[204](投稿)仙台高裁、福島第一原発事故で国の責任を問う

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北海道新聞原発事故の責任 国は誠実に受け止めよ

2020年10月5日 北海道新聞
 東京電力福島第1原発事故をめぐり、福島県などの被災者約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟で、仙台高裁が国、東電双方の責任を認めた。
 国が被告となった初の高裁判決で、原発の安全に対して国が負う責任が明確に示された。
 全国に約30ある同種訴訟では、すでに地裁判決が出たすべてで東電の責任は認められてきた一方、国の責任が認められたのは札幌を含む7地裁、否定したのは6地裁と判断が分かれていた。
 とりわけ昨年からは国の責任を否定する判決が相次いでいた。
 この流れの中、上級審津波対策の不備を放置した国を厳しく指弾し、賠償範囲を広げた意味は重い。後続の裁判に影響を与える可能性がある。
 国は誠実に受け止め、被災者支援に力を尽くさねばならない。
 判決は、専門機関が2002年に示した見解に基づき試算していれば大規模津波を予見できたとし、国が東電へ規制権限を行使しなかったのは違法と断じた。
 17年の一審福島地裁判決の筋立てをほぼ踏襲した形だ。
 注目すべきは、判決が「新たな防災対策を回避したがる東電の不誠実な報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局の役割を果たさなかった」などと踏み込んだ表現で国の怠慢を批判した点だ。
 その上で、一審では東電の半分にとどめた国の賠償責任を、国策として原発を推進した立場も踏まえ東電と同等に引き上げた。
 実態に即した妥当な判断だ。これを機に国は規制のあり方をあらためて点検してほしい。
 賠償額は一審判決のほぼ倍の10億円余に増やした。避難指示が出た区域を中心に額を上積みし、賠償の対象地域も広げた。
 裁判官が被災地に足を運び視察したことが大きく影響したと言えるが、従来の補償が被害の実態に見合っていない現状も示した。
 原発事故の補償は国の審査会が定めた指針に基づき東電が担う。額の少なさがかねて問題視されてきた上に、裁判外では東電は指針を上回る額での和解を拒み続け、被災者救済の遅れを招いている。
 そもそも指針は補償の上限ではなく、最低限の目安を定めたものだ。東電は硬直した姿勢を改めるべきだし、国は指針の見直しを早急に進める必要があろう。
 判決を受け入れ、被災者の生活再建を親身に支えるのが加害者たる東電と、被害を防げなかった国の当然の責務だ。

以上は北海道新聞のデジタルからの引用です。

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント

 「東京電力福島第1原発事故をめぐり、福島県などの被災者約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟で、仙台高裁が国、東電双方の責任を認めた」ということが強調されているのは、これまでは、約30件ある同じ訴訟で、東電の責任をすべて認めてきたが、国策で原発を推進してきた国の責任を認める地裁の判決が、札幌を含む7地裁、否定したのは6地裁と判断が分かれていたからです。
 そして、この判決が重要なのは、今後の「国にも責任があるとする」訴訟に大きな影響があるからです。同時に賠償額も1審判決の倍の10億円に引き上げ、賠償地域も広げたことです。

 この問題は、北海道の寿都町神恵内村の高レベル放射性廃棄物を埋め立て、事故が起こった時に、賠償責任を国がどれくらいとるのかという問題にもつながるので、この裁判の今後をしっかりと寿都町の町民の方、神恵内村の村民の方もしっかり見届けなければならないということと、保証を確約することも忘れないことが大事です。
 福島原発事故で、多くの避難者が他界され、長く住み慣れた土地から離れざるを得なくなり、親戚や友人のいる町や、なじみのない土地に住まいと働き口を求めて避難した方は大勢いらっしゃいます。
 当時問題になったのは、今の新型コロナの問題と同じく、避難した人やその子供さんが、移住した土地で、「白い目」で見られ、子供たちが「いじめ」にあってしまうという二重・三重の苦しみも抱え込んだことです。
 とりわけこの愚かな国は、「同調圧力」が強く、「コロナに罹患した」という噂だけでも、その町から他の地域に移らなければ生きていけないという「風当り」が強いという風潮があります。今回の新型コロナの渦中でも、子供さんが「いじめの対象」になってしまうことが生じています。もちろん大人もそうですが。
 各都道府県で、この問題を取り上げていますが、このような酷(ひど)い現実は、まだなくなっていないとおもいます。
 このような事も踏まえて、核のゴミの調査の受け入れ問題に向き合わなければ、何が起こるか分かりません。全町村民の賛否も問わないこともおかしな話だと思います。「風評被害」が起きて、損害を被った時に「いくら保証するか」ということも、調査費だけでなく取り決めておかなくてはなりません。必ずしも「文献調査」の全額(最大額)が、払われるわけではないからです。
 同じ「カネ問題」が重要な焦点となっていますが、「事故」が起こった時のことを想定しておかなくては、裁判は長引いていくだけになってしまいます。「確証」を取っておきなさいと忠告してくれている言葉にも注意を払っておかないと何が起きるか分かりません。政権のトップがいつ応対するか分かりません。政策も変化していきます。
 そこまで考えて、町村民の方たちは、「核のごみ・高レベル放射性廃棄物問題」に向き合っていただきたいと思います。
 読者の皆様、労働者の皆様、人民の皆様、学生の皆様、皆さまも「福島原発災害」を再度考え、同時に「核のごみ・高レベル放射性廃棄物問題」に立ち向かって頂きたいと思います。