[349](投稿)打つ手なし

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新型コロナウイルスの猛威を前に、打つ手打つ手が「後手に回った」と批判を浴びる菅義偉首相。人の動きを止め、強力な感染拡大防止策に集中できないのは、経済への打撃が計り知れないためだ。ただ、一連の対応は純粋な政策的判断だけによるものではなく、政権の後ろ盾である自民党二階俊博幹事長に対する忖度(そんたく)もあったのではないかとの見方も根強い。
 首相が緊急事態宣言を決定した7日。首相官邸や国会で進む事前の手続きがテレビ中継され、日本中の耳目が集まっていた。こうした中、正月明けで人けもまばらな自民党本部9階会議室で、二階氏とその右腕である林幹雄幹事長代理ら党観光立国調査会の面々が、観光業界団体の幹部ら約30人と向き合った。宣言が解除されれば、停止中の観光支援事業「Go To トラベル」を速やかに再開すべきだとの立場で一致した。
 トラベル事業は、コロナ禍で打撃を受けた旅館やホテル、旅行会社など観光業者を下支えするため、政府が補助金を出して旅行を促す政策だ。安倍政権の下、昨年7月のスタート時から、官房長官だった首相の肝煎りとされてきた。だが、首相と緊密な関係にあり、全国旅行業協会の会長も務める二階氏の強い意向もあったとみられている。
 これを端的に示した場面があった。昨年12月14日、感染急拡大を重くみた首相が年末年始のトラベル事業一斉停止を表明すると、二階派幹部は「勝手なことしやがって」と吐き捨てるように言った。首相はこの日夕、二階氏に電話であらかじめ自身の決断を伝えていたが、幹部の言葉は二階氏の怒りを映したように見えた。
 この日の夜、首相は二階氏に頭が上がらないのではないかと受け取られた出来事もあった。首相は、二階氏や林氏が東京・銀座の高級ステーキ店で著名人ら5人と開いた忘年会に呼ばれた。政府が感染防止のため自粛を呼び掛けていた「大人数での会食」となり、世間の怒りの矛先は首相に向かった。首相は「あいさつだけするつもりだったのに引き留められた」と周辺にこぼしている。
 関係者によると、二階氏は当初、今回の緊急事態宣言にも反対していた。容認に転じたのは今月2日、政府に発令を求めた小池百合子東京都知事らの要請内容から、観光業への影響は限定的と判断したためだという。首相は発令の検討開始について、記者会見で表明する前日の3日に二階氏サイドに伝えたが、二階氏に配慮するあまり、発令をためらっていたのではないかとの臆測も与党内にはある。
 7日、党本部での観光立国調査会終了後、二階氏側近の林氏は記者団に「観光は日本経済の柱で、地方創生の切り札だ」と力説した。宣言解除後のトラベル事業再開を政府に近く申し入れる。感染を広げたとも批判される事業をそう簡単に再開できるのか。感染状況、世論の反応、そして二階氏の意向をにらみつつ対応を判断する首相の心中を、閣僚の一人は「難しい。二階さんがいるからGoToもやめられなかった」と推し量った。
 7日、党本部での観光立国調査会終了後、二階氏側近の林氏は記者団に「観光は日本経済の柱で、地方創生の切り札だ」と力説した。宣言解除後のトラベル事業再開を政府に近く申し入れる。感染を広げたとも批判される事業をそう簡単に再開できるのか。感染状況、世論の反応、そして二階氏の意向をにらみつつ対応を判断する首相の心中を、閣僚の一人は「難しい。二階さんがいるからGoToもやめられなかった」と推し量った。
 (2021・1・12 時事ドットコムより引用)

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 正月明けになる前にも「緊急事態宣言」宣言は出せたはずですが、「Go To トラベル」再開に向けた会議を経てからでなければ、宣言は出せない事情が菅首相にはありました。
 「二階氏とその右腕である林幹雄幹事長代理ら党観光立国調査会の面々」や「観光業界団体の幹部ら約30人」と向き合って、緊急事態宣言が解除されれば、停止中の観光支援事業「Go To トラベル」を速やかに再開すべきだとの立場で一致し」しておかなければなりませんでした。派閥を持たない菅首相は4番目に多い二階派の支えで首相になった以上、二階氏一党の操(あやつ)り人形でなければ「ただの国会議員」でしかなく、その後も、予定されている衆議院選挙にも立候補することも阻止される可能性があるからです。
 何しろ「二階氏」は、自民党の「幹事長」ですから、立候補者に金銭的な応援(党費)を自在にできる立場も握っているからです。また、二階氏は「全国旅行業界会長」でもあり、また自民党内に「党観光立国調査会」もあり、にらみを利かせています。この全国旅行業界の応援がなければ、二階派の大きな資金源を失うと考えられますから、ゆるがせにはできません。
 いつも、何かを決断するときには、二階氏に聞く・相談する時間を持たなければなりません。それで「後手、後手」に回るという事態が頻繁に起きるのです。その間に感染拡大が猛スピードで生じているにも関わらず。
 記者会見であれ、国会答弁であれ、背後霊の二階氏の反応を気にしているため、気が気ではなくなり、「そそうのないように」覇気(はき)のない態度で、記者に棒読みの応答をし、質問・応答時間も極めて短くなり、「臨機応変」などは皆無となります。「日本学術会議」問題などは、二階氏にとって「余計なこと」と映ったと考えられます。菅首相には、一度くらいは首相として「自分の権力を子供みたいに振り回してみたかった」のでしょう。こんなことは、二階氏には一銭の得にもならないことで、二階氏に「怒られる心配はなかった」からだと思います。(もちろん、日本や世界にとって、「日本学術会議」は、とても重要かつ有益で、不可欠な組織だと思います。今の約10億円の何倍もの資金を投入しても足りないくらいだと思える貴重な組織であり、それをなす多くの会員の方々がおられると思います)。
 しかし、医療崩壊がもはや生じている今の今、「打つ手」を考えなければ、首相交代もあり得ます。死亡者数の激増、入院必要者・希望者の激増に対応できないことで、「旅行」などしている場合ではなくなってきているからです。コロナ感染の重症者を治療できる専門病院を国内に4~5棟作ることが最低必要です。
 後手であっても、今からでも作らなければ、感染者数と死亡者数の激増は間違いなく生じます。それに対応できる「専門病院」と「専門家集団」を作りながら、専門家集団の育成も同時進行でやらなくてはならないと思います。
 「安心・安全」が担保されなければ「観光立国」も「観光旅行」も「楽しく」できないではありませんか?
もちろん金銭的裏付けは必要ですが…
 読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様はどのようにお考えになられますでしょうか!?