[496](投稿)核ごみ現地「対話」紛糾、物言えぬ雰囲気も

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核ごみ「対話の場」地域事情を反映 寿都と神恵内、対照的な出だし
04/17 05:00(北海道新聞デジタルより)
寿都、神恵内】後志管内寿都町神恵内村で14、15日、全国で初めて開かれた原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分事業に関する「対話の場」は、文献調査開始までの経過や地域事情が色濃く反映する展開となった。「分断」が進む寿都町では反対派町議が会則案などを問題視して紛糾。神恵内村では村の将来像を率直に話し合う機会と受け止める参加者もいるが、原発立地自治体として物言えぬ雰囲気も漂う。

■町議主導で紛糾 
 「町長がいくら処分場を持ってくる話ではないと言っても、しっかり確かめなければ議論はできない」。寿都町の幸坂順子町議は2時間半に及んだ14日の初会合終了後、片岡春雄町長への不信感を隠さなかった。 寿都町では「肌感覚」で文献調査応募に踏み切った町長に反対派の町民が強く反発。町議会(定数9)も4人が反対派だ。町長が6選を目指す今秋の町長選に向け、対抗馬擁立の動きもくすぶる中、町や原子力発電環境整備機構(NUMO)が町議全員を対話の場の参加者に選べば、反対派町議が厳しい姿勢を示すことは容易に想定できた。
 にもかかわらず、NUMOは「地層処分事業の理解を深めることが目的」と明記した会則案を提示。さらに会則案への了承を得ないまま、地層処分の説明など実質の議論に入ろうとして反対派町議の怒りを買い、NUMO職員も「ここまで荒れるとは思わなかった」と見通しの甘さを認めた。
 NUMOは月1回の頻度で対話の場を開く方針だが、反対派町議ら3人は「処分場ありき」だとして次回の参加を見送ると表明。会則案見直しの議論も予想され、すぐに「対話」が始まる雰囲気とは言い難い。

■村議の参加なし 
 15日の神恵内村の初会合は、NUMOが会則案の説明に時間をかけるなど対応を改善。賛否を超えて村の将来を話し合う場になると期待する参加者もおり、公募参加者の池本美紀さん(43)は会合後、「いろいろな村民の意見を聞き、伝えていきたい」と話した。
 高橋昌幸村長が昨年10月に文献調査受け入れを表明した際には村民から「議論する時間がなかった」との不満も漏れた。それでも初会合が紛糾しなかったのは、北海道電力泊原発(泊村)の立地自治体のため「原発関連の仕事をしている人が多く、原子力政策に反対しにくい」(参加者の60代男性)という事情もある。  
 村議会(定数8)でも調査に反対しているのは2人。寿都町と異なり、住民投票条例案や「核抜き条例」案は議題となっていない。村議は対話の場に参加せず、NUMOから必要に応じて報告を受ける見通しだ。
 初会合はおおむねNUMOの想定通りに進み、NUMO関係者は「議員が入っていなかったことが大きい。議員は住民を代表している意識があり、どうしても意見を言いたくなる」と漏らした。処分場選定に向けた「実績」を重ねるため、国やNUMOが今後、寿都町より神恵内村の議論を重視する展開もありそうだ。
 原子力政策に詳しい東京電機大の寿楽浩太教授(科学技術社会学)は「寿都町が紛糾したのは、町やNUMOが参加者に共通の認識を持ってもらう事前準備を怠ったためだ。神恵内村も含め説明を尽くす姿勢を徹底しなければ、信頼は得られない」と指摘した。(山田一輝、岩内江平、川崎学)

■両地区「初会合」 参加者の構成は
 【寿都、神恵内】核のごみの最終処分事業に関する「対話の場」の初会合に向け、後志管内寿都町原子力発電環境整備機構(NUMO)とともに参加者20人を選んだ。片岡春雄町長は当初は公募する意向を表明していたが、撤回した。
 内訳は町議全9人と、商工会、建設協会、観光物産協会、水産加工業協同組合、漁協、まちづくり団体、地元ケーブルテレビの代表各1人、福祉施設、町内会連合会の代表各2人。 町内会の代表2人は14日の初会合を欠席した。調査反対派の町議ら3人は次回は出席しないと明言しており、参加者の構成が変わる可能性がある。
 一方、同管内神恵内村の参加者は18人。村とNUMOが選定した漁協、商工会、観光協会、PTA連合会、社会福祉協議会、まちづくり団体、介護施設、村内3地区の代表計14人と、公募で選ばれた4人で構成される。15日の初会合には全員が出席した。村議は入っておらず、村やNUMOから必要に応じて報告を受け、意見交換する見通しだ。

※※※ 真田幸村のコメント:寿都町の「対話の場」は、「対立の場」と変わりました。初めから、片岡町長とNUMOの「核のごみ受け入れ容認」の姿勢に対して、反対派町議ら4人は「処分場ありき」だとして次回の参加を見送ると表明しました。また、「受け入れ容認」の会則案見直しを拒否して、次回の参加を見送るとしました。
 一方、NUMOは、神恵内村では寿都町の「討論会」の反省を踏まえて?「会則案の説明に時間をかけるなど対応を改善」し「賛否を超えて村の将来を話し合う場になると期待」できるように柔らかめの対応をしたようです。また、「初会合が紛糾しなかったのは、北海道電力泊原発(泊村)の立地自治体のため『原発関連の仕事をしている人が多く、原子力政策に反対しにくい(参加者の60代男性)という事情もある」と書かれています。また「寿都町と異なり、住民投票条例案や『核抜き条例』案は議題となっていない。村議は対話の場に参加せず、NUMOから必要に応じて報告を受ける見通しだ。   
 初会合はおおむねNUMOの想定通りに進み、NUMO関係者は『議員が入っていなかったことが大きい。議員は住民を代表している意識があり、どうしても意見を言いたくなる』と漏らした」と書かれています。村民に任せた方が良いという村長の意向と上記の北電の原発で仕事をしている村民が多いという事情があるからというのが要因になっているようです。しかし、地層はどうでしょう。NUMOとしては、地
層はどうでもよくて、全国で「核のごみ」を引き受けてくれる過疎地域の町村がこぞって手を上げてくれることがあれば、10億円を支払っても安いものと考えて、「10億円の文献調査」を掲げて、他の地域の手が上がることを願ってのパフォーマンスではないでしょうか?もし「地層処分地」になれば、長期にわたる仕事が増え、外部から工事をする人もかなりの期間は増えますが、これも「自然破壊」との引き換えになり、工事が終われば「荒れ果てた村」となる可能性もあります。
 北電が「再稼働」を希求している泊原発福島原発事故のような事故を引き起こした場合は、広範囲の地域が汚染区域(30~50キロメートル)になり、村から別の土地に住まい、仕事を見つけなければなりません。そこまで村民の皆様はお考えになっておられるのでしょうか?

 また、日本にはいまだに解除されていない緊急事態宣言があります。それが2011年3月11日
に発令された「原子力緊急事態宣言です」と小出裕章氏は強調し指摘されています。福島第1
原発事故以来、日本は「原子力緊急事態宣言下」にあります。そのことを再稼働を目指す北海道電力や東電などと同じく、政府・経産省・NUMOもすっかり忘れてているのではないでし
ょうか?

原発事故については、是非、「原発事故は終わっていない」 小出裕章 著 毎日新聞出版社 をお読みいただければ幸いです。