[205](投稿)拙速な文献調査応募は問題があり

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北海道新聞】 核のごみ文献調査 拙速な応募に反対する

2020年10月2日 北海道新聞からの引用です。

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、第1段階にあたる文献調査に応募する動きが大詰めの段階だ。
 後志管内寿都町の片岡春雄町長は、応募する方針を固めたという。来週の町議会全員協議会で半数以上が賛成するとみられ、議会の理解が得られたと判断する。
 同管内神恵内村は地元商工会が応募検討を求めた請願を、議会が採択する見通しだ。高橋昌幸村長は議会の意向を重視する考えで、応募は濃厚とみられる。
 ただ、危険性の高い核のごみの最終処分について、安全な方法は確立されていない。文献調査の実施が、将来の処分場設置につながらないという主張も詭弁(きべん)だ。
 いったん調査が始まると後戻りできる保証がないため、地元住民や周辺自治体、道内に不安が広がる。そんな状態の中での応募は拙速であり、反対せざるを得ない。
地層処分に疑問の声
 核のごみは、原発から出る使用済み核燃料から再利用できるウランやプルトニウムを抽出した後の廃液のことだ。
 政府はこれをガラス固化体にして最終処分する方針だが、高い放射線を放つのが問題だ。安全なレベルに低減するまでに約10万年かかると言われる。


 政府は2000年、核のごみを地下300メートルより深く埋める地層処分にすると法律で定めた。しかし、日本学術会議は12年に、千年以上先まで安全に保管可能かは予測できないと見直しを求めた。
 地震が頻発する日本で、10万年間事故が発生しない保証はどこにもない。いったん放射性物質が漏れ出せば、取り返しのつかない被害の発生は容易に想像がつく。
 地域住民が不安を抱くのは当然だ。周辺自治体や1次産業団体から風評被害の懸念が出ている。
 核のごみの最終処分の方法が確立されていないにもかかわらず、政府は原発稼働を推進してきた。行き場のない核のごみを増産させた責任は政府にある。
■町長の説明は不十分
 寿都町は先月以降、住民説明会を9回開いた。町長の説明は、住民の疑問を解消できていない。
 処分場の安全性については「断言する知識はない。一緒に学ぼう」と述べた。安全が確約できないなら、できるまで判断を保留すべきだろう。
 文献調査と処分場の関係については「応募は最終処分場の誘致に即つながらない」とも説明した。だが、文献調査は処分場の設置を目的にしている。設置と切り離せるという考えは不適切だ。
 応募検討の理由に町の財政難を挙げる。しかし、文献調査で得られる20億円の交付金について「永遠には続かない。戦後最大の不況を軽減したい」とし、目先の対応でしかないことを露呈させた。
 町長は20年かけて精密調査まで行った上で、設置は後の世代が判断するとの考えだ。町の将来像には言及せず、未来の世代に対応を委ねるのは無責任ではないか。
 「町民の反対意見が51%を超えれば応募しない」と発言したこともあったが、意見聴取は行われていない。住民は住民投票の実施を要求しているが、町長は文献調査の段階での実施には消極的だ。
 これで住民合意が得られたとはとても言えまい。町内には町長の解職請求(リコール)を模索する動きもある。このまま進んでも町民の分断を深めるだけだろう。
 町長の考えが表面化すると、町民や近隣自治体、1次産業団体から反対論が噴出した。
 鈴木直道知事は、放射性廃棄物の道内持ち込みを「受け入れ難い」とした道核抜き条例の趣旨を踏まえ反対を表明した。
 道民の不安解消を図るのは知事の責務と言える。応募を黙認せず、明確な対応を求めたい。
地方財政に抜本策を
 応募検討の背景に、人口減少や経済縮減など地方の苦境がある。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で、基幹産業の観光や1次産業、加工業も打撃を受けた。
 その打開策として核ごみ文献調査に応募するのでは短絡的すぎる。あらゆる可能性を検討した上での判断なのだろうか。
 町長は町の現状に対処することは「きれいごとではない」と強調する。そのために周辺地域への影響を顧みないのでは身勝手のそしりを免れないだろう。
 地域経済の行き詰まりは、全道に共通する問題でもある。国が抜本的な地方財政対策を講じてこなかったつけが今、回ってきていると言えよう。
 疲弊した地域に、処分場に関する交付金をかざすことで、調査へ誘導する手法は承服できない。
 国は自治体が自由に使い道を選べる包括交付金を設けるなど、地域の活力を引き出す政策をもっと打ち出すべきだ。

※※※ 骨川筋衛門のコメント

①「政府は2000年、核のごみを地下300メートルより深く埋める地層処分にすると法律で定め」ているが「日本学術会議は12年に、千年以上先まで安全に保管可能かは予測できないと見直しを求めている」。(このことも、日本学術会議の推薦者が拒否された理由の一つかもしれませんね)

②10万年先まで、地震が起きて、地層から高レベル放射性廃棄物が飛散しないという保証は何もないですね。安全神話に彩られていた「福島原発メルトダウン放射能の拡散」が2011年の災害で、日本で現実に起きているのですから。容易に想像がつきますよね。

③文献調査の目的は、核の廃棄物を地下300メートル以下の地層に安置し、お棺に入れるのが目的ですから、途中で引き返すことはできませんね。今の法律で後戻りあるいは中止できるという保証の項目はないですから。

住民投票も、寿都町神恵内村住民投票はしないと明言しています。反対派が多ければ、せっかくの町村長・商工会のカネ目当ての目論見が消え去ってしまうと彼らにとっては「がっかり」ですから。カネ、カネ、カネの亡者ですから。

⑤漁業や農業に従事している方たちにとって、放射能汚染が、福島県の一次産業に与えた影響を見れば、とても危険だと思うでしょうね。

読者の皆様、労働者の皆様、その家族の皆様、学生諸君はどう思われますか。