[316](投稿)イソップ寓話

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現代の社会情勢を寓話で 時代を視る 川村湊(文芸評論家) 2020・12・22

■ イソップの寓話
 イソップは、ギリシャの奴隷だった。彼は言った、「私はこの海の水をみんな飲み干してみせよう」と。「ようし、それならそれを見せてくれ」と奴隷商人は言いました。すると、イソップ、「その前にこの海に注いでいる川の水を止めてくれ、私が飲み干すのは、今の海の水なのだから」と。
 
名医のヒポクラテスが言った。「私がこのパンデミックの猖獗(しょうけつ)を止めてみせよう」と。
 マスク姿の大臣が言いました。「ようし、それならどれだけ費用がかかってもいいから、そうしてくれ」と。ヒポクラテスは、言った。「その前にこのGo To の人の流れを止めてくれ。止められなくては、パンデミックも止められない」と。
 至言・逝(ゆ)く川の流れと、人の世の流行病(はやりやまい)は、絶ゆることなし。

■アリとキリギリス
 夏の間、キリギリスは歌って遊び続けた。「コロナなんか恐(こわ)くない。ウイルスなんか恐くない。怖いのは経済の停滞だけさ」と。アリは、夏の
間もせっせと働き続けた。「寒さの冬は、もうすぐ来るぞ。木枯らしピューピュー吹く前に準備万端怠りなく、病床確保も十分に」と。
 冬が来た。何の準備もしなかったキリギリスはカゼに罹(かか)り、熱を出して病院にかかった。準備万端だったアリも、やはりカゼに罹(かか)って病院に入った。歌っていても、せっせと働いていても、同じ事なら、歌って遊んでいた方が良かったと、働きアリはキリギリスに愚痴った。「いや、君が働いて動き回ったおかげで、カゼが流行ってしまったぞ」と、キリギリスはアリを逆恨みした。

標語・〇近寄るな――咳(せき)する人に。
   〇鼻口を覆(おほ)え――他人(ひと)の為(ため)にも/身のためにも。
   〇予防注射を――転ばぬ先に。
   〇含嗽(うがい)せよ――朝な夕なに。 
 大正8(1919)年、大日本帝國内務省衛生局發令(はつれい)

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント

川村湊氏は文芸評論家です。 もう一つ「三人の裸の王様」というのがありますが、別個に掲載させていただきます。
大正8年の「標語」は、基本的にはパンデミックの時代に、多くとられた「防御の行為」です。予防注射があったかな??確かではありませんが、とりあえず、掲載された北海道新聞と著者の書かれたままに掲載いたしました。マスクは欧州の黒死病ペスト菌が引き起こします)のパンデミックから始まったと言われています。ペスト菌抗生物質で治療されますが、効果がない場合もあるようです。