[382](投稿)旭川医大の学長が強権なわけ

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① 旭医大学長「強権」の訳は 中央とパイプ、政治力抜群 在任14年近く、発言力絶大
 【旭川新型コロナウイルス感染者の受け入れを求めた旭川医科大病院長に辞任を迫ったとして文部科学省の調査を受けている同大の吉田晃敏学長(68)。遠隔医療など時代を先取りした取り組みで中央官庁とのパイプを構築し、同大出身で初の学長に就いた後も国の補助金獲得など大学経営で手腕を発揮してきた。ただ学長在任が国立大で異例の14年近くとなる中、学内で「絶大」な権力を握り、強引とも言える病院長解任につながったとの見方も出る。背景には学長任期の上限撤廃など構造的な問題もあるようだ。
 「学長がいて、その下に病院長がいる。明確な上下関係がある。以前の病院長の時も上下関係がはっきりする中でスムーズなコミュニケーションが絶対に取れていた」。吉田氏は1月26日、コロナ患者受け入れ問題で対立した古川博之病院長の解任を発表した記者会見で、学内の序列を前面に出し、受け入れを認めなかった自らの正当性を強調した。傍らには以前の病院長で、古川氏解任を決めた大学理事2人も並んでいた。
 吉田氏は1973年開学の旭医大の1期生。眼科が専門で、80年代に米ハーバード大に留学し、先端医療に触れた。92年に旭医大卒で初の教授になるとハーバード大とも連携して遠隔医療の研究を本格化させ、99年に学内に設置された国内初の遠隔医療センターの初代センター長に就いた。
■遠隔医療で脚光
 当時は医師数が過剰だとして国が大学医学部の合理化を進め、各大学が生き残り策を模索していたが、旭医大のITを駆使した遠隔医療研究はへき地医療を支える最先端医療と脚光を浴び、国内では「独壇場」に。国会議員や官僚などの視察が相次ぎ、吉田氏は中央と太いパイプを築くとともに学内での発言権を高めたとされ、旭川医大教授の1人は「厚生労働省文部科学省だけではなく、IT推進で総務省にも食い込み、資金を引き出してきた。政治手腕で学長の右に出る者はいない」と言い切る。
 吉田氏はこうした実績を背景に2003年、初めて学長選に立候補。大阪大出身の教授に敗れたが、04年に国立大が法人化され、国から自立した大学経営を求められるようになる中、07年に再び学長選に挑み、現職再任を阻んで旭医大出身で初の学長に就任した。
 ■任期上限を撤廃
 学長任期は法人化以前、最長2期6年(1期目4年、2期目2年)とされてきた。だが、旭医大は吉田氏就任後の09年、「法人化で環境が変わる中、再任2年は短すぎる。トップは経営者にならなければいけない」として「任期は4年とし、再任を妨げない」とする学長選考規程の運用を始め、任期の上限を撤廃した。
 国公立大で学長の任期に上限を定めていないのは少数で、大半は最長6年だが、吉田学長は11、15、19年と対抗馬が出ない中で無投票選出を重ね、今は4期目。旭医大の別の教授は「すべてが学長の一声で決まる。おかしいと思っても表だって誰も言わないし、言えない」と明かす。
 昨年10月には筑波大が学長任期を撤廃し、13年に就任した学長の再任を決め、学内の一部から反発を招いた。長期的な大学経営の必要性を認める声もあるが、医療ガバナンス研究所(東京)の上昌広理事長は「研究者が教授に就いて定年退職するまでほぼ10年。学長を10年以上務めると、全ての教授の選任に関与することになる。強大な人事権を得て、他の教授は逆らえなくなる」と指摘している。

② 旭医大学長不適切発言、1日審議 処分是非決定 公平性疑問視も
02/01
医大学長不適切発言、1日審議 処分是非決定 公平性疑問視も
 【旭川旭川医科大は1日、学長選考会議を開き、新型コロナウイルスの患者受け入れを巡る発言が問題視されている吉田晃敏学長の責任問題を審議し、処分の是非を決める。同会議委員14人には、患者受け入れ問題で吉田学長と対立した同大病院長の古川博之氏を1月25日に解任した大学理事4人も含まれており、学内では審議の「公平性」を疑問視する声も出ている。

 学長選考会議は学内規程に基づく組織で、学長の選考や業務状況の確認を行う。委員の半数は副学長ら学内関係者、残り半数は旭川市副市長や旭川信金理事長ら学外の識者で構成する。学内、学外の委員各2人は学長とともに大学役員会を構成する理事でもある。

 今回の審議対象は、昨年11月に新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生した慶友会吉田病院(旭川)の患者受け入れを巡る一連の吉田学長の発言だ。吉田学長は同11月の学内会議で「コロナを完全になくすには、あの病院が完全になくなるしかない」と発言したほか、吉田病院の患者を旭医大病院で受け入れるよう求めた古川病院長(当時)に「受け入れるならおまえが辞めろ」と述べたとされる。

 文部科学省は吉田学長の「辞めろ」発言はパワハラに当たる恐れがあるとして調査中だが、大学役員会は1月26日、学内会議の内容を学外に漏らしたとして古川氏を同25日付で病院長から解任したと発表し、学長選考会議が吉田学長の処分の是非について審議すると説明していた。(山中いずみ)


