悲しみのほほえみ
03/03 05:00
悲しい時のほほ笑みを「自己を押し殺して守る礼節」や「他人への気遣い」のあらわれだと読み解いたのは小泉八雲だった▼流転の果てに出雲国にたどり着いた英国人が、なぜ日本人の本質を見抜いたか。早稲田大学の池田雅之教授は「耳を澄ませ、相手の立場になりきる柔らかく相対的な眼差しにある」と分析した(「日本の面影」NHK出版)▼もはや、ほほ笑みすら浮かべることもできなかったのかもしれぬ。八雲が愛した島根県の丸山達也知事が、県内での東京五輪聖火リレーの中止を検討すると表明した。政府や東京都のコロナ対策が不十分だと訴えた▼2月の時点で全国で唯一新型コロナウイルスの犠牲者が出ていない島根県。緊急事態宣言の対象地域ではないが、自粛の空気は都会と変わらない。県は年末年始の帰省を控えるよう呼び掛け、成人式も中止された▼ところが、営業時間短縮要請に応じた店に支給される1日6万円の協力金の支払いはない。非宣言地域だからだ。松江市の繁華街ではすでに多くの店が休廃業に追い込まれたという。知事の発言は、そうした格差への異議申し立てでもあろう▼島根選出の竹下亘・自民党竹下派会長は発言を「不用意」だとして「注意する」と述べた。そこに他者の痛みに寄り添う姿はない。「日本人は不当な仕打ちには従わぬ」。八雲の警告だ。ほほ笑んでいるからと甘くみてはならない。
(2021・3・3 北海道新聞デジタルより引用)
※※※ 与謝野晶児のコメント
いつだっただろう。日本人は「喜怒哀楽を表情に表さない」と書いた文を呼んだのは。今回このコラムを読んで初めて間違いだと気づかされました。
小泉八雲が「悲しい時のほほ笑みを『自己を押し殺して守る礼節』や『他人への気遣い』のあらわれだと読み解いた」ということを初めて知りました。その八雲の読み解いたことを「早稲田大学の池田雅之教授が『耳を澄ませ、相手の立場になりきる柔らかく相対的な眼差しにある』と分析した」とあります。
このコラムで論じられている核心の問題は、「緊急事態宣言」をしていない地域だとして、「営業時間短縮要請に応じた店に支給される1日6万円の協力金の支払い 」がないことです。
「2月の時点で全国で唯一新型コロナウイルスの犠牲者が出ていない島根県。緊急事態宣言の対象地域ではないが、自粛の空気は都会と変わらない。県は年末年始の帰省を控えるよう呼び掛け、成人式も中止」するほど、しっかり感染対策に寄与している島根県にもかかわらず、「差別され」、困窮し、「松江市の繁華街ではすでに多くの店が休廃業に追い込まれ」ているそうです。
島根県の丸山達也知事は、一つには「県内での東京五輪聖火リレーの中止を検討すると表明し」ました。また、「政府や東京都のコロナ対策が不十分だと訴え」ました。コラム「卓上四季」の筆者は、政府の支援策が届かないことに対して「知事の発言は、そうした格差への異議申し立てでもあろう」と指摘しています。
さらに、この事態に対して「島根選出の竹下亘・自民党竹下派 会長は発言を『不用意』だとして『注意する』」と述べた。そこに他者の痛みに寄り添う姿はない。「日本人は不当な仕打ちには従わぬ」というのは「八雲の警告だ」そうです。「ほほ笑んでいるからと甘くみてはならない」と筆者は「島根選出の竹下亘・自民党竹下派 の会長」に「苦言」を呈しています。
都道府県知事は国会議員や首相や代議士の臣下ではありません。独自の政策を施行することが可能です。しかも、県民から政府は血税を徴収しているんも関わらず、営業等で行き詰まり、失業者なども多数出ているであろうと思われる県に、給付金・協力金等を出さない、支援しないというような「差別」をしてはならないと思います。
私たちは、首相の長男が勤務している東北新社や、そうではなくともNTTやアキタフーズなと、多くの政府の幹部官僚たちが「会食」を介して「接待」を受けるという事態に対しては「きわめて甘い減給」処分しかしていないことと、まるっきり対照的な「醜悪な仕打ちだ」と指摘し、弾劾の声を広く・大きく上げていこうではありませんか!!
読者の皆様はどのようにこの件についてお考えになりますでしょうか!?