国内初、運転開始40年超の原発3基が再稼働へ…福井県議会が同意
運転開始から40年を超えた関西電力美浜原子力発電所3号機(福井県美浜町)、高浜原子力発電所1、2号機(同県高浜町)について、福井県議会は23日、再稼働を前提とする意見書案を可決し、同意することを決めた。杉本達治知事は県議会の同意を受け、4月中にも同意を表明するとみられ、国内で初めて40年超の原発が再稼働する。 (2021・4・23 読売新聞デジタル Yahooニュース掲載より)
福井県にある運転開始から40年を超えた関西電力の原発3基の再稼働を巡り、県原子力安ー全専門委員会の鞍谷文保委員長は22日、県庁で「ハード、ソフト両面から安全性の改善が図られた」とする報告書を杉本達治知事に提出した。
杉本知事は専門委の見解や、国の原子力政策の位置付けを再稼働同意の判断材料にする考えで、近く最終的に決断するとみられる。
3基は美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機(高浜町)で、2011年以降停止している。報告書は、事故に備えた電源や冷却機能の確保、事故制圧に向けた初動対応の強化など「原子炉の工学的な安全性を確保するために必要な対策が講じられている」と結論付けた。
外部有識者でつくる専門委は、40年超原発の安全対策を技術面から検討。今年3月には現地を視察した。(2021・4・22 北海道新聞デジタルより)
※※※ 石川怒座衛門のコメント
原子力の専門家である小出裕章氏は、原発の耐用年数は40年と書いています。今日本にある原発はすべて米国から輸入した原発です。「日本には東京電力が使っている「沸騰水型」と呼ばれている原子炉と、関西電力が使う「加圧水型」というふたつの原子炉があります。
沸騰水型は米国のジェネラル・エレクトリック(GE)が開発し、日本では東芝と日立製作所が請け負いました。一方の加圧水型はやはり米国のウェスチングハウス社(WH)が開発し、日本では三菱重工が請け負うという形でこれまで進めてきました」と書かれています。そのどれも耐用年数は40年です。家電製品でさえ、耐用年数を超えて使うと「発火」したりして、大火事になることが度々あります。まして、制御が難しい原子炉の耐用年数を超えて使うのは狂気の沙汰です。福島第1原発の二の舞になることは容易に誰もが予想されるでしょう。
スリーマイル島の原発は採算の悪化で、40年を待たずに稼働を停止しました。(注2)廃炉にするにしても60年をかけてやることとなり、その廃炉費用は2019年9月段階で1000億円(当時の金額で)かかるとの試算です。
日本で、原発の再稼働をするのは、電力会社の経営悪化を少なくするためです。決して電力が不足しているわけではありません。国からの補助金も出るのと、原発稼働で電力料金をもっと稼ごうという腹だからです。
かつて原発の電力料金は他の火力発電などと比べて「安い」とされてきましたが、それは初めから「嘘」で、他の電力に比較しても電力料金は高いのです。「オール電化の家」のコマーシャルも見かけないようになったのは、オール電化の家の電力料金の割高さが知れ渡ったからです。
燃料だけで見ても、原発に使うウランの採掘やウランの濃縮などだけでも費用が掛かり、他の燃料に比べるとべらぼうに高いのです。さらに、このウランの濃縮に使う工場建設費用や運転に要する電力費用(これに原発の電力は使われず、火力発電などで、石炭や石油など炭酸ガスが出る発電所が使われ、菅首相がいうように「原発は炭酸ガスを排することはない」というのは、真っ赤な嘘です)や、原子炉を運転する際に漏れ出る汚染水を拭き取る化学繊維のモップや化繊の雑巾などは石油製品ですから、これをたくさん作るのにも多くの石油を使い、製品作りに要する工場の機械を稼働させるのには、石油や石炭を使う電力が必要です。
これらの製品は、外国からの輸入に頼るので、製造原料、製造する機械を作るときも原料は石油であり、作るときに用いる機械を動かすのに必要なのは電力で、安い国の電力はほとんどが石炭や石油です。輸送するときに使うトラックのガソリンや船の燃料は石油製品です。排気ガスは二酸化炭素です。炭素を少なくするために原発を使う方針自体が炭素を増やす要因になることを菅首相は知らないのか、知っていても公言しないようにしているのかどちらかです。
新型コロナワクチンが今年の9月に入ってくる確約がファイザー社とできたかどうかと聞かれて、「ここで答えるのは控えさせて頂きます」と野党議員に答えたことに相通じます。不都合な真実は言わないということです!!原発を使っても二酸化炭素は減らないというのが真実です。むしろ増える可能性が高いと思います。しかも、温暖化が二酸化炭素の増加で決まるという証拠はありません(注1)。かつて「フロン」が悪者にされていましたが、もはやフロンガスのことは表舞台の出てきません。スリーマイル原発の経営者の一人である会社の副社長は、菅首相と同じことを発言していることに着目しておいた方が良いと思います。原子力発電は「炭素排出ゼロ電源」だと思い込んでいるところを!!(注2)世界では、原発の廃止がもはや主流になっています。日本の国家・首相はそのことには目をつぶっているのです!!
注1:小出裕章 著 「原発事故は終わっていない」 毎日新聞出版社 2021・3・5 刊
注2:米スリーマイル島原発が運転終了 60年かけて廃炉へ
ニューヨーク=香取啓介
2019年9月21日
朝日新聞デジタル
米スリーマイル島原発(ペンシルベニア州)が20日、営業運転を終了した。同原発は2号機(加圧水型)が40年前に炉心溶融事故を起こした後も、1号機(同)が運転を続けていたが、採算の悪化で閉鎖を余儀なくされた。今後、60年をかけて廃炉にしていく。
1974年に営業運転を開始した1号機は2034年までの運転許可を取っていたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化。運営する電力大手エクセロンが州政府に、温室効果ガスを排出しない電源としての優遇措置を求めていたが、実現しなかった。ブライアン・ハンソン上級副社長は「州が、この安全で信頼できる炭素排出ゼロ電源の運転継続を支援してくれないことを残念に思う」とコメントした。