プーチンの暴圧
新型コロナ危機のなかでロシアでプーチンの圧政に反対する闘いがおこっています。
2月2日、モスクワの裁判所でロシアの反政府活動家アレクセイ・ナバリヌイさんの執行猶予が取り消されました。これにより彼は2年8ヶ月の実刑を科され収監される可能性が高まりました。
ナバリヌイ陣営は決定にたいして抗議のデモを呼びかけ、モスクワや、サンクトぺテルブルグでは多くの人が「泥棒プーチン」と叫びながらデモ行進したと報じられています。
人権監視団体によると、このデモ参加者のうち、1100人以上が拘束されました。
2月1日の朝日新聞朝刊では「ロシア 全土デモ 拘束3000人超」という報道がありました。プーチン政権は無言で歩道を歩くデモ参加者を新型コロナ感染防止措置違反を口実として拘束しています。
デモはナバリヌイさんの神経剤による暗殺未遂と逮捕拘禁に抗議するために呼びかけられロシア全土に広がっています。
ナバリヌイさんは政権の汚職や不公正な選挙に抗議する運動を10年にわたって行っており、2011年ころプーチンの党「統一ロシア」にたいして「詐欺師と泥棒の党」と呼びました。(ウィキペディア参照)
ナバリヌイさんは2014年、詐欺事件で執行猶予付きの禁錮3年半の有罪判決を受けましたが、詐欺事件をプーチン政権による「でっち上げだ」と否定しています。 昨年8月、ナバリヌイさんはロシア国内で暗殺未遂に遭いドイツに搬送されましたが、プーチン政権は、ナバリヌイさんが執行猶予期間中の定期的な出頭義務を無視したとして裁判所に執行猶予の取り消しを申し立て、今年1月の帰国直後に拘束しました。
いま新型コロナ危機でロシアの労働者の賃金は下げられ生活苦が広がっている中でプーチンの宮殿疑惑が暴露されロシア民衆の堪忍袋の緒が切れたといわなければなりません。
デモには若者の参加も増えており、朝日新聞の報道によればモスクワのデモに参加した数学者のドミトリーさん(34)「最高権力者にまで及ぶ汚職や政権の恣意的な権力行使は許せない。私は決してナバリヌイの支持者ではないが、初めて反政権デモに参加した」「拘束されるかもしれないが、何も怖くない」と力を込めて語ったと伝えられています。
ロシアは今年9月に議会選があり、プーチン政権はデモや選挙運動の規制を強化する法案を次々と成立させ、プーチン批判の声を抑えこもうとしています。軍や治安機関、議会、司法まで支配するプーチンがさらに強権体制を固めています。この事態は経済的犠牲を強いられ政権の腐敗と強権的支配に怒る民衆を、政権が恐れていることを物語っています。
プーチンは憲法を変え、2036年まで大統領にとどまることが可能になり、長期政権化にたいしてロシア民衆の反対の声はさらに広がるでしょう。ロシアの民衆がプーチン政権の圧政に抗する闘いを注視しなければなりません。
ソ連邦崩壊後30年
自称「社会主義」ソ連邦が自己崩壊して30年目のこんにち、転向スターリン主義者·プーチンのロシアは曲がり角にさしかかっているのではないでしょうか。デモの頻発は社会的矛盾がロシアの人びとの生活を圧迫し政権にたいする不満と批判が鬱積していることを示しています。
ソ連邦の自己崩壊はマルクスの思想の破綻とみなされ世界は脱イデオロギー状況に陥いりました。スターリン主義に呪縛された世界の階級闘争はソ連邦の自己崩壊によって思想的基盤が崩れてしまったのです。スターリン主義を批判する運動の力は世界的に微弱です。
ソ連KGBのエージェントであったプーチンはスターリン主義党の強権的支配の仕方をとりいれ実行しているのです。弾圧に抗して ロシア社会を再び変革する力の萌芽が成長することを祈りたいと思います。
労働組合の中から