[229](投稿)首相所信表明演説、原発に依存するエネルギー政策

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学術会議、触れず 首相所信表明 「温室ガス50年ゼロ」

第203臨時国会が26日召集された。菅義偉首相は就任後初の所信表明演説を衆参両院本会議で行い、「2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする」と述べ、脱炭素社会の実現を目指すと宣言。「北方領土問題を次の世代に先送りせず、終止符を打たねばならない」と強調した。論戦の焦点になっている会員候補6人の任命拒否問題を含め、日本学術会議には言及しなかった。
首相は成長戦略の柱に「グリーン社会の実現」を位置づけ、その「鍵」として次世代型太陽電池や、二酸化炭素の再利用の研究・開発を挙げた。脱炭素社会に向けた国と地方の協議の場を設ける方針を示し、「安全最優先で原子力政策を進める」とも明言した。
新型コロナウイルス対策では全国民分のワクチンを来年前半に確保するとし、経済活動との両立を主張。看板政策とするデジタル庁は「来年の始動に向け、早急に準備を進める」、マイナンバーカードは「今後2年半のうちにほぼ全国民に行き渡ることを目指す」と説明。行政手続きでの押印の原則廃止を表明した。
不妊治療については「所得制限を撤廃し、保険適用を早期に実現する」と述べ、男性の育休促進を約束。携帯電話料金の値下げなど「できるものからすぐに着手し、成果を実感いただきたい」と語った。「自助・共助・公助」「働く内閣」を掲げ、行政の縦割りや既得権益、あしき前例主義を打破して規制改革を進めるとアピールした。
憲法については「あるべき姿を最終的に決めるのは国民」と述べ、憲法審査会で各党が考え方を示した上で議論するよう求めた。東京五輪パラリンピックについて「人類がウイルスに打ち勝った証しとして開催する決意だ」と呼びかけた。
地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策を巡り、安倍晋三前首相が発表した談話に触れて「方策をとりまとめる」と述べた。談話は敵基地攻撃能力の保有の是非を含め、年内に結論を出すよう促している。
00年以降、衆院選を経ずに首相になった7人は就任から2~11日以内に所信表明演説をし、首相は40日後で最も遅かった。臨時国会は12月5日までの41日間。(佐藤陽介、田島工幸)
北海道新聞デジタルより引用しました。
2020・10・27

◆以下は、各項目のなかの「政府のエネルギー政策」を引用し、そののちにコメントいたします。


 脱炭素 見えぬ本気度 石炭火発全廃掲げず 
 専門家「再生エネ増重要」

 菅は2050年に温室ガスの排出量を「実質ゼロ」とする目標を表明した。実現の鍵を握るのは、二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電所の大胆な削減だ。だが、旧式石炭火発の休止を打ち出す一方、高効率的な石炭火発は温存しつつ目標を達成するという。「全廃」を打ち出す欧州各国に比べ本気度は疑わしい。専門家は、石炭火発全廃と原発に頼らない抜本的な政策転換が不可欠だとする。
 「石炭火発を全廃しなくても、回収した二酸化炭素を海底に埋めたり燃料に再利用したりして目標達成を目指していく」と梶山産業相はこう強調した梶山は7月、国内に140基ある石炭火発のうち旧式の100基程度を30年度までに休廃止させると表明。ただ高効率の火発は残す方針で、実現できても全電力に占める石炭火発の比率は26%とゼロにはほど遠い。
 欧州の電力事情に詳しい内藤克彦京大大学院特任教授は「二酸化炭素を埋めるなどの技術開発は遅れておりコストも高い。高効率の石炭火発だけを残すというのは、世界では通用しない」と実現性を疑問視する。石炭火発全廃を目指すには再生可能エネルギー拡大が欠かせない。
 泊原発の停止が長引く道内は発電量に占める
石炭火力の割合が52%(18年度)と、全国の32%を大きく上回る。
 泊再稼働の見通しが全く立たない中、二酸化炭素排出ゼロを支えられるのは再生エネだ。都留文科大の高橋洋巨樹(エネルギー政策)は「道内外の送電線を増強するなどの環境整備を今から急がないと、50年には間に合わない」と話す。
 国は今月、30年度の電源構成割合の目標値の改定に向けた議論を始めた。「原発は20~22%」など15年以来踏襲してきた目標を大胆に変えられるかどうかが焦点になっている。
 国は二酸化炭素を出さない電源として、原発を引き続き重視する。だが脱原発を望む世論も背景に再稼働は進まず、訴訟やトラブルでいつ長期停止するか分からない不安定さを抱える。50年までには多くの原発は40年の運転期間を迎える。
「今は新増設も建て替えも考えていない」(梶山)ため、廃炉によって減り続ける公算が大きい。
 温暖化対策に詳しい東大未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授はこう語る「二酸化炭素ゼロの目標を達成できるかどうかは、石炭火発を含めた火力の割合をどれだけゼロに近づけられるかにかかっている。その上で、再稼働が不透明な原発に頼りすぎず、再生エネ比率を高めていくことが重要だ」

