[367](投稿)むしろ逆効果-感染者の入院や調査の拒否に刑罰

f:id:new-corona-kiki:20210128042348j:plain
緊急事態宣言の中、18日から通常国会が始まりました。今国会の最初の重要法案が「新型インフルエンザ特措法」と「感染症法」の改正案です。「新型インフルエンザ特措法」の改正が行われると、緊急事態宣言が発令されていない地域でも、政府が指定した地域では「まん延防止等重点措置」が行われることになります。

この場合、知事の権限で営業時間短縮等の要請がなされ、要請に応じない事業者には命令、命令に違反した場合は行政罰である30万円の「過料」となります。しかし、そもそもどのような場合に「まん延防止等重点措置」がとられるのかが不明確です。要請や命令に応じた事業者に十分な支援が行き届く保証もありません。まずは「まん延防止等重点措置」の効果を見た上で、真に必要なら「過料」の規定を追加すべきです。

感染症法」の改正案では行政罰より重い刑罰を設けようとしています。感染者がホテルなどでの宿泊療養に応じない場合、入院措置の対象となります。これを拒否したり入院後に逃げたりした場合は、1年以下の「懲役刑」などが科されます。また、感染者が感染経路などの調査に応じなかったり、うその答えをしたりすると50万円以下の「罰金」が科されます。

刑罰は行政罰と違って、捜査、裁判に応じる負担があり、前科にもなります。したがって、①刑罰を科す目的、②刑罰を必要とする理由、③刑罰がもたらす影響などを慎重に検討した上で、刑罰を設けるかどうかを決めるべきです。

今回の改正案では、①刑罰を科す目的は、コロナの感染者が入院や調査を拒否すれば、感染者を隔離できなくなって感染が拡大してしまうので、こうした事態を防ぐことだと理解できます。しかし、②実際に入院拒否や調査拒否がどれぐらい起きているのか政府は把握しておらず、刑罰を必要とする理由があるのか不明です。むしろ東京などの都市部では、医療機関がひっ迫して入院したくてもできない人や、保健所が忙し過ぎて調査が及んでいない人が増え続けている状況です。感染拡大を防ぐためには、こちらの問題を先に解決すべきです。

そして、③刑罰がもたらす影響としては、入院拒否や調査拒否を実際に処罰しようとすると、ただでさえ多忙な医療機関や保健所の関係者が捜査や裁判に協力しなくてはならなくなり、本来の業務に支障が出ることが考えられます。保健所が刑罰を背景に業務を行うとなると、住民との間で混乱や対立が生じやすくなるでしょう。結局のところ、入院拒否や調査拒否に刑罰を科すことは、感染拡大を防止するという目的にとって逆効果となりかねません。政府案の修正を強く求めていきます。

階猛(しなたけし)氏のブログより引用致しました。2021年01月23日
   
階猛(しなたけし)は、現在は衆院議員・立民党で弁護士資格を持つ人です)

※※※ 与謝不遜のコメント
 

階猛氏は、「今国会の最初の重要法案が『新型インフルエンザ特措法』と『感染症法』の改正案です。『新型インフルエンザ特措法』の改正が行われると、緊急事態宣言が発令されていない地域でも、政府が指定した地域では『まん延防止等重点措置』が行われることになります」と国会審議の重要課題を示して、問題点を挙げてくれています。
 「知事の権限で営業時間短縮等の要請がなされ、要請に応じない事業者には命令、命令に違反した場合は行政罰である30万円の「過料」となります。しかし、そもそもどのような場合に「まん延防止等重点措置」がとられるのかが不明確です。要請や命令に応じた事業者に十分な支援が行き届く保証」も無いと指摘しています。
 また、政権は、「『感染症法』の改正案では行政罰より重い刑罰を設け」る予定です。
 その刑罰に関して、階氏は「刑罰は行政罰と違って、捜査、裁判に応じる負担があり、前科にもなります。したがって、①刑罰を科す目的、②刑罰を必要とする理由、③刑罰がもたらす影響などを慎重に検討した上で、刑罰を設けるかどうかを決めるべき」だと主張しています。
 私も同感です。私も含めて一般的労働者は、罰則の軽重が分からないと思います。このような解説を読んで初めて、刑罰の重さが分かり、前科も付くこなどをさらに詳しく知ることができました。
 「刑罰を科す目的は、コロナの感染者が入院や調査を拒否すれば、感染者を隔離できなくなって感染が拡大してしまうので、こうした事態を防ぐことだと理解」できますが、しかし「実際に入院拒否や調査拒否がどれぐらい起きているのか政府は把握しておらず、刑罰を必要とする理由があるのか不明です。むしろ東京などの都市部では、医療機関がひっ迫して入院したくてもできない人や、保健所が忙し過ぎて調査が及んでいない人が増え続けている状況」を把握することが先だと納得のいく意見を述べられています。ただでさえ保健所などは忙しくて、入院先や隔離先も見つからず、自宅待機で死亡される方が増えていることに政権は目が向いていません!!
 刑罰を科すとなれば、裁判が行われ、保健所職員や医療関係者が証言するということになり、さらに人手が不足するという事態にもなりかねないと警鐘をならしておられます。また、人と人との軋轢(あつれき)も生じて、保健所職員や医療関係者と感染疑いの方とのぎくしゃくも増え、PCR検査も避けてしまう人も増えることも心配されます。現状では、通知をしなくても良い「民間のPCR検査場」で、秘密裏に検査を受けて「陽性」であっても、誰にも言わないで過ごす人が増え、感染拡大することが心配されている状況があります。
 また、感染した方が自責的になり「自殺する」人が増えています。その手当をする必要は報道でも言われていますが、実行されているという報道は目にしたことがありません。
 北海道新聞(1月23日)の「コロナ法改正 罰則の必要性あるのか」という「社説」でも、22日の政府の「」コロナ法改正」を取り上げ、今回の「法改正」の内容に疑問を呈しています。
 読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様は、どのようにお考えになられますでしょうか?