[190](投稿)揺れる思い

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   核ごみ 揺れる思い 


北海道新聞からの引用です。2020・9・24


 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定で、文献調査の応募の是非に揺れる後志管内の神恵内村寿都町。地元商工会や首長らの積極姿勢の背景には、地方財政の見通しの厳しさや,人口の急減がある。住民らはこうした危機感に一定の理解を示す一方、これまでのまちづくりの方向性との断絶の恐れや、広がりかねない風評被害に戸惑っている。


「仕方ない。でもほかの方法は」

      神恵内で民宿経営 池本さん

 現実を見れば村が生き残る方法はほかにないのかも。でも村の魅力を掘り起こせば別の道もあるのでは。人口約820人の神恵内村で村おこしに取り組んできた民宿経営池本美紀さん(42)は、村の将来像がうまく描けず、悩む。

 7日夜、村商工会の臨時総会から帰った夫から、商工会が文献調査受け入れを村議会に請願することが決まったと聞いた。「もう決まったの?」。議題を知らされたのは臨時総会の1週間前。その展開の早さに困惑した。

 村内では2012年、急激な人口減に危機感を抱いた若手が、まちおこし団体「神恵内村魅力創造研究会(魅力創研)」を設立。池本さんは事務局長として奔走し、特産品の販売イベントや、サクラマスを使った郷土食「マスカレー」の商品化などを次々と実現した。活動のかいあり、11年度に年14万5千人まで落ち込んだ観光客数は、19年度には20万人弱に回復した。

 仲間は現在23人。村おこしに駆け回ってきた経験は池本さんの大きな誇りだ。それだけに、これまでPRしてきた新鮮な海の幸や、美しい景観と相反するイメージの処分場を歓迎する気持ちにはなれない」と言う。

でも。池本さんは続ける。「ふとした瞬間、目の前の現実に不安になる」。

後継者のいない商店。学年によっては児童が1人しかいない村唯一の小学校。5年間で1割以上減った人口。数年後の姿さえ想像するのは難しい。「私たちは、村の本質的な問題は何一つ変えられなかったのかもしれない」

 村が廃れば、民宿経営も成り立たない。振り返れば自分自身、常にどこかで「村で暮らすことが難しくなる日」も考えていた、魅力創研の活動に全力で打ち込むことで「自分の中に抱える矛盾から目をそらしてきた」と気付いた。

 誘致の動きが表面化した直後、札幌の男性からメールが届いた。「釣りに行こうと思っていたが、豊かな自然や食のイメージが壊れた。悪魔に魂を売る村民を理解できない」と。

 しかし観光と異なり、地元にとっても最も大切なのは日々の暮らしだ。「景観や食で暮らしを守れないなら、雇用を生む処分場の誘致も選択肢の一つかも」と考える。

 でも、処分場を誘致するなら、これまで続けてきた村おこしの取り組みを諦めることと同じとも感じる。「子供たちは将来どう思うかな」「村の存続のためには仕方ない」「本当にほかの方法はないの?」。縮みゆくふるさとを、どう守るのか。目をそらさず、仲間と一緒に考えたい。(角田悠馬)

町長理解も「風評被害が」

    寿都の漁業者 佐藤さん

 サケ定置網漁が本格化した寿都町。中心部から16キロ離れた美谷(びや)地区の漁業経営者、佐藤匡将(まさのぶ)さん(51)は、不安をぬぐえないまま漁に出る日々だった。

 11日に開かれた「核のごみ」の地区説明会。佐藤さんは春雄町長に思いをストレートにぶつけた。「海で商売している自分たちは何より、風評被害が心配だ」。片岡町長は、原発が立地する後志管内泊村で「風評被害は起きていない」と言い切ったが、佐藤さんは「寿都で実際にどうなるかは後にならないと分からない」と話す。

 片岡町長が文献調査への応募に意欲的な理由は、新型コロナウイルスによる地域経済への影響や、将来的な財政悪化だ。魚価は下がり、佐藤さんが生産するカキは飲食店からの引き合いが減った。近年は主力のホッケ漁も振るわず、厳しい経営を強いられている。10年前に新造した漁船は、借りた購入資金の返済期限を5年延期してもらった。「漁業経営者として、町のかじ取りをする町長の気持ちは分かる」

 ただ、コロナの打開策として今春から始めた生産者から消費者へと直送するネット販売は好調。特産の「寿(ことぶき)かき」は、佐藤さんら同地区の漁業者が中心になって20年かけて養殖技術とブランドを築いてきた。ホタテやサケなども「寿都産」を前面に出して販売したところ、全国の1次産品販売する専用サイトで一時、売り上げ1位に輝いた。

