[43]米、日の政府のコロナ経済対策は格差を広げる

米、日の政府のコロナ経済対策は格差を広げる

労働者は団結を



新聞各紙はアメリカの景気が2月から後退局面に入ったと報じました。

景気の山と谷を判定する全米経済研究所(NBER)は、景気拡大期間は10年8カ月(128カ月)に及び、記録のある1854年以降で最長となったと発表しました。

けれども、128ヶ月の間株価は3倍になったにもかかわらず、賃金は年1~2%の上昇に過ぎず、都市と地方、白人と非白人の賃金格差も広がりました。

貧富の差が新型コロナ感染症罹患率と死亡率に大きく影響しています。アメリカの多くの労働者は病院にも行けない、賃金をえるために感染の危険性を冒しても通勤しなければならないからです。それはアメリカに限ったことではないのです。全世界の労働者は程度のちがいはあっても同じ条件下で働いているのです。

そしていま、感染症の拡大にたいする政府、資本家の対応はさらに格差拡大をもたらしているのです。コロナ対策のために日米欧の中央銀行国債社債を買って市場に供給した資金は6月5日で510兆円になりました。市場に流しこまれた資金をえた資本家は株に投資し株価は回復し、株を買った資本家は儲けまた投資しているのです。「市場は刺激策に中毒症状を起こしている」と指摘する資産運営会社の幹部もいます。
他方でコロナ危機下労働者の失業は増加し、賃金も下がってきています。6月11日の朝日新聞によるとコロナ影響で収入減になったのは非正規30.3%、正社員21.3%といわれています。(独立行政法人 労働政策研修機構の調査)

新型コロナ感染症の広がりは現代資本主義社会の諸矛盾を一気に暴露し、流行はいったんは止まったかに見えます。しかしその傷跡は労働者、中小零細個人事業主、その家族の上にきざまれています。むしろこれからが大変です。

コロナ危機の犠牲は労働者民衆にしわ寄せされています。命と生活と守るために私たちは団結し闘わなければならないと思います。

しかし労働者の団結形態である労働組合がピンチなのです。

アメリカの労働運動は労使協調であり、労働運動が格差を許しているといわざるをえないのです。そもそも今日のトランプ政権を誕生させた大きな要因は、失業で生活苦に陥った労働者の支持があったからです。ラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者をはじめとした多くの労働組合員とその家族の支持があったからでもあったのです。現状の改善を「米国第一主義」を掲げるトランプに見出さざるをえなかったというのは悲劇的といわざるをえません。

日本の連合型労働運動も企業に奉仕し働くことが労働者の利益になるという考え方にもとづいています。労使運命共同体という考え方にもとづく協調路線をとっているのです。この路線にのっとるかぎりコロナ危機のなかで働くものの利益は会社の利益に従属させられるのではないでしょうか。

読者の皆さん一緒に考えていきましょう。