[236](投稿)任命拒否理由二転三転

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学術会議任命拒否

「多様性が大事」→女性や50代も除外 「旧帝大に偏り」→拒否の半数は私大 

反論受け発言修正

 日本学術会議の任命拒否問題を巡り、菅義偉首相の説明の矛盾や事実誤認が際立つ。会員候補6人の除外について「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動」を実現するための判断だと繰り返した上で、従来の人選に「偏り」があり「多様性が大事」と次々新しい言葉を持ち出すが、学術会議側などからの反論が絶えない。発言の修正も相次ぐ中、問題の核心である任命拒否の具体的な説明は避け続け、恣意(しい)的人事との疑念は一向に拭えない。
 由来は、政府の総合科学技術会議が2003年にまとめた報告書にある「学術会議は総合的、俯瞰的な観点から活動することが求められる」との記述だ。
 首相が最初に持ち出したのが「総合的、俯瞰的」のフレーズ。10月5日のインタビューで、6人の除外理由を「総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から、今回の任命について判断した」と述べて以降、国会答弁などでも多用している。
 だが民主主義科学者協会法律部会は、任命拒否を受けた声明で、「総合的、俯瞰的」は会員選考の要件ではなく「学術会議の在り方を意味する」と指摘。報告書を受けた04年の改正日本学術会議法にこの文言は入っておらず「法定外の選考要件」と批判する。実際、同法は会員の任命に関し「優れた研究または業績がある科学者」と示すだけだ。
 報告書は「人文・社会科学を含む総合的な視点」の必要性も指摘。除外された6人はいずれも人文・社会科学の研究者で、うち一人の早稲田大の岡田正則教授は「6人を拒否すればかえって『総合的』でなくなるのでは」といぶかる。
 首相は9日のインタビューで拒否について「広い視野でバランスの取れた活動」のためとも語ったが、6人の任命がなぜ学術会議の活動のバランスを崩すのか、具体的な説明はない。
 こうした中、首相が26日のNHK番組で新たに持ち出したのが、会員に民間や若手が少なく、一部の大学に偏っているとの考えに基づく「多様性が大事」との説明だ。だが6人には会員で比率の少ない女性や50代前半の若い研究者も含まれる。会員ゼロの東京慈恵医大、会員1人の立命館大の教授もおり、野党は「矛盾している」と非難する。
 30日の参院本会議で首相は「旧帝国大に所属する会員が45%を占め、私立大は24%にとどまる」と細かに数字を挙げたが、6人のうち3人は私大所属。学術会議側も「多様性を重視して選んでいる」と反論する。首相の発言修正も少なくない。9日のインタビューでは6人を除外する前の推薦者名簿を「見ていない」と述べたが、3日後に加藤勝信官房長官が「詳しくは見ていなかった」と釈明。「現在の会員が後任を指名することが可能な仕組みだ」とした発言も後に「指名」を「推薦」に変えた。野党は2日に始まる首相との一問一答形式の質疑となる衆参の予算委員会で、説明の矛盾に照準を合わせる方針。国会論戦は激しさを増す見通しだ。(玉邑哲也)


首相、際立つ矛盾・誤認 学術会議人事問題 「多様性が大事」→女性や50代も除外 「旧帝大に偏り」→拒否の半数は私大 反論受け発言修正
2020/11/1 北海道新聞デジタル版から引用しました。

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント

 基本的に、なぜ、首相になったばかりの時期に、しかも、足下の日本も世界中もコロナ禍で苦しんでいるときに、「不要不急」の、「日本学術会議」の「会員任命」という人事に「言いがかり」をつけるのかということが問題ですね。菅の「屁理屈」は「際立つ矛盾・誤認」に満ち満ちていますが、これも「ああ言えばこう言う」の類ですが、心底は、「政府の言動に文句つける・反対する人物は気にくわない。除外する」ということでしょうね。
 しかし、一人歩きでどんどん進むものだから、日を追うごとに文句の内容が「際立つ矛盾と誤認」に満ち溢れていくだけとなり、大きな事件となり、「世間を代表する報道機関」にも指摘されてきています。
 政府の政策に反対する人物を除外するための理由が「矛盾と誤認」であるということは、菅も分かってやっていることなのですが、収拾がつかなくなって、「兵糧攻め」として「10億円減らし」策、「国家公務員減らし」策などを恫喝(どうかつ)として持ち出しました。この決着はいつつくんでしょうね。支持率は下がっています。
 今世間が困っていることは第一にコロナ対策と経済対策の成り立ちそうもない「両立」です。そのためには、普段に、科学者・学者の知恵を借りなくてはなりません。自明のことです。そのための前準備は、優れた研究者・学者と研究するための資金と、研究者の助手と、それらをまた助ける事務官等を増やさなければなりません。そのためには、日本学術会議の運営資金・給与等だけでなく、各研究機関、各大学に豊富な資金をつぎ込まなければ「ブレイクスルー」するような研究成果は出てきません。
 土も水も肥料もなく、人手もなくて良いコメを作ったり、おいしい果実を作れますでしょうか?時間もかかることも多々あるでしょう。秀吉の「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」ではなく、家康のように「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」となりませんかね~~