[53]三菱自動車の労働者が長時間労働で病み自殺

2019年2月の三菱自動車の男性社員の自殺を、三田労働基準監督署労働災害と認定しました。(5月28日)担当する新型車の発売直前に残業などが急増し、精神疾患を発症したのが原因だったとしています。

遺族と代理人弁護士の記者会見によると、エンジニア出身だった当時47歳の男性社員は開発した軽自動車の発売に向け、約1年前からメーカーとの調整などを行う商品企画の業務を担当、発売直前の2019年2月、単身赴任の横浜市にある社員寮で自ら命を絶ちました。

労働基準監督署が調査した結果、亡くなる直前の1か月の残業時間が139時間以上にのぼり、身につけていたスマートウォッチの記録から、睡眠時間が5時間に満たない日が16日、約2時間半という日もあったといいます。男性は休日もパソコンを使って働くなど、実際の労働時間はさらに長かったとみられます。
酷いと思います。


時間外労働にはテレワーク分は含まれていなかった


今回認定された残業時間には帰宅後や休日に行った在宅勤務はほとんど含まれていませんでした。代理人の川人弁護士は「上司から具体的な仕事の命令があって客観的に成果がわかる場合を除き、自宅など職場外での仕事は、労働時間として認められにくい面があるため」と語っています。


 今新型コロナ感染対策としてテレワークが広範囲で実施され、コロナ後も多くの企業で継続されようとしています。このブロブ[5]家で仕事はしたくない、[47]広がる在宅勤務、でふれられていますが、テレワークは労働時間制を撤廃し「成果を基準とした働き方にする」ことが目的なのです。9時―5時という労働時間の考え方がなくなり、労働時間に関係なく与えられた仕事量をこなすことが労働者の義務とされるのです。企業経営者はこれまでのような労働時間の規制という手間がなくなりオフィス賃借料、水光熱費、残業手当削減などというメリットがあります。テレワークとはとどのつまりは、今でいう「仕事の持ち帰り」が恒常化することです。
時間のけじめがあいまいになり長時間労働が増えてもそのようにカウントしにくくなります。長時間労働の責任は「自己責任」にされることになるでしょう。
警戒警報です。労働者が犠牲になるのを許してはなりません。