[445](投稿)廃炉完了まで30~40年 

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完了まで30~40年 目標何度も先送り

 2011年の東日本大震災東京電力福島第1原発事故から今月で10年。今も福島第1原発では廃炉に向けた作業が続いています、廃炉の完了には東電や政府の説明でも事故から30~40年 かかるとされます。
 まず事故当時の状況を振り返りましょう。全6基の福島第1原発で当時運転していたのは1~3号機。4~6号機は定期検査で停止していました。1~3号機地震津波で電源を失い原子炉が空だき状態となり、発生した大量の水素がたまった1、3号機の原子炉建屋が爆発。4号機も配管を通じて流入した水素で爆発しました。2号機は爆発せずに建屋は残ったものの、鋼鉄製の原子炉容器の破損は最も深刻で、大気中に放出された放射性物質は最も多くなりました。
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 11年末に当時の民主党が「事故収束」を宣言し、14年末に4号機の使用済み核燃料プールからの燃料搬出を完了しました。2月28日には3号機のプールから燃料を取り出す作業が終わりました。東電と政府が作る作業工程表によると、1~6号機のプールに残る全ての燃料を31年までに取り出す方針です。ただ、工程表はこれまで繰り返改定され、そのたびに目標達成の時期が逃げ水のように先送りされています。
 プールの燃料を取り出しても、その後に格段に難しい作業が控えています。事故当時原子炉内にあって溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しです。どこに、どんな状態であるのかも、わかっていません。放射線量が高くて人が近づけず、遠隔操作で文字通り手探りの作業になります。デブリの取り出しこそが廃炉の「本丸」、最難関の作業になります。工程表では今年から2号機でデブリの取り出しを始める予定でしたが、昨年末になって1年程度延期されました。取り出したデブリをどこでどう処分するのかも決まっていません。
 廃炉作業中の福島だ1原発で目を引くのが、敷地を埋め尽くすように立ち並ぶ約千基の汚染水タンクです。これが22年秋には満杯になって廃炉作業の妨げになるとして、政府は大半の放射性物質を除去した汚染水を「処理水」と呼び、薄めて海に流すことを検討しています。
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 16年の政府の試算によると、廃炉と汚染水対策にかかる費用は8兆円に上ります。このほか、事故で避難した住民や企業などへの損害賠償で7兆9千億円、事故で飛び散った放射性物質の除染で4兆円、除染で出た土などを保管する中間貯蔵に1兆6千億円かかるとされます。総額の21兆5千億円はリニア新幹線の工事費の2倍以上です。この金額で収まるかもわかりません。日本経済研究センターは福島第1原発事故の後始末にかかる費用の総額が最大で70兆円になるとの試算をまとめています。
 廃炉の完了形がどうなるかも、東電や政府は示していません。事故を起こしていない通常の原発では燃料を取り出して建屋を解体し更地にしますが、福島第1では最後までデブリが取り出せない可能性があります。福島第1と並ぶ最悪規模の過酷事故を1986年に起こした旧ソ連チェルノブイリ原発と同様、デブリを残したまま原子炉をコンクリートで覆う「石棺」にせざるを得ないとの見方もあります。「100年たっても廃炉は不可能」と言い切る専門家もいます。
 発電した期間と同じくらい、あるいはもっと時間のかかる廃炉作業。時間的にも費用的にも、福島第1原発廃炉は今世紀最大の巨大事業と言えるかもしれません。ただこの事業は新しい何かを生み出すわけではありません。10年前の事故の後始末が続くのです。
(2021・3・1北海道新聞より引用)

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント

 米国のスリーマイル島原発の1号機が事故を起こし(1979年3月28日)てから、広島や長崎に落とされた原爆・水爆や各国の原水爆実験だけでなく、原発事故についても強い関心を抱くようになりました。
 そのスリーマイル島ペンシルバニア州)の原発も2019年9月20日に運転終了しました。
 その原因は、「1974年に営業運転を開始した1号機は2034年までの運転許可を取っていたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化。運営する電力大手エクセロンが州政府に、温室効果ガスを排出しない電源としての優遇措置を求めていたが、実現しなかった」ためだとしています。1号機が運転停止し、廃炉を目指し作業が行われている間、2号機は稼働していましたが、以上の理由で稼働をすべて止めました。 
 1号機は使用済み核燃料炉心から取り出してから廃炉作業に着手するが、当面は放射能レベルが下がるのを待つため冷却塔却塔や建屋の解体が終わるのは79年の予定です。2019年からだと、これから(2019年から)60年もの年月を要することになります。
長いですね~~もっと年月が掛かると見込んでいるかもしれません。この事故以降、新しい原発が米国では設置されていないというのが、何よりの「証拠」だと思います。!!
 また、費用は1号機だけで10億ド(約1千億円)以上かかるとしています。日本の原発は全部米国からの輸入ですが、40年間で金属=勤続疲労廃炉にせざるを得なくなってきている原発が多数あります。一部では、採算が取れないためもっと使いたいという電力会社の「欲望」もありますが、金属の劣化で原発事故が起こる可能性や、自然災害=地震津波などで、福島第1原発事故と同様の事故が惹起する可能性大です。
 今も、再稼働し始めた原発があり、その中でもMOX燃料を使っている原発は、ウランだけの原発に比べると極めて危険性の度合いが増します。
 「日本経済研究センターは福島第1原発事故の後始末にかかる費用の総額が最大で70兆円になるとの試算」したことを思い出してください。1年分の日本の国家予算に近くなります。
 核のごみ=高レベル放射性廃棄物の処理がここに入っていなければ、さらに原発の事故も含めるともっともっと費用が必要になります。
 「脱炭素社会を目指す」などという能天気なことを言っている場合ではありません。原子炉が崩壊する前に即座に停止すべきだと考えます。
 ここでは、「チェルノブイリ原発事故」のことには触れていませんが、何もできないとみて原子炉を「石棺」に入れる方式で、10万年以上延々と管理していくようです。何度も「石棺」を取り換えなければならないことになるでしょう。しかし、高レベル放射性廃棄物に対して何も手を出すことができないと判断したのでしょう。その原発崩壊事故で「ソ連」も崩壊したと思います。米国のスリーマイルの「原発停止の決断」にも「チェルノブイリ原発事故」や「福島第1原発事故」の有様やそれぞれの「国家的経済的な損失」が勘案されているのかもしれません。
 
 読者の皆様はどのようにお考えになりますか!?

 ■■■ 原子炉の崩壊して山河あり

 ■■■ 原子炉と共に暮らして癌となり

 ■■■ 核のごみ溶け出すなら海汚染

          山川おせん 作