[414](投稿)起きあがり小法師

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福島県会津地方の郷土玩具、起き上が小法師。何度倒れても起きあがる姿は、東日本大震災の被害地復興を願う象徴として、多くの人に愛されてきた。▼昨年10月に亡くなった服飾デザイナー高田賢三さんが発起人となった「起き上がりこぼし絵付けプロジェクト」もそのひとつ。知人の協力要請を快諾した高田まんがさんが参加を呼びかけ、俳優のジャン・レノンさんらが復興への願いを込めて描いたという▼2014年には日本漫画協会所属作家による「漫画こぼし」も登場。世界中で展示会が開かれ、今月は台湾の台南市美術館で284点が展示されている▼常に周囲への感謝の言葉を忘れなかった高田さん。協力は遠いパリから祖国を思う恩返しだったのだろう。昨年もビデオメッセージを残すなど、最後まで発信に努めていた。▼大震災から10年の節目を翌月に控えた先週の夜、福島県沖を震源とする地震が東日本一帯を揺るがした。長い揺れにあの時の記憶がよみがえったという方も少なくないだろう。けが人は150人を超え、交通機関の運休や商業施設の休業など影響が広がった。▼気象庁によると10年前の本震の余震だという。復興も道半ば。あの大地震はまだ終わっていないのだ。コロナ禍の陰鬱(いんうつ)な世相に追い打ちをかける揺れだった。なればこそ、もう一度起き上がろうではないか。そう叱咤(しった)する小法師が見えぬ手を懸命に差し出している。
(2021・2・16 北海道新聞「卓上四季」より引用しました)。

※※※ 真田幸村のコメント
 
2021年2月13日午後11時8分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震があり、最大震度6強を観測した。震源の深さは約60キロ。気象庁によると、2011年3月の東日本大震災の余震と考えられる。来月11日に大震災から10年を迎える東北地方を再び強い地震が襲った。震度6強を観測したのは宮城県蔵王町福島県相馬市など。東京23区でも震度4を観測するなど広範囲で揺れを感じたが、震源が深く、津波警報は発令されなかった。NHKによると、これまでのところ福島県宮城県、関東地方で計100人以上が負傷している。東北・関東地方では一時、約92万戸が停電した。(BBC・ニュース・ジャパンより引用しました。2021年2月14日)

 2011年3月11日午後2時46分、三陸沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生。沿岸部は高さ10メートルを上回る津波に襲われた。死者・行方不明者は1万8千人を超え、津波で破壊された福島第1原発炉心溶融メルトダウン)を起こしました。今回2月13日に生じた東北途方のマグニチュード7・3の地震で、2011年3月11日に、大地震津波に会われた人たちのことと、福島第一原発の大惨事とその大きな影響を想起しないわけにはいきません。被害を受けられた多くの方たちのこの10年間の苦しみが、また、再度、心の深くまで抉(えぐ)られ、引きずり出されたのではないかと痛く想像されます。この「卓上四季」に書かれている起き上がり小法師のように、何度でも起き上がられることを心から祈念したいと思います。