(2021・2・1北海道新聞デジタルより引用)
 
※※※ 真田幸村のコメント

 先に「旭川医科大(北海道旭川市)の吉田晃敏学長が滝川市立病院(同滝川市)と『医療情報アドバイザー』の契約を結び、月額40万円の報酬を得ていたことについて」のコメントを書きましたが、「旭医大学長『強権』」の根拠については書き逃してしまいましたが、今日の北海道新聞に詳細が書かれているのでご紹介いたします。
 小見出しに①「中央とパイプ 政治力抜群」②「在任14年近く 政治力抜群」と書かれていますが、これに医療ガバナンス研究所の上昌広理事長の「研究者が教授に就いて定年退職するまでほぼ10年。学長を10年以上務めると、全ての教授の選任に関与することになる。強大な人事権を得て、他の教授は逆らえなくなる」との指摘が加わると、ほとんど加えることはありません。
 ウィキペディアで調べると、下記のように政治の世界や経済・産業界の世界と深い関係ができていることが良く分かります。

2009年(平成21年)総務大臣表彰を個人受賞。著名な経営者等に与えられるもので国公立大学の学者では初となる。
2011年(平成23年産学官連携功労者表彰文部科学大臣賞をソフトバンクBB株式会社の孫正義代表取締役社長兼CEOと共に受賞。受賞事例名は「ICTを用いた「切れ目のない医療支援体制」の確立」である。(ウィキペディアより引用)
 
 長く学長などを務めると、組織の劣化を招くという好例です。滝川市立病院からの「報酬」というのは、おそらく氷山の一角で、多数の地域から「報酬」を受け取っていて、それを政治家に献金したりしてつながりを強固にし、さらにそのつながりを利用して、政財・産業界とのつながりも形成していったと想像します。高い位置に居座ると腐敗は進み、プーチン習近平などと同じく「独裁者」になるというのはすでに皆様もよくご存じですよね。
「遠隔医療」の発想は、以下にお示ししますと分かると思いますが、1980年(昭和55年)からはハーバード大学眼科に3年間留学している。
僻地医療の解決策として遠隔医療を提唱。
上記の遠隔医療システム開発において、マサチューセッツ州知事賞を授与されている。遠隔医療システムの構築は日本初であるが、 ハーバード大学に先をこされ、世界初とはならなかった。(ウィキペディアより引用)

吉田学長の独自の発想ではなく、ハーバード大学の眼科に留学しているときに仕入れてきた「遠隔医療」の知識を、帰国してから自分が発想したかのように提唱したと考えられます。それが、厚労省の公的病院の削減や、公的・私的病院のベッド数の削減計画とリンクさせたい政府の思惑にかなうものだったということです。
 そのことがさらに「1999年(平成11年)旭川医科大学附属病院,遠隔医療センター長、手術部長就任」とあるように、「遠隔医療センター長」や「手術部長就任」の就任へとつながり、学長選では一度は敗退するのもの、2度目の出馬からは、今日まで「学長」の地位に就く道を開いたと言えます。
 しかし、コロナ禍は、吉田学長がどのような人物であるのかをあぶりだしました。

新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを巡る問題(ウィキペディアより引用)
2020年11月13日、旭川医科大学病院での新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ許可を求めた古川博之病院長に対し、学長として「受け入れるならお前が辞めろ」などと発言。
2020年11月17日、新型コロナウイルス感染症クラスターと認定された旭川市内の吉田病院について、旭川医科大学の学内会議で「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない」「この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」と発言。
2021年1月7日、古川博之病院長への「(新型コロナウイルス感染症患者を)受け入れるならお前が辞めろ」などの発言が事実なら、パワーハラスメントに当たる恐れがあるとして、文部科学省が調査に入った。  
2021年1月25日、「古川病院長が吉田学長の発言を録音し、報道機関に説明して情報漏えいした」として、旭川医科大学の役員会が古川博之病院長を解任したことが明らかとなった。

 このようにして吉田学長の今日があり、市民や医大職員によるリコール運動が始まったのです。今はコロナ禍のなかですから、ネット上での署名活動が行われていますが、本来なら街頭でも行われていることでしょう。
 また、本日の北海道新聞に「不適切発言 きょう審議 処分是非決定 公平性疑問視も」という見出しの記事が出ています。吉田学長の不適切発言がどのように、解任した審議会の出ていた大学理事4人も含まれるということなので、旭川医科大学内では「公平性」に疑問視する声も出ているとあります【②の記事参照ください】。

速報:旭川医科大前病院長の古川氏、解任撤回を要請
02/01 15:41  【旭川旭川医科大の病院長を解任された古川博之氏が1日、市内で記者会見を開き、病院長の解任撤回を同大役員会に同日要請したことを明らかにした。解任は1月25日付。

以上の記事などをご覧になって、「旭川医科大学の学内会議で『コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない』『この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして』と発言したとされる吉田学長は、果たして「旭川医科大学」の学長としてふさわしい人物だとお考えになりますでしょうか? 読者の皆様はどのようにお考えになりますでしょうか!?