[428](投稿)「3・11」から10年 メディアの責任問う

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<訪問>「テレビは原発事故をどう報道したか」を書いた 小田桐誠(おだぎり・まこと)さん
02/21 05:00
       
「3・11」から10年 メディアの責任問う
 
東京電力福島第1原発事故。建屋爆発の約13時間前、格納容器内の圧力の高まりを伝えるNHKニュースで、ある記者は「(中の水が蒸気になり)それが一気に外に出てしまう可能性もある」と表現。「爆発」と言わなかった。著者は「太平洋戦争中、大本営陸軍部・海軍部が『退却』を『転進』と発表したことを思い出した」と語る。
 本書は、事故発生時やその後10年のNHKと東京キー局、道内など地方局の原発報道を検証したメディア批評論。メディア総合研究所の隔月誌「放送レポート」2011年9月号~20年7月号の連載に加筆した。
 東日本大震災発生70時間を取り上げた章では、報道の多くが「直ちに健康には影響はない」と東電や国の見解をそのまま流し、根拠を示さず安全性を強調したと指摘。
「周辺住民が求める情報だったのか。メディアの責任が問われる」。泊原発に焦点を当てた章では、継続的に報道する道内民放4局を紹介し、その姿勢を評価している。
 1953年、青森県生まれ。10歳で後志管内喜茂別町へ移り、喜茂別高卒業後、進学のため上京。亜細亜大に入り、新聞販売店で働きながら「各紙を毎日読み、本もめちゃくちゃ読んだ」。出版社勤務を経て、ジャーナリストとして独立した。
 手がけた話題は太平洋戦争、生協、皇族、娘3人の小中学校でPTA会長を務めた自身の経験など多岐にわたり、著書は35冊以上。天性の人なつっこさで「どこでも入っちゃう。俺を知る人は『小田桐さんのアルコールネットワークには勝てません』と言うよ」と豪快に笑う。
 原発事故から10年。くしくも、放射性物質と同様に「目に見えない」新型コロナウイルスが人々の生活を脅かす。講師として教える立教大と武蔵大の学生たちからも「当時と今は似ている」と本書の感想が寄せられる。「危険も含めてちゃんと伝えたほうがパニックにならないのに、聞き慣れない言葉が並び、政治家と専門家の言うことにギャップがある。結局、10年前と変わっていないよ」
(東京報道 大沢祥子 北海道新聞 読書ナビ 2021・2・21 より引用)

※※※ 松尾馬生のコメント

福島第一原発事故NHKのある記者は、原発の建屋が「爆発」したのに「爆発」と言わず「(中の水が蒸気になり)それが一気に外に出てしまう可能性もある」と言ったことにたいして、この著者は「太平洋戦争中、大本営陸軍部・海軍部が『退却』を『転進』と発表したことを思い出した」と語りました。また、「東日本大震災発生70時間を取り上げた章では、報道の多くが『直ちに健康には影響はない』と東電や国の見解をそのまま流し、根拠を示さず安全性を強調したと指摘」し、それは「周辺住民が求める情報だったのか。メディアの責任が問われる」と警鐘を鳴らしています。「原発事故から10年。くしくも、放射性物質と同様に『目に見えない』新型コロナウイルスが人々の生活を脅かす」現在、「危険も含めてちゃんと伝えたほうがパニックにならないのに、聞き慣れない言葉が並び、政治家と専門家の言うことにギャップがある。結局、10年前と変わっていないよ」と批判の刃を向けています。

「テレビは原発事故をどう報道したか」(秀和システム 475ページ 2420円 税込み)
私は、この本の紹介記事を読んで、すぐに購入してみようと注文しました。