本漫画協会所属作家による「漫画こぼし」も登場。世界中で展示会が開かれ、今月は台湾の台南市美術館で284点が展示されている▼常に周囲への感謝の言葉を忘れなかった高田さん。協力は遠いパリから祖国を思う恩返しだったのだろう。昨年もビデオメッセージを残すなど、最後まで発信に努めていた。▼大震災から10年の節目を翌月に控えた先週の夜、福島県沖を震源とする地震が東日本一帯を揺るがした。長い揺れにあの時の記憶がよみがえったという方も少なくないだろう。けが人は150人を超え、交通機関の運休や商業施設の休業など影響が広がった。▼気象庁によると10年前の本震の余震だという。復興も道半ば。あの大地震はまだ終わっていないのだ。コロナ禍の陰鬱(いんうつ)な世相に追い打ちをかける揺れだった。なればこそ、もう一度起き上がろうではないか。そう叱咤(しった)する小法師が見えぬ手を懸命に差し出している。
(2021・2・16 北海道新聞「卓上四季」より引用しました)。

※※※ 真田幸村のコメント
 
2021年2月13日午後11時8分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震があり、最大震度6強を観測した。震源の深さは約60キロ。気象庁によると、2011年3月の東日本大震災の余震と考えられる。来月11日に大震災から10年を迎える東北地方を再び強い地震が襲った。震度6強を観測したのは宮城県蔵王町福島県相馬市など。東京23区でも震度4を観測するなど広範囲で揺れを感じたが、震源が深く、津波警報は発令されなかった。NHKによると、これまでのところ福島県宮城県、関東地方で計100人以上が負傷している。東北・関東地方では一時、約92万戸が停電した。(BBC・ニュース・ジャパンより引用しました。2021年2月14日)

 2011年3月11日午後2時46分、三陸沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生。沿岸部は高さ10メートルを上回る津波に襲われた。死者・行方不明者は1万8千人を超え、津波で破壊された福島第1原発炉心溶融メルトダウン)を起こしました。今回2月13日に生じた東北途方のマグニチュード7・3の地震で、2011年3月11日に、大地震津波に会われた人たちのことと、福島第一原発の大惨事とその大きな影響を想起しないわけにはいきません。被害を受けられた多くの方たちのこの10年間の苦しみが、また、再度、心の深くまで抉(えぐ)られ、引きずり出されたのではないかと痛く想像されます。この「卓上四季」に書かれている起き上がり小法師のように、何度でも起き上がられることを心から祈念したいと思います。