[256](投稿)反省しない菅首相、学術会議に軍事研究受け入れ迫る

f:id:new-corona-kiki:20201118174311j:plain
研究の軍事利用、学術会議に検討促す 井上科技相が答弁
2020年11月17日 朝日デジタル版より引用
 菅政権が進める日本学術会議のあり方の見直しについて、井上信治・科学技術担当相は17日の参院内閣委員会で、研究成果が民生と軍事の両面で使われる「デュアルユース」(軍民両用)について検討するよう、学術会議に伝えたことを明らかにした。
 菅政権と自民党は、任命拒否をきっかけに学術会議のあり方について見直しを始めたが、学術会議が長年歯止めをかけてきた軍事研究についても見直しの検討を促していることが浮き彫りになった。
 井上氏は、自民党山谷えり子氏への答弁で、「デュアルユースについて、時代の変化に合わせて冷静に考えていかなければいけない課題だ」と語った。こうした考えを学術会議の梶田隆章会長にも伝えたとした上で、「まずは学術会議自身でどう検討をされるか、待っている」と述べた。

「軍事研究、一貫して否定的」に根強い不満

学術会議のあり方をめぐっては10月23日、井上、梶田両氏の会談で、学術会議が自ら課題を検証し、年内に井上氏に報告することで合意した。学術会議側は、提言機能や情報発信力の強化、会員の選考方法の透明化など5項目を検証するが、軍民両用の問題は含まれていなかった。学術会議は、科学者が太平洋戦争に協力したことを反省して創設された経緯も踏まえ、1950年と67年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を発表するなど、軍事研究に一貫して否定的な立場をとる。
2017年には、防衛装備庁が創設した研究助成制度をめぐり、軍事研究を禁じた過去2回の声明を継承するとの声明を発表した。しかし、こうした学術会議の姿勢には、中国の台頭に危機感をもつ自民党や、経済界から不満の声が根強い。自民党柴山昌彦幹事長代理は10月25日のNHK番組で、「(学術会議が)軍事研究を行わないという提言を盾に、デュアルユースの研究が進まないとの問題も指摘されている」と主張。甘利明税調会長も6月の民放番組で「世界はデュアルユースで、最先端の技術はいつでも軍事転用できる」と話していた。
 また、今月9日、井上氏と政府の総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員が意見交換をした際にも、民間企業のトップが「国家の安全保障とサイエンスはほぼ境界がない。米中のはざまで日本がどう生きるか議論が必要だ」などと軍民両用を検討するよう訴えていた。
 加藤勝信官房長官は17日の記者会見で「まずは学術会議がご自身で考えるべきものと承知している。デュアルユースだけではなくて幅広い課題全体を踏まえながら、井上大臣は答弁した」と述べた。
 これに対し、共産党の田村智子政策委員長は「学術会議の土台を覆そうとしている。政府は『学術会議の態度がけしからん』ということで、世論を学術会議への攻撃に仕向けているように見える。戦前と全く一緒ではないか」と批判した。


※※※ 与謝野晶児のコメント

 政府・自民党の井上科学技術担当相が「菅の代理戦争」に本格的に「参戦」させられました。これは、前段に日本学術会議会長・梶田隆章氏と井上科学技術担当相が会談する機会を設けていますが、井上は菅の「使い走り」で、「聞いておく」くらいの役目でしかないことは、すでにこのブログで述べられています。
 現下の「新型コロナ感染対策と経済の両輪を回すこと」と同じで、この「科学研究と戦争に役立つ研究を請け負うということ」は、「トレードオフ」です。(トレードオフとは、「目的に向けて、一方を立てれば他方がまずくなるといった、二つの仕方・在り方の間の関係」という意味です)。
 その起源は、学術会議の(注1)成立の歴史とその意義にあります。戦前のおバカな軍部が政権を奪取して、原爆まで落とされ、また、多くの餓死者を戦地で出した歴史の反省なども加味し(1950年と67年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を発表)、その後、軍事研究問題が生じ、軍事研究をしないということが太い柱の1つとなっています(2017年には、防衛装備庁が創設した研究助成制度をめぐり、軍事研究を禁じた過去2回の声明を継承するとの声明を発表)。以下の「軍事研究に関する声明」をご覧ください。先のWikipediaで「日本学術会議」の内容を隅から隅までお読みいただければ、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」(注2)(注3)が出ていることが分かると思います。

