[468](投稿)北電社長「プルサーマル進める」

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プルサーマル進める」北電社長が初言及 「計画変更してない」

 北海道電力の藤井裕社長は19日、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電計画(注1)について、「泊原発(後志管内泊村)3号機で実現に向けて丁寧に進めていく」と述べた。北電が10年前の「やらせ問題」を受け計画を事実上凍結していた点については「計画の考え方を(10年前から)変更したことはない」と、そもそも凍結していないとの認識を示した。▼ 大手電力でつくる電気事業連合会電事連)の記者会見で述べた。電事連が2月に公表した新たなプルサーマル計画で北電のプルサーマル発電の凍結撤回が明らかになって以降、トップが初めて公の場で言及した。藤井社長は「プルトニウムの適切な管理は全事業者の共通課題。国策の中での役割をしっかりと果たしていきたい」と強調した。▼  2008年に開かれた泊3号機プルサーマル計画のシンポジウムで北電が社員に賛意を述べるよう促すメールを送っていた、いわゆる「やらせ問題」が11年に発覚。北電はこれを認め、MOX燃料の製造を当面延期するなど事実上の計画凍結を発表し、「立ち止まって整理する」と推進に慎重な姿勢を続けてきた。▼ 藤井社長は「(やらせ問題が発覚した)11年からかなり時間がたっているという経緯もある。まずは泊3号機の再稼働を目指し、その後、地元自治体に丁寧に説明していく」と話した。▼ 泊3号機のプルサーマル計画をめぐっては、高橋はるみ道知事(当時)が09年、北電の佐藤佳孝社長(同)に対し、安全確保を前提に受け入れると回答した。原子力規制庁によると、国の安全審査を経て、10年には発電の許可も得ている。泊3号機が再稼働した場合は、手続き上はプルサーマル発電も同時に可能になる。(佐々木馨斗)(2021・3・20 北海道新聞デジタル)

※※※ 骨川筋衛門のコメント:北海道電力の藤井裕社長が19日、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電計画(注1)について、「泊原発(後志管内泊村)3号機で実現に向けて丁寧に進めていく」と述べました。さらに「プルトニウムの適切な管理は全事業者の共通課題。国策の中での役割をしっかりと果たしていきたい」と言っていますが、我が国の「プルトニウムの消費を国策としてやっていきたい」という政府と支配者階級の「願い」だからです。米国などから、水爆や原爆などを作らないようにプルトニウムの消費を求められているからです。しかし、プルトニウムを消費することは注1をご覧いただくと分かると思いますが、プルトニウムを「燃やす」ためには「プルサーマル計画」が順調に運ぶという前提があってこそなのですが、この「プルサーマル計画」は完全に破綻しているのです。           
 「プルサーマル計画」に入っていた「もんじゅ」の破綻や「六ケ所村のプルトニウムプルトニウの分離や放射性物質をガラス固化体として保管する計画」が完全に破綻しています(注2)。
 小出裕章氏によれば、MOX燃料には毒性がウランの20万倍もあるプルトニウムをウランと混合して用いるので、その燃料から出る放射線が、原子炉の原子炉圧力容器の中にある燃料棒やそれを作動させる金属などを破綻させる危険性が驚くほど増加するのです。原子炉圧力容器を包んでいる原子炉格納容器も燃料棒が溶け落ちた「デブリ」は突き抜けると米国原子力規制委員会のヤッコ氏は言っています。                            
 そもそも米国から輸入した原子炉の寿命は40年とされて、日本にある原発のほとんどは消費期限が近付いているのです。そうでなくても、福島第1原発で生じたように、電源が無くなるとあっという間に未曽有のチェルノブイリ原発事故をしのぐほどの放射能汚染を起こします。電源だけではなく、地震で配管が壊れて、冷却水が原子炉を冷却できないということも生じ、福島第1原発事故の再現を北海道でも見せます。かなり前に、事故が起きたときの避難行動をとれる「模擬避難」の訓練をしていますが、1度くらいしかしていません。かなり大変だったと訓練に参加した人の感想がTVで放送されていました。このように危険な泊(とまり)原発再開は絶対に阻止しなくてはならないと思います。       
 読者の皆様、核のごみの廃棄とともに、泊(とまり)原発再開に反対して行こうではありませんか!!            

注1:<小出裕章さんに聞く> 高浜原発プルサーマルは経済的にも技術的にもすでに破綻2015.05.14

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆毒性20万倍のプルトニウムを使用

ラジオフォーラム(以下R):鹿児島県の川内原発3号機、そして福井県の高浜原発3、4号機ではプルサーマル計画が予定されていますが、今一度、このプルサーマル計画で使用されるMOX燃料というものについてお聞きしたいと思います。
小出:普通の原子力発電所はウランを燃料にしているのですが、そのウランにプルトニウムを混ぜて燃料にしたものがMOX燃料と呼ばれているものです。

R:普通のウラン燃料棒でも非常に危険なものですが、このプルトニウムを混ぜたMOXの燃料棒というのは、普通のウラン燃料棒の何倍ぐらい危険なものなのでしょうか。
小出:倍率でお答えするのは大変難しいのですが、例えば、ウランが持っている放射線の毒性と、プルトニウムが持っている放射線の毒性を比べれば、約20万倍危険です。

R:20倍じゃなくて、20万倍ですか。
小出:そうです。

R:この危険なMOX燃料を高浜原発では使おうとしているということですね。
小出:はい。

R:今、核のゴミが大きな問題になっていますが、MOX燃料の場合は、やはりウラン燃料棒よりも、さらに長い期間、保管しておかないと安全にはならないのでしょうか。
小出:はい。原理的には当然そうなります。ごく短い間の保管ということに関しても、日本の普通の原子力発電所でできた使用済み燃料というのは、数年後には再処理工場に運べるという程度の発熱ですが、MOX燃料の場合には、ウラン燃料に比べて発熱量が高いので、恐らく数年ではなくて、数十年間は原子力発電所の敷地から動かせなくなると思います。

R:通常でも数年置かないといけない物をMOXの場合、数十年ですか。福井県では地震も起こりますし、高浜原発は相当の危険を覚悟しなければなりませんね。
小出:そうです。もともと普通のウランを燃やす原子力発電所でも危ないのですから、それにプルトニウムを混ぜるというようなことをすれば、より危険が増えてしまう。そのことはもう争う余地がなく当たり前のことです。

注2:とめよう!六ヶ所再処理工場 | 原子力資料情報室(CNIC)


とめよう!六ヶ所再処理工場 | 原子力資料情報室(CNIC)
再処理工場の危険性について、「核燃料サイクル」の問題も含め具体的にご説明しています。『原子力資料情報室通信』に掲載されている最新の記事はcnicトピックス>核燃料サイクルからご覧ください。再処理工場ってなに?日本では福島第一原発事故前、54基の原子力発電所が運転していました。
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