[300]新型コロナ危機のなかにある現代世界 その2

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管理人より
ブログ『新型コロナ危機のなかで』が300回目になりました。投稿していただいた皆さん、読者の皆さんありがとうございました。
感染症はなお拡大し続けています。ウィルスの広がりは「コロナ」ということばを世界中の人びとの共通語にしてしまいました。特定の病気をさす、ひとつのことばが世界の津々浦々の人びとから語られるのは歴史上はじめてのことだと思います。ウイルスはヒトの細胞の中にはいって世界中の国の内外を行き来しています。新型コロナウイルス感染症は「時代の病」といえるでしょう。
資本主義の勃興と発展の過程は同時に国家間戦争の世界的広がりの過程でもありました。そして、20世紀末のソ連邦の自己崩壊以降、グローバル化した資本主義は国境を越え、「ヒト・モノ・カネ」は以前より遥かに「自由」に世界を行き交うようになりました。新型コロナウイルスはこの流れに乗り、現代社会を震撼させています。

「新型コロナ危機のなかにある現代世界」その2

米国の金持ちトップ50人の合計資産額は、下位半分に属する米国民の富の合計とほぼ等しい。新型コロナウイルスは少数の億万長者が偏った恩恵を受ける経済の変化を加速させました。

 米連邦準備制度理事会FRB)がまとめた2020年上期末までのデータで、人種、年齢、社会的階層による著しい資産格差が浮き彫りになった。上位1%の富裕層の合計純資産額34兆2000億ドル(約3620兆円)に対し、下位50%(約1億6500万人)の資産額は合計2兆800億ドルにとどまり、全米の家計資産の1.9%にすぎない。
一方、ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、金持ち上位50人の合計資産は今年初めに比べ3390億ドル増え、約2兆ドルに達した。
Bloombergより

貧富の差の拡大

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、2020年には新たに8,800万人から1億1,500万人が極度の貧困に陥ると予測されている。景気後退の深刻度次第では、その数は2021年には最大1億5,000万人まで増加する可能性がある。世界銀行が隔年で発行する報告書「貧困と繁栄の共有」は、2020年の世界人口に占める極度の貧困層(1日1.90ドル未満で生活する人々)の割合を9.1~9.4%と予測しているが、これは2017年の水準(9.2%)に逆戻りすることを意味する。新型コロナウイルス感染症の世界的流行が発生していなければ、2020年の貧困率は7.9%に低下すると予測されていた。
以上「 世界銀行」より

アメリカでいま一千万超の失業者がいます。貧富の格差が広がっていますが、この拡大は新型コロナ感染症にたいする政府、資本家、経営者の対応策によって世界的に顕著な形であらわれています。それは日本も例外ではありません。

読者の皆さまのなかには「インターナショナル」という歌をご存知のかたもいらっしゃると思います。「起て飢えたるものよいまぞ日は近し······あゝインターナショナルわれらがもの」という、闘いの歌です。権力の弾圧に抗して労働者階級は国際的に団結しようという歌です。
その歌を知る人は少なくなってきました。ソ連共産党をはじめ世界の公認共産党の頽落によって労働者階級の国際的連帯が弱まるのと入れ替わるように資本のグローバル化が世界を覆いました。1991年、ソ連邦が第二革命によって打ち倒され変革されるのではなく、自己崩壊して以後、資本家階級は「資本主義の勝利」の声に沸き我が世の春を謳歌しました。
が、それも束の間、2008年、カジノ化した資本主義はため込んだバブルが破裂しサブプライム危機といわれた金融恐慌にみまわれたのです。資本家はそれでも経済危機の犠牲を労働者に転嫁して生き延びてきました。
こんにちのコロナ危機のなかの不況と失業、労働者・貧困層の生活苦のなかでの罹患、その反面における誘導された株高による資本家の肥え太りという現実は現代資本主義の行き詰まりを示しているのではないでしょうか。
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<追記>
こんにち、ますます資本主義的に変貌した習近平の中国では、肥大化した資本家階級とその政府が反対運動をおさえこむために躍起になっています。
習近平に使嗾された香港政府の警察は香港の五大要求運動のリーダーを国家安全維持法違反で根こそぎ逮捕しました。弾圧をおそれず闘う香港の労働者・学生・メディア関連の人たちに支援を‼️