[505](投稿)40年を原子炉「長期利用に道」ともちあげる読売新聞

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原発 長期利用に道」という見出しで、読売新聞は、原発の稼働を40年以上に進める政府・関西電力福井県の知事の「応援・太鼓持ち記事」を掲載している。
 一応、原発の核燃料から出る放射能中性子)による原発の原子炉圧力容器を構成する鋼鉄の壁の劣化=「中性子照射脆化(ぜいか)」(「中性子線にさらされた金属が粘りを失う現象で、原子炉の耐久性が低下する」)という課題や「他にもコンクリートやケーブルなどの経年劣化が問題になる」と、読売新聞は「長期運転」の危険性にちょっとは触れるが、「劣化の進み具合は一律ではなく、原発の型式や稼働状況に左右される」として、「原発ごとに個別に安全性を評価する必要がある」と、長期運転の危険性を薄めている。さらに、それを補強するために、山口彰・東大教授(原子力工学)は「運転期間や延長回数は、福島第一原発事故後に十分な科学的評価がなされないまま(40年という運転期間を目安としていることについて)決定した。世界の実績を踏まえ、延長を1回に制限している制度を見直す時期に来ている」と発言。東大教授という「肩書」で世界の流れは「海外40年超3割」とか「米80年も」と「ちょうちん」記事を書くことを忘れてはいません。
 それならば、なぜ米国で新しい原発を設置し運転しないのかとか、欧州では原発廃炉に向かう趨勢があることを書き添えないのかという疑問も自ずと湧いてきます。
 安倍元首相が東南アジアに原発「トップセールス」に回ってみたものの、どこの国も購入しなかったのかという疑問も書き加えるべきです。
 それ以前に、「福島の汚染水の問題」や「核のゴミの問題」も取り上げてしかるべきです。核のゴミをどこで引き受けるか?その当てもなく、「核のごみ」の廃棄と管理に、何百万年以上…を要しますが、そのことには触れていません。それだけでなく、日本列島は地震津波、台風、噴火…様々な災害が襲って原発を暴走させる・壊すということが、読売新聞の記者は、福島第一原発事故で身に染みて分かっているのだろうかという疑問を抱かざるを得ません。
 
原発がなければ電力不足?
 
 もう一つは、「電力安定『延長』頼み」という中見出しも付けられていますが、福島第一原発事故直後は、夏場に電力供給が不足するのではないかと不安視されていましたが、クーラーなどを使っても電力供給には全く問題はありませんでした。さらに、各地の原発が稼働しなくても、電力供給に全く支障がないことが分かりました。火力発電などで十分補えたのです。

「脱炭素」は錦の御旗 

 現政権は「二酸化炭素削減」を高く掲げて推進するとしていますが、二酸化炭素削減は「錦の御旗」であって、錦の御旗を高くすることによって、各地の電力会社の原発を稼働することを正当化したいのです。「電力会社」の儲けを図ることが菅首相らの狙いであって、決して電力不足や二酸化炭素による温暖化阻止することが真の目的ではないと考えます。
 養老孟司氏は早くから「京都議定書」の二酸化炭素排出量を低くするという目標をかかげるべきではなかったと批判していました。1800年代の産業革命以来、炭酸ガス濃度は右肩上がりであり、その後、徐々に「地球温暖化」は進んできたといろいろな資料には書かれています。とりわけ、1900年頃から石油の消費も加わると急速に炭酸ガスが増え、温暖化に拍車を掛けました。しかし、これらに加えて、山林を伐採し、農地を増やし、砂漠化を推進してきたことなども忘れてはなりません。
 私は「環境保護原理主義者」ではありませんが、どろ亀さん(注1)や自然農法の福岡正信さん(注2)たちの緑化などには賛成です。森林や畑があり花を愛でるのは賛成ですが、権力を使い自国民や他民族に圧政を行い、土地を占領し、戦火を交えることには反対です。石油や石炭やウランなどを「盗掘」に等しいことをすることにも反対です。
 人間も昆虫や野鳥などものびのびと暮らせ、実りの多い、放射能に汚染されていない食物や水などや暮らしやすい世界を希望していますが、原発の電力でこれらを賄(まかな)えるとは全く思っていません。無駄な大量生産、大量消費などにも反対です。それこそが炭酸ガスを多く出す原因の一つだと思っています。
 また、炭酸ガスの排出が温暖化の原因だとも思っていません。温暖化の一つの原因とされたフロンガス説はどこへ行ったのでしょうか?多様な原因で「温暖化」はしていると思います。マンモスがシベリアの凍土から発見されていることから、大昔はシベリアも温暖化していたのではなかったのではないかと考えます。その後、寒冷化して凍土のなかにマンモスは閉じ込められて、現代になって凍土が溶けて、発見されたと考えられます。
 福岡正信氏は、米国に招かれ、飛行機からカリフォルニアの乾燥した地域を眺め、昔は緑豊かな地域だったのだろうと推測しました。いまや、井戸を掘って、高山の雪解け水が地層深くに溜まっていたのをポンプで吸い上げ、その「化石水」も激減しています。これも、人工的に化石水を大量に利用して、畑を潤し農産物を大量生産した結果です。何事も、過剰に酷使し、利用するとしっぺ返しが来ることを示す一例です。

原発の排水も温暖化の原因

 原発は、海水や河川水を利用しなければ、稼働できません。核物質を燃料にして高温に発熱させ、その熱で水の温度を上げて、熱湯を作り(湯沸かしをし)、熱湯の蒸気で発電機を働かせて発電するわけですが、利用し終わった熱水を冷却して、再度原子炉で熱湯に変えて再利用しています。2次的に冷却した水は海洋に流します。この海洋に流される冷却水は、1秒間に70トンの水を7度温度を上げます。この大量の7度も上がった温水を海洋に流すことも、温暖化に加担していると考えられています。(注3)

 同じ日の読売新聞の社説にも「既存原発を有効に利用したい」というタイトルで書かれていますが、もちろん、趣旨は当然上記の内容と同じです。この「有効性」が福島第一原発事故の二の舞三の舞にならないようにすべきです!!

 上記の理由から、原発の利用、再利用には反対です!!読者の皆様も、「温暖化阻止」という名の菅政権の「錦の御旗」に惑わされず、原発の廃止を目指して、原発再稼働反対の声を上げていきましょう!!(原発稼働・再稼働に反対する北原麦秋

(★題材は「読売新聞」2021・4・29です)。


注1:高橋延清 - Wikipedia

注2:福岡正信 - Wikipedia

福岡正信 - Wikipedia
関連文献. 木下泰雄 「米と柑橘--愛媛県伊予市福岡正信さんの「自然農法」」 『協同組合経営研究月報』 、無農薬農業の事例をたずねて(ルポ) 207巻、 町田: 協同組合経営研究所、85-90頁、1970年12月。 issn 09141758 。; 坂本慶一 「日本農業の再生は可能か」 『中央公論』 90巻5号、 東京: 中央公論 ...
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注3: ① 原発事故は終わっていない 小出裕章 著 毎日新聞出版 2021.3.5 刊

    ② 原発ゼロ 小出裕章 著 幻冬舎ルネッサンス新書 2014・2・20 刊