[383](投稿)混迷する旭川医大

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 社説 旭川医大の内紛 公平公正な調査必要だ

 道北の高度医療を担う旭川医科大が混迷の度を深めている
 学内情報を漏洩(ろうえい)したなどとして同大病院長を解任された古川博之氏が、大学に撤回を要求した。
病院長辞任を迫った吉田晃敏学長の発言はパワーハラスメントに当たるとして調査も求めた。
 吉田学長と古川氏は、新型コロナウイルスの感染者受け入れを巡って対立していた。受け入れの是非に加え、学長の発言や解任の妥当性でも両者の主張は食い違う。
 真相究明の必要性は言うまでもない。ただ内部の調査には限界があろう。利害関係を持たない専門家でつくる第三者委員会を設け、公平かつ慎重に調べるべきだ。コロナ禍の今、地方医療を担う基幹病院の混乱が続けば、住民の不安は募るばかりだ。吉田学長らの責任も明確にする必要がある。
 古川氏は大学側が挙げた解任理由にことごとく反論している。
 学内会議の内容を外部に漏らしたとされる点は、会議は秘密会ではない上、外部への記録の開示に関わっていないと主張する。
 感染者の受け入れについて、吉田学長は病床が未整備で「教員として培ってきた知識と動物的な勘」で認めなかったと述べた。
 これに対し、古川氏は学長と協議した段階で、既に病床ができており、安全に受け入れられる状況だったと説明した。
 古川氏は吉田学長が公式の場でしばしば酩酊(めいてい)状態だったと指摘し、学長としての適格性も問う。
 大学役員らで構成する学長選考会議はおととい、学長発言がパワハラに当たるかなど一連の問題を審議したが、結論を持ち越した。
 会議は古川氏の解任を決めた大学役員会のメンバーも入る。これでは公正な判断は期待できまい。
 古川氏や選考会議の委員が第三者委員会設置を求めているのは当然だろう。設置に当たっては、審議の公平性を担保するため委員の人選に十分留意してほしい。
 吉田学長は2007年に現職に就き。旭医大は09年に任期の上限を撤廃した。在任期間の長期化が組織の風通しを悪くしているとの学内外の批判が絶えない。
 最近では、吉田学長が滝川市立病院への助言の報酬として、14年間で総額7千万円近くを得ていたことも分かった。学内規定に抵触せず問題ないはないとする大学側の説明は、理解を得られるだろうか。
 旭医大を巡っては教員2人が被害を訴える別のパワハラ問題も表面化した。大学の運営や統治について包括的な点検が必要だろう。 (2021・2・3 北海道新聞より引用)

※※※ 真田幸村のコメント

 学内の「大学役員会」には、古川氏の解任を決めた役員2名が含まれています。その2名は「学長選考会議は学内規程に基づく組織で、学長の選考や業務状況の確認を行う。委員の半数は副学長ら学内関係者、残り半数は旭川市副市長や旭川信金理事長ら学外の識者で構成する。学内、学外の委員各2人は学長とともに大学役員会を構成する理事」でもあります。
 吉田学長は自分の意見が通る人選をしている「役員会」で古川病院長の解任を決めました。このような「政治的手法」は、だれが見ても「怪しい」としか思えません。
 そもそもの発端が「コロナに罹患した患者さんの受け入れの是非」問題です。古川病院長は電話で「受け入れる」ことを吉田学長に相談しましたが、拒否されました。
 この間の「受け入れ拒否」の経緯は下記のとおりです。

 ▲新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを巡る問題

① 2020年11月13日、旭川医科大学病院での新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ許可を求めた古川博之病院長に対し、学長として「受け入れるならお前が辞めろ」などと発言。
2020年11月17日、新型コロナウイルス感染症クラスターと認定された旭川市内の吉田病院について、旭川医科大学の学内会議で「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない」「この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」と発言。
2021年1月7日、古川博之病院長への「(新型コロナウイルス感染症患者を)受け入れるならお前が辞めろ」などの発言が事実なら、パワーハラスメントに当たる恐れがあるとして、文部科学省が調査に入った。

② 受け入れの準備に関しては、吉田学長は

 感染者の受け入れについて、吉田学長は病床が未整備で「教員として培ってきた知識と動物的な勘」で認めなかったと述べた。
 これに対し、古川氏は学長と協議した段階で、既に病床ができており、安全に受け入れられる状況だったと説明した。

 とありますが、ここでは吉田学長が、「病床が未整備」だから、その時は認めなかったという意味にとれる発言をしています。
 古川氏は「学長と協議した段階で、既に病床ができており、安全に受け入れられる状況だった」と述べています。病院長である古川氏は、コロナに罹患した患者さんを受け入れるために現場をいち早く整備して、受け入れの許可をもらうというつもりで吉田学長に連絡を取ったというのが真実だと思います。

 吉田学長は、整備された現場を見に行っていないと思います。見ないでも「『教員として培ってきた知識と動物的な勘』で認めなかったと述べた」わけです。そのような話は古川氏と論争になった時にしたということは、ここ数日の間の報道で初めて知りました。

 横道にそれますが、この吉田学長の「言い方」について、読者の皆様は「既視感」がありませんか?
 「核のごみ」を巡って、文献調査を受け入れた寿都町(すっつちょう)の町長・片岡春雄氏が町民の多くが自分の「文献調査を受け入れることに賛成してくれると」いう意見に賛成してくれる町民が多いということは、「自分の肌感覚で分かる」と述べた「言い方」に瓜二つではないでしょうか?
 吉田学長も片岡町長の二人とも、お金集めが得意です。お金に対する嗅覚が鋭いということが共通しています。
また、「人の命の大切さ」に関しては「鈍感すぎる」という点も共通していると思います。

 吉田学長は、「旭川医科大学の学内会議で『コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない』『この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして』と発言」したことは、なかったことにしています。
 滝川市立病院問題に関しては、これまで約7千万円ももらっていたことには触れないでやり過ごそうとしています。学内で金銭的なやり取りに関して「規制」を緩(ゆる)くしているから、問題外にして構わないと思っていると思います。吉田学長が規則を改変している可能性もあると思います。
 また2人教員のパワハラ問題も生じています。これも含めて、旭医大の問題点を一つ一つ洗い出して、医科大学としての役割を十全に果たしていける体制とそれをなす多くの指導者や職員を育成する改革に取り組む必要があると思います。

 ③「古川氏は吉田学長が公式の場でしばしば酩酊(めいてい)状態だったと指摘し、学長としての適格性も問う」と社説には書かれています。
 知人の薬物やアルコール依存症に詳しい医師に尋ねると、「『公式の場でしばしば酩酊(めいてい)状態』であるということは、これだけでは決められないが『アルコール依存症』に近いと思う」との返答が返ってきました。「日本では公の場で酔うのは、ほとんど咎(とが)められないが、米国では、公の場で酔うだけで、顰蹙(ひんしゅく)をかい、アルコール依存症からの回復施設に入り、治療を受けることになる人が多い」とも言っていました。

 まだ、コロナ禍は続きます。他の緊急を要する病も多くあります。それらに対応できるように人事や規則が第三者委員会を立ち上げて、これらの山積している諸課題が改善されることを期待したいと思います。

 読者の皆様方は、この旭医大の問題についてどのような感想をお持ちでしょうか?