[507]失業率改善とはいうけれど、数字のまやかし

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失業率改善とはいうけれど

 総務省が4月30日に発表した3月の完全失業率は2.6%でした。前月を0.3%下回り、これだけを見ると新型コロナ感染症が広がっている中でも雇用が回復したかのようです。しかし実感も実態もそうではありません。

完全失業率は次のように算出されます。

完全失業率=完全失業者÷労働力人口×100

 「労働力人口」に占める「完全失業者」の割合のことです。労働力人口とは15歳以上の就業者数と休業者および完全失業者数の合計です。完全失業者とは失業した労働者のうち求職活動をしている人のことをさします。職を探していない失業者は、学生や専業主婦、リタイアした高齢者などとともに非労働力人口とよばれます。
 4月30日の総務省発表で着目すべきことは、3月の非労働力人口が2月より24万人増えたことです。昨年の4月に緊急事態宣言がだされたときには3月より94万人増えました。休業した会社の労働者と求職活動を諦めた失業者が増加したことが示されています。その後非労働力人口は減少し続けましたが、3月の緊急事態宣言の影響で2月から24万人増えたのです。昨年の4月と同じような傾向が顕著となっています。
 朝日新聞によると総務省が示した完全失業者数は180万人(季節調整値)で、2月より23万人減りました。労働力人口が33万人減っており、非労働力人口は24万人増えています。就業者数は13万人減っています。完全失業者の「数字」が減っていることは仕事を失った労働者が増えていることを意味しているのです。コロナ休業や倒産が増えるなかで仕事が見つからずハローワークに行くのを諦めている失業労働者が多いのです。
 緊急事態宣言によって経営危機に追い込まれた飲食、宿泊等サービス業で働く労働者は、解雇され失業しました。交通、アパレル関連の労働者も「希望」退職がしいられてます。厚労省の発表で新型コロナ感染症の影響で解雇された労働者が4月8日で10万人をこえました。求職活動をしない、あるいはできなくなった労働者は失業していても完全失業者にカウントされないため計算上は完全失業率を下げる要因になるのです。仕事を失った労働者は「完全失業者」よりはるかに多く、「失業率2.6%」は失業の実態から乖離しているのです。
 
 総務省によると、3月の就業者数は6649万人で、前の年の同じ月と比べて51万人減り、12か月連続の減少となりました。また就業者のうち、パートや派遣社員、アルバイトなどの非正規労働者は2054万人で、前の年の同じ月から96万人減りました。特に女性の非正規の労働者が65万人削減されました。
 総務省ですら「前の月に比べて完全失業者数が減ったことで完全失業率が下がったが、就業者数も減るなど、新型コロナウイルスの影響は依然見られ、雇用情勢が改善していると言っていいか難しい」とコメントしています。
 これから雇用情勢はさらに悪化することが予想されます。政府の失政の犠牲転嫁を許してはならないと思います。

労働者はスクラムを固めなけれなりません。
               
               労働組合