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント
 「電源構成の現状と目標」2018年度の(数字は%2050年度は複数の識者が提唱する案)という表が新聞に掲載されていていて、以下のようになっています。

2018年度の火力の割合は77%⇒30年度目標
56%⇒50年度目標 原発依存度を可能な限り下げる
石炭32% ⇒ 26% ⇒再生エネルギー 主力電源に向けてできるだけ拡大
石油7%⇒ 3% ⇒再生エネルギー 主力電源に向けてできるだけ拡大
天然ガス28% ⇒27%⇒再生エネルギー 主力電源に向けてできるだけ拡大

 すなわち、原発をこれからも使い続けるという方策ですが、「再生エネルギーをいかに作り出すか」
という「各国の資本主義的技術革新の競争世界」が想定されていて、これに打ち勝つイノベーション
求めていく方針ということです。

 例えば、下水などに住む「ミドリムシ」は、太陽を浴びて光合成をするのだが、二酸化炭素を大量に
送り込むことで、光合成がさらに盛んになり、「油分」を作り出す能力も高まる。
 今日では、この油分で走るバスが運行している例が出ています。
 二酸化炭素を吐き出すことと、二酸化炭素を取りこんで燃料にすることで、二酸化炭素の「動的平衡」を保つという計画です。
 しかし、同じ事なら、樹木を植え、土地・地球に緑を増やし、それらを「共同体」が管理し、食料等の増産を図り、カジノ資本主義社会(投機的資本主義社会)から抜け出していく道を選びたいと思います。

 今回、日本学術会議の問題は全く無視され、取り上げられませんでした。
 日本学術会議を解体する・政権の下僕にするという方針ならば、「資本主義的技術革新」はさらに遅れるでしょうね。日本学術会議は、「政府から独立した組織」と言う理念はどこへ行ってしまったのでしょうか?
 政治的に、日本学術会議を無視し、自己の権勢を誇るだけの政権ならば、「投機的資本主義的社会の目標」も儚(はかな)い・仮初(かりそめ)のものとなるでしょうね。

 デジタル庁を作り、判子をなくすというのですが、少子高齢化社会で、デジタルに強い高齢者は何人いるのでしょうか?
 また、これからデジタルに強くなる「高齢者」は何人出てくるでしょうか。
 リモートで学習することと、実際の授業を受けることでは「差異がある」と言われています。
「学習」だけでなく「人間関係」も子供時代から青年期まで学ばないと「いびつな人たち」が大勢輩出してくるのではないかと案じます。また、経済格差があり、「デジタル難民」が多数出てくることも考えられます。

 今回のコロナ禍で、分かったのは、給付金を受け取るのは、「手書き」が早くて「安心」だということです。
 マイナンバーを紐付けにしたいという「狙い」を基底にした「デジタル化」ですが、既に、おおきな「持続化給付金遅滞の混乱」が起き、また事業をしていない若者に「偽の持続化給付金を申請させて、あぶく銭をかすめ取る」事件が広がりました。
 このようなことが、起きないためにどうするかも問われています。
また、「個人の秘密」を守ることにもつながる、マイナンバーの紐付けに反対することはとても重要です(運転免許・医療保険等々にマイナンバーをつけることに反対です!!)。
 「デジタルを駆使して儲けるオトモダチ会社(大手の資本家)にばかりに奉仕する」政府を批判し、読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様は一致団結して、政府の方針に反対の声を上げていこうではありませんか!!