[200](投稿)学術会議員の任命拒否、菅首相は本当の理由を言えず

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① 学術会議 要望書を提出 官邸16年も任命に難色

 日本学術会議(梶田隆文会長)は3日、新会員候補6人の任命を拒否した菅首相に対し、推薦した会員候補者が任命されなかった理由の説明と、速やかな任命を求める要望書を幹事会で決定し、内閣府に送付した。極めて異例の対応。梶田氏は記者団に「質問して、しっかり理由を理解したい」と述べた。
 また、関係者によると、2016年の補充人事の際に首相官邸側が候補の任命に選考初期段階で難色を示していたことも判明。正式な候補推薦には至らず、欠員のままになっていた。
 16年は会員3人が定年を迎え、後任を選考。途中で官邸側に説明したところ、候補の3人のうち2人について難色を示された。この関係者は理由について「聞いていない」と話している。
 一方、会員の法学者でつくる法学委員会は3日の会合で「日本学術会議法上、首相には会員を選考、罷免する権限はない」との考えで一致。違法で即時に是正すべきだとして法的な論点を整理、公表することを決めた。任命を拒否された岡田正則早稲田大学教授(行政法)も法学委員会に出席し「学術会議は特殊な組織。首相による任命といっても、裁量権はない」と発言。終了後の取材に「法律にのっとって処理してほしい」お改めて任命を求めた。

②「任命拒否は不当」 
学術会議問題 研究者ら官邸前で抗議
 
 日本学術会議が推薦した新会員の候補者6人が任命を拒否された問題で、多くの研究者や市民らが3日、首相官営前で理由の説明や撤回を求める抗議集会を開いた。参加者は「学術に関わっていない政府が推薦を覆すのは不当」「日本の民主主義に関わる問題だ」と声を上げた。
 主催者側によると、約300人が参加。「学問の自由を守れ」「日本学術会議への人事介入に抗議する」と書かれたプラカードを掲げていた。
 集会の呼びかけ人になった小原隆治早稲田大教授(地方自治)は、「説明責任を果たそうとしない政府の対応を見て、法治主義立憲主義の危機だと感じた」と強調。
任命されなかった岡田正則早大教授(行政法)も「これは人事の問題ではなく政治と学術をゆがめないよう、首相は潔く間違いを訂正していただきたい」と訴えた。

③学術会議 揺らぐ独立性  首相6人任命拒否 

 介入露骨「政府は敬意捨てた」

 「どうしたらいいか分からない」。日本学術会議が新会員候補6人の任命を菅首相に拒まれるという
前代未聞の事態。梶田隆章・新会長は3日、困惑した表情で報道陣にこう語り、政府に理由を説明するよう再要請すると発表した。科学者の戦争協力への反省から出発し、権力と距離を置いてきた「学者の国会」。影響力は衰えたが、存在感は依然として大きく、政府はこれまで敬意を払い続けてきた。だが、今回は違う。「ついに学会への敬意を捨て去った」(学会関係者)。政治と学術の関係が岐路に立っている。
 学術会議は210人の会員が「人文・社会学」「生命科学」「理学・工学」の3部会構成になっている。こうした組織で文系が3分の1を占めるのは国際的にも珍しいとされる。
 元々は選挙で会員を決めていたが、政府は1983年、学術会議の推薦に基づいて首相が任命する方式に変更。「推薦は拒否せず形だけの任命」との説明だったが、これがほごにされた。

推薦はほごに

 「今回の問題は過去に例がない」。半世紀にわたり学術会議に関わってきた小沼通二・慶応大名誉教授(89)は「政府が気にくわなくても、独立しているから学術会議は自由に意見を言えた」と今後を憂えている。
 学術会議の会員推薦制度は民主主義を強く意識して、三つの部会のそれぞれのある分野別の委員会で行われる。文系なら「法学」「哲学」「社会学」などだ。改選の3年ごとに細かな専門分野を考慮して、代表となるべき会員候補を決める。
 選出の出発点は210人の会員と2千人の連携会員が前年に提出する推薦リスト。選出の作業量は膨大だが、経験者は「こんな人がいたのかという驚きがある」と意義を強調する。
 慎重な選考を重ねて完成した候補者リストは、首相に提出される。
 今回は8月31日に候補者リストを提出した。内閣府が105人中6人は発令がない、理由も説明しないと通告したのは、発令3日前の9月29日夕。退任前の山極寿一・前部会長は、不意打ちにほぼ何もできなかった。
 「会長の顔に泥を塗るような、こんな失礼なことは初めて」(学術会関係者)。これまでは、むしろ政府側が遠慮して露骨な介入を避けてきたはずだったが「今回は何かが違っている」。

16年に予兆

 予兆は2016年にあった。70歳の定年を迎える会員の補充を決める際に、選考段階で名前が挙がっていた2人に官邸側が難色を示した。当時の大西隆会長ら幹部は検討の結果、欠員のままにすることを決めたという。
 このころの学術会議は、軍事研究につながるとの懸念が強かった防衛省の研究助成金をめぐり、活発な議論を行っていた真っ最中。議論は17年3月、この制度を「政府による介入が著しく、問題が多い」と批判する声明に結実する。
 別の関係者は、この時は、「水面下の交渉ができていた。直前の一方的通告でねじ伏せようという今回とは違う」と話す。軍事研究問題が発火点だったかどうか分からないが「何かのきっかけで官邸側が臨界点に達し、一線を越えたのではないか」と指摘している。

 記事は北海道新聞(2020・19・4 )から引用しました。


※※※ 骨川筋衛門のコメント

 学術会議側は、菅官邸側に対して、その尊大な態度に良く耐えていますね。
 官邸としては、最近の標語の「慣例、慣習を破る」「縦割り打破」とかがやかましく言われています。デジタル庁とか、何かで「やっている感じ」を早めに打ち出したいという菅首相の「色」を出したいと思っていることでしょう。少しでも異論を唱える官僚は即座に左遷されると、官僚を抑え込む手段に左遷を「誇示」しています。
 これに似ていますね。そっくりの手法です。
 しかし、相手は科学者だけではなく、法学者も多いので、法的に間違っているということ【前例主義の判決とか、現在の事情に沿って判断するのか】を良く知っている人たちです。
 今回の『騒動』は、首相とい言えども「形」だけの任命と、官僚の任命・左遷は違うということが分からない、取り巻きと本人の「お笑い芝居」にみえます。
 しかも、戦前の誤りの歴史を繰り返さないという「歴史」の反省のもとに作られている【学術会議】です。この学術会議誕生の歴史の重みはほかには代えられないものだと思います。
 首相(官房長官時代でも)という地位の権限には、制限があることを忘れ、あるいは無視して、押し通してきたら政府内、官僚たちには効果があったという「成功体験」が身に固着したのでしょうね。
 付いてくるのは、自分と意見を同じくするあるいは意見を同じくしているふりをする「太鼓持ち」の類だけでしょうね。安倍政権のもとで、「太鼓持ち」をやりこなしてきて、この役割の面白さに、我を忘れて、試したくなったのでしょうね。

 時間がたてば、もっとわかってくるでしょう。

 なぜかこの事件からは、秀吉と利休のことを想起しました。

 しかし、学術会議を左右し、自分の取り巻き連中にばかりにしていくと、今でも崩壊する原発原発の廃棄物とコロナ禍で苦しむ人々をさらに苦しめる結果となることでしょう。
 5Gにも響くでしょうね。
 研究費を自分の好みの人に手厚くすると、歪みが大きくなると思いませんか?

 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏

研究者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様、人民の皆様 
この事態・失態をどうお考えになりますでしょうか?