 それらを、昨今の菅なら知らないで日本学術会議を自分の足元に押し込むことを企てることは十分考えられますが、側近が「爆発する・頭に血が上る」菅を怖がって、提言・助言しないようにふるまっていることにあるかもしれないと想像します。なぜなら、菅にとって「余計なこと」と感じることを言うと、「爆発して」、助言者を「首切り=左遷」にすると恐れているからだと言ってよいでしょう。
 感染対策もアベと同じくうまくいかず、経済もうまくいかず、他人に怒りをぶつけるしかできないスガタを日々見ている官僚と各大臣ばかりです。デジタル庁も官邸直属にすると報道されています。何事も自分の直下でするように勝手に組織改悪して、評価を得れば、菅自身の手柄にしてしまい、首相を継続する腹だと思われます。日本学術会議をどう「料理」するかが、菅自ら自分の「真価」を問われるかのような「難問」にしてしまって、窮地に陥ってしまったと思います。それで、さらに「じたばたして」、無駄な労力を使い、支持率をさらに落とす「日本学術会議という架空の敵との戦い」を継続しているとしか見えません。とても滑稽です。
 しかし、これは恐ろしいことです。自作自演で、中国との戦いを始めたことで、最後は太平洋戦争まで強行し、息の根を止められた悲惨な歴史を学んでいない「愚かな首相」ほど、怖いものはないと思います。「戦争ができる国」を作ろうとしている支配者階級と私たちは、しっかり対峙していかなければならないと思います。
 このような「戦争ができる国」作りを目指している菅政権に、読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様、皆で一致団結して菅の「戦争のできる国づくり」に反対の声を上げ、阻止していきましょう!!


●付録: 
与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」

 「非戦の声」というブログに「反戦」の詩が多く掲載されています。以下にそのアドレスをお示しいたします。
 http://www.haizara.net/~shimirin/on/akiko_03/poem_hyo.php?p=12

●付録: 同じく「非戦の声」に、黒田三郎氏の詩が載っています。
 http://www.haizara.net/~shimirin/on/akiko_03/poem_hyo.php?p=9

多数を通読されて、反戦・反菅独裁政権に対して戦争加担政策反対の声を上げて頂ければ幸いです。

注1:日本学術会議 とはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0#%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E

注2:「軍事目的のための科学研究を行わない声明」

朝鮮戦争開戦の2か月前、1950年6月に「戦争を助長し、戦争に協力すると思われる研究には、今後絶対に従わない」という声明案が提案され、最終的に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」というタイトルで採択された[181]。また、ベトナム戦争時の1965年、日本学術会議から国際科学会議(ICSU)に派遣されていた藤岡由夫は「資金源についての申し合わせ」を提案し、「ICSUとその傘下組織は、いかなる目的であっても、国家のいかなる軍事組織からも、資金を受け入れあるいは仲介してはならない」ことが確認されている[182]。
1967年5月、日本物理学会 主催、日本学術会議 後援により国際純粋・応用物理学連合傘下の半導体国際会議が京都で開催されたが[183]、この会議におけるアメリカの参加者に対して米国陸軍極東研究開発局から資金供与があったことが明らかとなる[183][184]。
さらに極東研究開発局が1959年から19の日本の大学・研究所に対して、アメリカで研究されていない医学などの研究に総額で数百万ドルの資金を援助していたことも発覚する[184]。当時会長であった朝永振一郎参議院予算委員会に呼ばれる事態に発展し[183]、朝永は記者会見で遺憾の意を表明[184]。日本学術会議では運営審議会を経て、学問思想の自由委員会や学術交流委員会、長期研究計画委員会などの常置委員会で議論を重ね、5委員長の連名で声明を発表する[183]。この声明は1950年とほぼ同じ内容であったが、表題は「軍事目的のための科学研究を行わない声明」となっていた[183][185]。


注3:渡辺白泉  戦争が廊下の奥に立つてゐた

  気づいてみれば、「戦争状態に突入していた」ということならぬようにしたいものですね。