[528](投稿)休校のジレンマ

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「一斉休校を」焦る保護者 感染急拡大の札幌 ひとり親世帯「授業続けて」

新型コロナウイルスの感染急拡大で、子どもの感染を恐れる札幌の保護者から、学校や幼稚園の一斉休校を求める声が札幌市に相次いでいる。市は共働き家庭などへの混乱を避けるため、感染対策を取った上で一斉休校は見送る方針。一方、道内で学級閉鎖などが急増する中、小学6年と中学3年が対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)は27日に予定通り行われる。関係者は「部活動や運動会は休止や延期になったのにおかしい」と反発している。▼ 札幌市東区のパート女性(39)は、次女が通う幼稚園でコロナ感染が確認され、次女は濃厚接触者となった。小学2年の長女と共に自宅で休んでおり、女性は「感染者は急増しており、一斉休校を」と訴える。▼ 「安心できない」「昨年は休校した」。札幌市には、国のまん延防止等重点措置が始まった9日から20日の間、休校を求める声が200件近く寄せられた。▼ 道が独自の緊急事態宣言を出した昨年2月には、全市町村で一斉休校となった。札幌は共働きやひとり親の家庭が多く、再び一斉休校すれば仕事を休まざるを得ない親が増える。3人の子を持つ手稲区のパート女性(33)も「仕事は休みづらく、できれば休校は避けてほしい」と明かす。

■在宅学習に課題 
「一斉に教育機会をなくすことは避けたい」。秋元克広市長は13日の記者会見で理解を求めた。児童生徒が感染または濃厚接触していなくても、同居者が濃厚接触者となれば出席停止とし、感染拡大時は速やかに学級閉鎖する考えを示した。▼ 一斉休校を見送る背景には、在宅で学べるオンライン授業の整備の遅れもある。市は全児童・生徒分のタブレットを購入済みだが、通信環境の整備が十分に進んでいない。オンライン化しても「低学年は保護者の付き添いが必要」(市教委)で課題は多い。

■学テ実施に異論 
道内の人口上位12市で、コロナ感染を理由に学級・学年閉鎖や休校した小中学校は4月の30校に対し、5月は20日時点で81校に上る。こうした中、全国学力テストを実施することに不満がくすぶる。▼ 札幌の中学3年の担任教諭は「昨年はコロナの影響で中止になったが支障は出なかった。感染状況がより悪化している今、強行する理由は見当たらない」と憤る。学校は部活動を休止し、5月の修学旅行は8月に延期となった。「変異株が拡大し、いつ校内で感染者が出てもおかしくない。感染対策と生徒たちのケアに注力するべきだ」とする。▼ 今年の全国学力テストは国語、算数・数学の2教科と学習意欲や生活実態などの調査を行う。萩生田光一文部科学相は11日の会見で実施理由を「コロナ禍の学力・学習状況を把握する重要性に鑑みた」と述べた。▼ 文科省は調査日について、学級閉鎖などがあれば約1カ月延長できるようにした。道教委によると、既に延期を決めた小中学校が複数あるが、大半は27日に実施するとみられる。▼ 福岡教育大の川口俊明准教授(教育社会学)は「学習内容が定着しているかは通常のテストで確認できる。感染拡大する中、無理して全国一斉の調査を行う必要はない」と指摘している。
(高田かすみ、斉藤千絵、水野富仁)(2021・5・23 北海道新聞デジタルより)

※※※ 渋沢栄三のコメント:
 新型コロナ感染症は、様々な分野で世の中の人びとを混乱・対立する意見の渦に陥(おとしい)れています。感染を恐れる親は休校を希望し、ひとり親世帯は働かざるを得ないため登校を願っています。この対立は感染拡大が著しい地域(都道府県)で際立っています。これは当然のことだと思います。
 しかし、この混乱の中で萩生田光一文部科学相は11日の会見で実施理由を「コロナ禍の学力・学習状況を把握する重要性に鑑みた」と述べ、全国学力テストを実施する意向を示しています。これに対して、コロナ感染を理由に学級・学年閉鎖や休校した小中学校が5月20日時点で81校に上る中で、全国学力テストを実施することに不満がでました。そのため、「文科省は調査日について、学級閉鎖などがあれば約1カ月延長できるように」しました。
 既に延期を決めた小中学校は、大半は27日に実施するとみられています。これに対しても異論が出ています。「福岡教育大の川口俊明准教授(教育社会学)は『学習内容が定着しているかは通常のテストで確認できる。感染拡大する中、無理して全国一斉の調査を行う必要はない』と」指摘しています。昨今は、文科省によって「教育の水準の確認や引き上げと試験の内容の変更」が頻繁に行われ、学ぶ生徒の負担を増やしているだけではないかと心配になります。英語の検定試験、ヒアリングテスト、漢字の読み書きや道徳の内容に「右傾化した愛国心」を植え付けるような内容を無理やり押し込んだ内容の教科書でなければ教科書検定が通らないなどの問題も持ち上がりました。最近は、俄(にわ)か作りのデジタル庁の人材育成に拍車をかけるという負荷も強いています。
★「デジタル」庁は作ったものの、ワクチンの接種予約でデジタルも電話もつながらないため、これを指揮している菅首相の感染対策の目玉である「ワクチン接種」推進が「大混乱・大騒動」を引き起こしています。首相の支持率が30%を割りかねないところまで来てしまっています。
★首相の支持率などどうでもいいのですが、ワクチンを求める高齢者には、デジタル方式などほとんど無用の長物だということも、昨年の「持続化給付金」騒動で分かりそうなものですが、各自治体の多くは今回のワクチン接種でも「失敗」してしまいました。        

★罷免された前川文科省次官がボランティアで高校生などを教えていて気付いたことは、無償化された高校に入学しても数学(さんすう)の基礎が分かっていないことが大きな原因で「数学」についていけず、途中で高校を辞めてしまう生徒が多いことでした。そのため、算数から再度始めるという「高校の教科書」を使い、算数の掛け算や割り算が分かったうえで高校の数学を教えると高校を辞める生徒が少なくなることを見出しました。
★このことを敷衍(ふえん)すると、他の教科でも再度易しいところから学び直し、自ら伸びていく喜びを得ていく教育が根底に必要ではないかということです。高度な数学や英語のヒアリングなどを入れて、難関大学に入るには、「名門予備校」に入るだけの資金を持つ家庭の生徒だけだと昔から言われています。それはそれで自らの人生の境遇と努力のたまものなのかもしれませんが、基本の基を学ぶ機会を与えられることで、思春期・青年期の勉強や学問や読書や映画・音楽・絵画鑑賞等の面白さも幅広く、また深く知るチャンスに恵まれるのではないかと前川氏に教えられました。親も子も、このコロナ禍で苦境に陥っている人たちが多い時代には、「学力テスト」だけでは測れない生徒の力を引き出す前川氏のような人物がなおのこと必要不可欠ではないかと思います。何事もあせらず、「急がば回れ」ですね!!(前川元文部次官のボランティア活動のことは最近の北海道新聞から知りました)。

★★★「共働きやひとり親の家庭が多く、再び一斉休校すれば仕事を休まざるを得ない親が増え」ていることも難題・大問題です。早急に、政府・各都道府県は、資金援助を手厚くし、「子ども食堂」を増やしたりして対応するしかないと思います。休校になっている多くの大学生諸氏も前川氏のようなボランティア活動を「子ども食堂」などで行い、自らの人生の幅を広げてみてはいかがでしょうか!!