[508](投稿)原発の核分裂は二酸化炭素は生まないが死の灰を生む

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グスコーブドリの願い

火山の爆発で大量の「炭酸ガス」を放出させ、温室効果で冷害による飢饉(ききん)を防ぐ。自らの命を犠牲にしてイーハトーブを救うブドリ。幼いころに読んだ「グスコーブドリの伝記」で妹や地域を思うその情熱に心を打たれたという方も多いだろう▼「ガスは大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包む。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろう」。クーボー大博士の説明は約100年前の童話とは思えないほど克明だ▼実際には粒子が太陽光を遮る「日傘効果」による気温低下と温室効果による上昇という相反する効果がある。それでも粒子に比べ、温室効果の影響は長期にわたる。ブドリの考えもあながち的外れではないようだ▼米主催の気候変動に関する首脳会議がオンライン形式で開かれた。人権問題などでは対立する中ロが参加したのも危機感の表れだろう。新たな温室効果ガス削減目標を掲げた日本も実行力が問われよう▼火山噴火でも相反する効果があるように自然現象の影響は多面的分析が必要となる。あらゆるデータや見方を検討し、科学的知見に基づく行動につなげたい▼飢饉で両親を亡くし噴火で職も失うブドリは技師となり、噴火被害の軽減や人工降雨の研究に取り組む。通底するのは人々の暮らしを守るという願いだ。世界のリーダーにも見習ってほしい決意である。(2021・4・24 「卓上四季」北海道新聞デジタルより)

※※※ 骨川筋衛門のコメント

 「温室効果ガス」が地球の温暖化の主たる原因かどうかはまだ科学的には証明されていないというのが、現在の科学的探究の「位置」であり、『卓上四季』の筆者の「実際には粒子が太陽光を遮る「日傘効果」による気温低下と温室効果による上昇という相反する効果がある」という見解もあるかと考えます。
 しかし、小出裕章氏によると、原発を使えば「二酸化炭素を出さない」と主張する菅首相をはじめとする「原発推進派」は「核分裂反応は二酸化炭素を生まない」と言い換えるべきだと主張します。そして、ここに問題があるのだと指摘します。「確かに核分裂反応は二酸化炭素を出しませんが、その代わりに核分裂生成物、つまり死の灰を大量に生み出」すと強調します。
 二酸化炭素光合成に欠かせないなど、地球の生命体に欠かせない」けれど、「核分裂生成物はいかなる場合においても有害」だと言います。「核分裂反応というごく限られた過程だけを取り上げて、二酸化炭素を出さないと主張し、死の灰に目をつぶる議論はそもそも間違って」いると、またそれだけでなく、原発を動かせば、放射性廃物という「核のごみ」が大量に生み出され、それらを今後、数十万年から数百万年にわたり、安全を確認しながら保管しなければいけないという過酷な作業も原発には求められると指摘します。
 いったい誰が、この過酷な「安全確認」を継続しうるのでしょうか?

 福島県の皆さん、原発再稼働してる県民の皆さん、寿都町の皆さん、神恵内村の皆さん、福井県の県民の皆さん、「核のごみ」の廃棄や「原発の再稼働」に反対の声を上げていきませんか!?
参考文献:「原発事故は終わっていない」 小出裕章 著 毎日新聞出版 2021・3・5 発行