 地域の基幹産業を支えてきた自負がある。佐藤さんは「町民はみな四苦八苦しながらもなんとかやっている。今、ただちに行き詰まっているわけじゃない。核のゴミ以外の、他の方法を考える時間がある」と訴える。(細川伸哉)



※※※ 石川木鐸のコメント

 神恵内村寿都町も、新型コロナで経営不振が顕在化しています。これはコロナ禍で、家で「自粛」し、外食を控えざるを得ないために起きている現象と考えられます。専門家の見通しはいろいろとありますが、今のところ効果のあるワクチンができるまで1年から2年くらいかかるようです。
 また、新型コロナウイルスに効果がある薬剤はまだ開発段階だと思われます。日本では「アビガン」という薬剤が「効果がある」と報道されていますが、プラセボ(偽薬)との比較では、2.8日(約3日)早く症状が改善すると言われていますが、約3日という差は良いとみるのか、プラセボとあまり変わらないと考えるのか?このあたりの議論は書かれていません。薬剤に対する耐性ウイルスの出現についても、これからの問題として残るでしょう。また、アビガンは副作用で、妊婦の胎児には奇形をもたらす可能性があり使えません。
 しかし、いずれは、新型コロナも数年の内には、ワクチン等で世界的大流行=パンデミックは収束し、終息することでしょう。
 その時には、経済活動はパンデミック以前のような「経済活動」に戻ると考えて良いのではないでしょうか?
 しかし、原発が稼働する限り、核のごみ=高レベル放射性廃棄物は生産され増えるばかりで、減りはしません。これは自明のことです。
 この高レベル放射性廃棄物を日本のどこに埋めようとも、地震津波、台風、火山の爆発、等々の災害が頻繁に起こり、核のごみを地下300メートルに埋めても、安全ということはないのではないかと思います。
 福島のトリチウム放射能物質に汚染された汚染水すら、海洋に流すという意見と蒸発させて、広く地表や海水にまき散らすことを虎視眈々と狙っています。福島の漁協組合は大反対するのは当然のことです。
 風評被害どころか、放射能を帯びた海産物をだれに食べてもらうのか、購入してくれるのか?考えれば、答えはすぐ出ます。
 地表に落ちれば、多くの農家や住民に放射能の影響を与え、農産物、山林に落ちれば、キノコも谷の水も汚染され、水田も野菜も牛や豚や鶏などにも、果物にも、野菜類にもトリチウムの汚染水が取り込まれ、人が食べれば体内に放射能を抱えることになり、癌を始め、様々な病を引き起こす可能性が増えます。
 今でも、福島を含めてその近辺の野菜などは、福島県から遠い県の野菜に比べるとかなり「安価」です。コメももちろん安価で取引され、食のチェーン店でご飯となって出されています。
 これは現在も避けられない事実です。

 以上のことなどを勘案して、目先のお金を追いかけると、未来は暗いものになるのではないかと心配しています。
 
 経産相の「高レベル放射性廃棄物」をどのように「安全に埋め立てるかを説明に来るお役人・専門家」は、「安全」を説いて回るのが専門で、核の危険性は「ないわけではないけれど、ごくわずかな・微々たるもの」というに決まっています。
 騙(だま)されないように、私たちも「放射能に関する書物を読んで、勉強しなければ、正しく判断できません」。

 何度も紹介しますが、小出裕章(こいでひろあき)氏の、原発に関する書物をとりあえず1冊読んでみてください。いかに原発事故が、放射能が怖いものかが良く分かると思います。
 とりわけ、子供と女性は、男性と比べると放射能に弱いのです。白血病甲状腺癌や多発性の癌になりやすくなります。

 放射能物質を研究していたキュリー夫妻も放射線の害毒を知らなかったがゆえに、マリ・キュリーは「再生不良性貧血」という病で亡くなり、夫も馬車にひかれていなければ放射線の影響で死亡していただろうと言われています。マリ・キュリーの研究ノートは今も強い放射線を出しているため、手で触ることができないようにされています。

どの著作も参考になると思いますが、とりあえず、小出裕章(こいでひろあき)氏の著書の一つを紹介いたします。
下記のアドレスからご覧ください。

https://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%82%BD-%E6%89%B6%E6%A1%91%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%B0%8F%E5%87%BA-%E8%A3%95%E7%AB%A0/dp/4594064205