[446](投稿)脱炭素と原発

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政官業「原発復権」合唱 脱炭素のため?新増設の芽残す
2021/03/07 07:30朝日新聞


 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故から10年を迎える今年、政府は国のエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画(エネ基)」を改定する。未曽有の事故を目の当たりにした当時、多くの国民が日本のエネルギー政策のあり方を真剣に考えさせられた。あれから10年。脱炭素という大方針が打ち出され、改めて国民的な議論が必要ないま、政策決定の現場では、変わらぬ光景が繰り返されている。 エネ基の改定を検討する経済産業省の審議会。議論が本格化した昨年末の会合は、「原発復権」を求める委員の大合唱となった。 「(原発の)新増設の準備を始めるべきだ」と、元経産官僚の豊田正和・日本エネルギー経済研究所理事長が口火を切ると、「新規建設を正当に評価すべきだ」(原子力工学が専門の東大大学院の山口彰教授)、「小型炉など新しい原発は安全性や信頼性がいいという整理を」(NTTの澤田純社長)と、原発の新増設を求める声が相次いだ。 もともと原発推進派の委員が目立つ審議会だが、菅義偉首相が昨秋、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると表明したことで、その勢いが一気に増している。 11年3月の原発事故前まで、発電時に二酸化炭素を出さない原発は脱炭素化の最大の「切り札」とされていた。事故前の民主党政権は、30年までに少なくとも14基以上の原発を新増設する計画を掲げ、「原子力ルネサンス」と呼ばれたほどだった。 それが原発事故で一転、国内の原発は軒並み停止。新増設どころか廃炉を決める原発が相次ぎ、いまや国内の総発電量に占める原発の比率は約6%(19年度)に過ぎない。 その事故から10年。政府の脱炭素宣言をてこに、国内で原発復権をめざす動きが強まっているのだ。 「震災10年の節目で、原子力をもう一度立て直す必要がある」(閣僚経験者) 2月24日、自民党二階俊博幹事長が本部長を務める脱炭素実現のための党の会合でも、出席議員からは原発を後押しする声が続出した。昨年11月の会合には、大手電力を束ねる電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)も出席。「新増設やリプレース(建て替え)が不可欠だ」と気勢を上げた。今夏にも決まる見込みの新たなエネ基に意見を反映させたい考えだ。 政府は現在、国内の総発電量に占める原発の割合を30年度に「20〜22%」、太陽光など再生可能エネルギーを「22〜24%」にする目標を掲げる。今回の改定では、「50年の温室効果ガス実質ゼロ」の実現に向け、この目標をどう変えるかが最大の焦点となる。 経産省は今年1月、同省の審議会に、50年の電源構成について、六つのシナリオを示した。再エネを60%、原発を10〜20%とする案を軸にしつつも、「再エネ100%、原発ゼロ」という案もあり、「あらゆる選択肢を検討する」(経産省幹部)と強調する。 だが、審議会のメンバーの構成を変えるつもりはない。省中枢幹部は狙いを明かす。「再エネの拡大は、欧州などに比べて地理的な条件の悪い日本では限界がある。目いっぱいやっても、50〜60%すら厳しいとなれば、原発が欠かせないという結論になる」 あえて再エネ重視の選択肢を多く示すことで反原発の世論や再エネ推進派に配慮した形をとりつつ、最後は原発維持に導くというシナリオだ。反発が強い新増設を正面から議論するより、将来の原発維持さえ担保できれば、新増設の芽が残せるという思惑もある。



※※※ 真田幸村のコメント

 菅首相が「脱炭素社会」を打ち出して、原発の再稼働や新しい原発を建設する構想まで、政治、官僚、企業が一斉に飛びつくのは目に見えていました。

 福島第1原発事故から10年目を迎えるということで、各報道が2011年3月11日を振り返り、その後の「復興」は、良かったのか、悪かったのか、どうだったかも検証しています。

