[183]三菱自動車が希望退職募集

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三菱自動車が600人の希望退職募集

 三菱自動車が11月中旬から国内で500~600人規模の希望退職を募集する方針を固めました。新型コロナウイルス感染拡大によって新車が売れず、2021年3月期は3600億円の純損失を計上する見込みで、7月に策定した中期経営計画では固定費を2割以上削減する方針を示しました。希望退職という名の事実上の解雇をもって人件費を抑制して財務状態の改善を図るということです。

 NHKニュースウェブは、新型コロナウイルスの影響が長期化するおそれがある中、三菱自動車では、合理化と希望退職による人件費の削減で立て直しを急ぐとともに販売のシェアが比較的高い東南アジアの事業に力を入れることにしていると報じています。

 希望退職は本社や岡崎製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)などで働く45歳以上の管理職などの社員が対象。


東京商工リサーチ8月14日発表

 8月13日の東京商工リサーチの発表によれば、レオパレス21が1000人の希望退職を募集したことをはじめとして、上場企業だけで2020年の「早期・希望退職」実施が52社となりました。8月半ばで50社を超えたのは12年以来、8年ぶりだという。すでに6月の時点で19年の35社を超えていて、例年より早いペースで推移しています。
 企業52社のうち、新型コロナウイルスの影響を要因に挙げたのは15社で、7月からの1カ月半で7社増えました。

 ファミリーマート800人(応募1025人)、複数の子会社で募集を実施するシチズン時計が750人、ノーリツ600人(同789人)と続いています。東京商工リサーチの調べによって募集人数が判明した43社の対象人数は計9323人にのぼります。

 早期・希望退職者募集を開示した52社を業種別にみると、アパレル・繊維製品が8社で最も多く、次いで、新型コロナや米中貿易摩擦が響いた電機機器が7社、自動車などの輸送用機器が5社、消費増税・暖冬・新型コロナの三重苦に見舞われた小売、外出自粛や営業時短が直撃した外食が各4社でした。

 東京商工リサーチは「赤字企業の早期・希望退職者の募集は、本決算の発表後に集中する傾向があり、20年の下期以降に募集が加速する可能性が高い。新型コロナで先行きに不透明さが増しており、希望退職の募集が正社員から、契約社員や他の雇用形態にまで広がることも懸念される」とコメントしてます。


政府厚労省発表 コロナ失職6万人を超えた

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で解雇や雇い止めになった労働者が、9月23日までに把握されているだけで8月31日時点の5万326人から6万439人へと増加しペースが加速しています。新型コロナ感染症が拡がり終息の先行きが見えない経営者が解雇、雇止めに踏みきったと思われます。飲食業が前週から2278人と大幅に増えて9814人、製造業9561人、小売業8526人、宿泊業7818人です。
 

業務のデジタル化は資本家の合理化策

 多くの企業はコロナ対策を名目としてテレワークを導入し、コロナが終息してもつづけるといっている企業は多くあります。コンピューターを労働過程に導入し、会社に行かなくても電子化した情報をコンピューターを介してやりとりして業務をこなすというスタイルを取り入れることによって、生産性を上げるという方法を資本家は定着させようとしています。
 あるいは販売業で客と相対して商品を売るのではなくウェブ販売に切り替え業務の効率化を図るということも急速に進められています。販売を請け負う下請け企業は存亡の危機にたち、その企業で働く労働者は失業します。
 つまりデジタル化はこれまでよりも少人数でより多くの商品を生産・販売することを目的として進められるのです。資本家・経営者は解雇・雇い止めしても生産量を確保できるのです。コロナ危機のもとであってもそうでなくても資本家にとっては好都合なのがデジタル化なのです。

 全体的に見れば働く者にとっては長時間労働や労働の強化になります。同じ時間で少ない人数でより多く生産することが強いられるわけですから。そして解雇・雇い止めにされ生活の危機にさらされるのは労働者です。

個人加入の労働組合は大忙し
大きい組合は沈黙

 これからもコロナ不況の犠牲のしわ寄せや、デジタル化合理化によって失職は増え続けるでしょう。むしろ資本家・経営者による経済危機の犠牲転嫁の諸攻撃はこれから強まるでしょう。個人加入労働組合への相談は増え、組合側は忙しくて大変になっています。組合組織を強化拡大しなければなりません。

 他方三菱自動車などの組合の動きはメディアで伝わってきません。ホームページを見ても希望退職にたいする労働組合としての危機感は全く表明されていません。


労働組合運動を再生しよう

 当ブログ〔147〕で書きましたが、立憲民主党と国民民主党の合流過程で、連合の産業別労働組合の組織内国会議員9名が新党に参加しないと言いました。所属産別は電力総連、自動車総連UAゼンセン、電機連合基幹労連です。ほかに、組織内議員はいないけど新党に反対する産別はJAMです。9月26日現在では、うち4人が(新)国民民主党へ、5人が無所属ということになっています。

 9人が立憲民主党に行きたくないと言った理由は、新党の綱領案に「原発ゼロ社会を一日も早く実現」という文言が入っていることへの反発と、国民民主党の綱領にあった「中道」がはぶかれたことです。
 組織内議員の一人は「自分たちの産業政策と矛盾する政策を綱領に掲げる政党には参加できない」と述べました。

 原発を抱える電力会社や原発プラントをつくっている会社の労働組合は、会社の経営を支えることが労働組合の使命だと思っているのです。まるで戦争中の産業報国会のようなことを主張する組合のリーダーに労働者の生活をまもることはできないと思います。

 三菱自動車労働組合自動車総連に加盟しています。コロナ危機対応で希望退職を募る会社に正面から異議を唱えることはないと思われます。組合本部のホームページには何のコメントもありません。
 新型コロナ危機下で動揺する指導部に組合の中からハッパをかけ組合を強化していこうではありませんか。全国の労働者は団結しましょう。

三菱自動車の労働者の過労自殺に関してブログ[57]を見てください。