[376](投稿)ごみ処分について

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 処分地「なぜ今」議論を 北大工学研究院教授・石井一英氏(50)
01/21 10:28 北海道新聞デジタル版より引用

 家庭から出る一般廃棄物、企業が出す大量の産業廃棄物、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)は、それぞれ属性に違いがある。一般ごみの処理は明治期から市町村の仕事で、自らのマチで処理する自区内処理が原則だ。産廃は出した企業が自らの責任で処分し、市町村や都道府県をまたいで処分される。
 一般ごみの焼却場は1990年代、不完全燃焼で発がん性物質が発生する危険があると指摘され、周辺住民に懸念が広がった。だが、今は対策が向上し、熱や電気を生み出す役割が注目され、「迷惑施設」ではなくなった。
 一方、焼却場は稼働期間が30年なのに対し、埋め立て処分場はずっとそこにごみがとどまるため、住民の不安感はより強い。一般ごみの処分場の立地なら、市民も自分たちの問題として捉えやすいが、自分との関係が薄い産廃の処分場となると、受け入れのハードルは高くなる。核ごみの最終処分場となると、住民にとって最も遠い存在で、受け入れがたいものとなる。
 核ごみは無害化まで10万年という長い時間が必要だという。私たちが想像できる将来とは、子や孫の世代が限界だ。想像すらできない時間軸に道民は不安を感じ、一般ごみや産廃の処分場の延長線上として捉えることはできない。
 文献調査を受け入れた後志管内寿都町神恵内村に処分場ができたとしたら、交付金の恩恵を受けるのは当該自治体が中心で、道内の他の自治体は風評被害などの迷惑を被るだけだ。ごみの処分は受益者負担が原則なのに、北海道電力泊原発(後志管内泊村)だけではなく、全国の原発から出た核ごみを処分するとなると、住民が拒否するのも筋が立つ。
 ごみ問題の解決は住民、行政、民間の3者で話し合う必要がある。鍵となるのは「痛みの共有」だ。住民に受け入れてもらうために、出す側はリサイクルや分別を進め、ごみを減らす努力が必要だ。
 だが、核ごみ問題は、核燃サイクルが破綻している上、国や電力会社は原発の再稼働を目指すばかりで、廃炉の努力がまるでなく、核ごみは増えるばかりだ。通常はごみの量が決まらないなら、処分場の計画は立てられない。放射能の環境に与える影響は計り知れない中、心情的にも住民は受け入れられない。
 まずは、なぜ今、処分地を決める必要があるのか議論を尽くすべきだ。人類は「核ごみの処分地を決める」という作業を始めたばかりだ。結論を出すには、とても高度なレベルの判断が必要だ。今の状況では技術的にも、倫理的にも社会の合意が得られているとはいえない。(聞き手・内山岳志)

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント
 ①家庭から出る一般廃棄物、②企業が出す大量の産業廃棄物、③原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)は、それぞれ属性に違いがあり、私たちはその違いを区別しながら相対する必要があることを北大工学研究院教授・石井一英氏は指摘しています。
 ①の「一般ごみ」は、現在では、町の区域で廃棄したり、バイオ燃料や飼料や燃料などとして利用もできます。
 ②の「産廃」は出した企業が自らの責任で処分し、市町村や都道府県をまたいで処分されます。
しかし、「一般ごみ」より「産廃」は住民の受け入れのハードルは高く、また高レベル放射性廃棄物=核のごみは、さらにハードルが高くなります。
 文献調査を受け入れた寿都町神恵内村は、文献調査くらいでとどまるならば、町村は「お金で潤い」、周囲は風評被害を被る可能性が高くなります。
 もし、文献調査を政府がさらに権力を行使し、最終処分地にしていくならば、無害化まで10万年を要するとされています。しかし、プルトニウム半減期は2万4千年ですから、計算すると10万年では無害化しないことが分かります。子々孫々まで「死の灰」の影響を受ける可能性もあります。
 築地市場を閉鎖し、豊洲に市場が移ったのも、おそらくは、死の灰を被った「第五福竜丸」が地中に埋められていることと、オリンピックに「風評被害」が及ばないように考えてのことではないかと想像します。
 マーシャル諸島での水爆実験の被害は第五福竜丸にとどまらず、近くで操業していた漁船は数百隻、被爆者は2万人をこえるとされています。(注1) 
 今は、新型コロナの蔓延(まんえん)で、オリンピック開催が危ぶまれていますが。
 核燃料サイクルも破綻していて、核の無害化は今の技術では到底できないことははっきりしています。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設中の青森県むつ市でも、東電以外の場の核ごみの受け入れは拒否しています。しかし、むつ市の市長が受け入れる人物に代わるとどうなるか分かりません。「お金」を取るのか「死の灰」を取るのか、住民の「戦争」になる可能性が高くなります。
 読者の皆様は、高レベル放射性廃棄物について、その処分や、原発の再稼働にたいしてどのようにお考えになっていますか?

注1)1954年3月1日、第五福竜丸マーシャル諸島近海において操業中にビキニ環礁アメリカ軍により行われた水爆実験(キャッスル作戦・ブラボー〈BRAVO〉、1954年3月1日3時42分実施)に遭遇し、船体・船員・捕獲した魚類が放射性降下物に被曝[4]した。実験当時、第五福竜丸アメリカ合衆国が設定した危険水域の外で操業していた。危険を察知して海域からの脱出を図ったが、延縄の収容に時間がかかり、数時間にわたって放射性降下物の降灰を受け続けることとなり、第五福竜丸の船員23名は全員被爆した。のちにアメリカは危険水域を拡大、第五福竜丸以外にも危険区域内で多くの漁船が操業していたことが明らかとなった。この水爆実験で放射性降下物を浴びた漁船は数百隻、被曝者は2万人を越えるとみられている。