[484](投稿)福島原発処理水会議、13日

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政府、13日にも原発処理水会議 首相は全漁連会長と面会へ
(2021/04/06 13:28 北海道新聞デジタルより)

 政府は、東京電力福島第1原発の処理水処分問題を巡り、早ければ13日にも関係閣僚会議を開催する方向で調整に入った。これに先立ち、菅義偉首相は7日にも処理水の海洋放出に反対する全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と面会する予定だ。政府関係者が6日、明らかにした。▼ 処理水に関しては来年夏にもタンク容量が限界になる。政府は海洋放出を検討しているが、風評被害を懸念する漁業者は猛反対している。首相と岸会長との面会で、岸氏の理解が得られるかが焦点だ。内容次第で関係閣僚会議の日程も前後する可能性がある。▼ 首相は3月、国会答弁などで、処理水処分問題について「いつまでも決定せず、先送りはすべきではない。適切な時期に処分方針を決定したい」と述べていた。政府は9日、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法に関し、海洋放出とする方針を固めた。13日にも関係閣僚会議を開き、正式決定する見通し

※※※ 真田幸村のコメント:4月9日の報道では、来週13日には「海洋へ東京電力福島第1原発の処理水」を海洋に放出する「関係閣僚会議を開き」汚染水処理の正式決定をする予定となりました。首相にとって全漁連の会長との話し合いは方針決定の通過儀礼のようなものではないでしょうか。
 菅首相は「いつまでも決定せず、先送りはすべきではない。適切な時期に処分方針を決定したい」と言っていましたが、「処分方針」を決定したのです。
 WHOなどが決めている基準値を下回るようにすると報道されていますが、フランスから導入した「ALPS」で取り切れず残存している「トリチウム」が問題になります。経産省資源エネルギー庁のホームページに書かれていますが、トリチウムは、放射線にはα(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマー)線という3つの放射線の中の放射線の一つであるβ線を出し、空間では6ミリメートル飛び、薄紙1枚で止まると書かれています。遺伝子に対しても紫外線と比較するとかなり安全と書かれています。
 しかし、紫外線とトリチウムを比較すること自体に意義があるのか疑問に思います。安全だということを強調したいために書かれていると考えます。体内に吸収され、細胞に入って普通の水と同様の働きをすると遺伝子だけではなく、細胞内にあるいくつもの「細胞小器官」に与える影響などには触れられていません。安全であれば、トリチウムの海洋放出が問題になるわけがないと思います。安全でないから「汚染水の海洋放出に反対」という声が上がっているのです。▼小出氏によると、六ケ所再処理工場から放出が予定されていたトリチウム三重水素)を海に放出する計画では、その量は年間1万8000テラベクレルで、1日あたりでは約60テラベクレルです。このトリチウムを原子炉規制法で放出される濃度(一立方センチあたり60ベクレル)までトリチウムを薄めるためには、毎日100万トンの希釈水が必要になります。つまり、六ケ所再処理工場は毎日100万トンもの水で薄めなければ流すことのできない毒物を海に流す工場です。六ケ所再処理工場の排水口は沖合三キロ、深さ四四メートルの海底に設置される予定でした。そうでもしなければこの膨大な毒物を排出できないからです。排水口を沖合に持って行っても毒物はなくなるわけではありません。より広く拡散され、汚染を広げてしまいます。(注1)福島第1原発に保管され、また、日々増えている汚染水を海洋に投げ捨てて「希釈」しても、毒物であることに変わりはありません。また、この毒物を吸収した海洋生物を他の海洋生物が捕食し、最終的に人間が食べるという循環が起こり、生物から生物に手渡しされていくうちにトリチウムは濃縮されて行きます。これを摂取すると高濃度のトリチウムを持った海洋生物を私たちは取り込むことになり、トリチウム放射能を大量に継続的に浴びることになります。▼このような汚染水は日本を含め各国の各原発から海洋や河川に、毎日投棄されているのが現状です。イギリスのセラフィールド原発(その前はウィンズケール原発という名前でした)では、汚染水は英国本島の中西部側にあり、対岸にはアイルランドがある「内海」で、汚染水を海の中に投棄する排出設備を作り、海底に排出口を設けて放射性毒物を放出していました(火災も起こした原発です。長年、排気口から空気中に放射性物質を廃棄していたため、風下では白血病を発症する人が顕著に増えました)。▼小出氏は希釈の基準値の作成過程を「仮定に仮定を積み重ねた計算」でできているものだと喝破し、「被曝の評価シナリオ事体に欠陥がある」と批判しています。また、海洋放出を選ぶのは、タンクで保管することに比べて極めて安価だからであり、人命・人体・自然環境への影響などは見ぬふりというよりも「計算ずく」で行っているからです。(中間貯蔵施設の建設を巡り、2014年6月16日に、石原環境大臣が「最後は金目でしょ」と発言しましたが、現政府の汚染水の海洋投棄も結局「最後は金目でしょ」ということです)。今回の汚染水の海洋投棄の早期決着は、お金がかかることを避けて通ることを選んだ結果であり、人命を軽視し、海洋で希釈すると海洋を汚染するだけでなく、トリチウムでできた水が水蒸気となり、雨となって山や川などの陸地にも降り注ぐことになり、海で生計を立てている人だけではなく、陸地で生活している人たち、すなわち日本国内の人びとだけではなく、全世界の人びとに放射能の影響が及ぶことになります。▼全力で、汚染水の海洋投棄に反対して行かないと私たちが住む「地球」まるごと汚染をしていきます。読者の皆様とともに、汚染水の海洋投棄に反対して行きましょう!!

参考文献 1:「隠される原子力 核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ」小出裕章著  創史社 刊 

参考 2:「陸も海も汚染したセラフィールド原子炉事故」

アドレスは:陸も海も汚染したセラフィールド原子炉事故 | 非核の政府を求める大阪の会 (hikaku-osaka.jp)