 多くの「復興の検証」の内容は、残念ながら「良くなかったのではないか」というのが主な論調です。一つは原発そのものの事故後の解体作業が停滞して、先行きが全くと言っていいほど見えないことです。

 さらに、重水素入りの汚染水を巡って、政府はいまだに海洋に流して「希釈(きしゃく)」するという古典的な発想しかできないからです。しかし、放置しておくと「放射性の重水素」の入っている汚水は増える一方です。そして、海洋生物に蓄積され、それを私たちが食べると、人体で重水素を蓄積し、その重水素からでる放射線によって人間は、例えば癌になったりします。

 これと同じことは、各原発で生じています。再稼働をすれば、核のごみ=高レベル放射性廃棄物が増える一方で、少なくすることも、埋葬する=地下に埋めることも危険極まりないことです。

 政府寄りの長崎大核兵器廃絶研究センター教授・鈴木達治氏の発想は、再処理された核燃料にはプルトニウムがたくさん生まれます。事故が起これば人が被ばくするリスクは極めて高いものとなるので、再処理せずに地下に埋設する「直接処分」をする方が安全と考える思考の持ち主です。(2021・3・9北海道新聞「核のごみどこへ シリーズ評論 ㉓」)その結果、核のごみを再処理せず「直接処分」する方が良いという発想を勧めています。

 いずれにせよ、「核のごみ」の安全性が完全に担保されるわけではないことは明らかです。

 これ以上、原発を稼働して「核のごみ」を増やさないことをまずやらなければ、核のごみは増える一方だから、全原発の停止を即刻始めるべきです。

 その後の処分には、全く「放射性物質放射能を出さないようにする技術はなく、放射能を遮断する」という名案は皆無ですが、放射性物質を多少増やさないことは少しはできます。

 原発の核燃料は、原発が稼働していなくても、放射能が行き交い発熱するため、冷却する必要があり、冷却水を循環させて、原子炉の格納容器内を絶えず冷やしていなければなりません。これだけでも維持するのに大変な「無駄な」お金が必要です。

 福島第1原発の冷却を続けなければ、また、爆発し、核のごみが広域に飛散しかねません。これは福島第1原発に限らず、どの原発も稼働し続けるか、稼働しなくても維持管理している間に自然と核のごみは増えて、爆発すると飛散する可能性がかなりあります。国内で福島に続く次の事故はどこの原発になるのかは「ロシアンルーレット」です。現在は、各原発敷地内での保管や格納容器内で管理するしかありません。管理する過程で出てくる各放射英物質も原発敷地内で、何とか管理するしかありません。

 北海道の寿都(すっつ)町で、「文献調査」を始め、次には「概要調査」をすることになっていますが、この概要調査には「住民投票」をすることを決めましたが、その前の「文献調査」で、どうして寿都町議会も国も、「住民投票」をすることをしなかったのでしょうか?

 寿都町の片岡町長は、住民が反対する可能性が大きいとみて、住民投票を避けたのです。このような独裁的なことをする町長のリコールや、再選阻止をしなければならないと思います。第一段階の「文献調査」で10億円が入れば、次はたやすく第2段階の「概要調査」が通ると思う「おごり」と「策略」があるのでしょう。議会を構成する議員も、商工会の仲間も、漁協の幹部仲間も「お金に目がくらんでいる」人たちばかりで、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の恐ろしさは、政府機関である「NUMO=原子力発電環境整備機構」が、きれいなスライドを使って、核のごみの放射能など地中に埋めれば怖くないくらいの説明はいくらでもできます。

 しかし、原発や核のごみに詳しくない人は騙(だま)せても、原発や核のごみをまともに研究している研究者や住民で少しでも原発や核のごみに関する書物を読む人をたぶらかすことはできません。

 

 読者の皆様、寿都町神恵内村の幸村の方々は、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)について、どのように思われますでしょうか!?



参考文献:原発のウソ 1,430円 小出裕章 著



隠される原子力 核の真実 1,540円 小出裕章 著 



     いろいろありますが、

     小出裕章(こいでひろあき)氏の著作をお勧めいたします。