[543](寄稿)コロナワクチンの予診票には明記されていないけれども事前に確認しておくべき大切なことは

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ペンギンドクターより

その2
 
 オリンピックの開催の是非ですが、私自身は卑怯と言われるかもしれませんが、「オリンピックなんてどうでもいい」と考えています。つまり、菅政権が「やる気ならやればいい」という気持です。結局、「日本は貧乏くじを引いてしまった」という思いです。

 もうずい分前のことですが、「オリンピックを東京に」ということで政府および東京都が運動していたころ、マンションからすぐそこの代々木駅への道路に埼京線湘南新宿ラインの踏切がありました。そこに「オリンピックよりこの開かずの踏切を何とかしろ」という立て看板がありました。まったく同感でした。下りが行ったと思ったら今度は上りです。仕方なく、遠回りして反対側に出てマンションに辿りつくこともありました。私も「東京オリンピックなんて要らない」といつもその踏切を渡る時、思っていました。ところが、あのそれなりに尊敬する「佐藤優」も東京オリンピックが決った時、これで2020年までは世界および日本の経済はまずは安定だろうというような言動があり、違和感をおぼえました。スポーツは本来自分がやるためのものです。今の私はウオーキングぐらいですが、身体を動かすのは嫌いではありません。ゴルフの松山や水泳の池江選手の活躍を良かったと思う気持ちは十分あります。でも元々オリンピックを見に行く気はもちろんありません。

 尾身茂氏と菅総理の確執が取りざたされています。尾身さんもご苦労さんです。粛々と持論を述べればいいことです。決定は菅総理がするのですから。尾身さんを気に入らなければ、首にするぐらい総理の権限ならたやすいことだし、尾身さんももう十分働いたから切り上げ時かもしれません。

 ということで、今の私は粛々と日常業務に励んでいます。ワクチンを打ち終わっても、遠出はしません。

 昨日は風雨が強く、今年2回目の歩数目標未達でした。仕事の終わった午後、未練たらしく暗い空を何度も見上げていました・・・・・・。


 以下のお馴染みの和田医師の文章は、われわれコロナワクチンを打つ側の医師に大変参考になる意見です。

 水曜日私がパート医をしているクリニックも週3回(月)(火)(木)にそれぞれ一日6名のファイザー製ワクチンの接種をすることになりました。私は幸いパート医なので外してくれたのでしょう。自ら注射するわけではありませんが、その接種の予約の初日が6月2日(水)でした。9時前にいつものように駅から2.6キロを歩いてクリニックに到着したら、車と自転車が駐車場に溢れていて、びっくりしました。広くもない待合室に20名余り、みなマスクはしていますが、老人が溢れていました。今日は予約だけですが、一応当日の予定をあらかじめ周知させておく必要があるので、私からも少し話しておくことになっていました。そこで私は、待合室に出て、大きな声で全員を相手に話すことにしました。何しろ老人ですから耳が遠い。

 「皆さん、今日は予約だけですが、簡単にコロナワクチンについてお話します。私はもう2回打ち終わりました。副反応は老人の場合、若い人と比べればほとんどありません。でも、インフルエンザと違って打った肩のところの痛みが結構ひどい。私は女房に「赤くなって腫れていないか」と心配になって見てもらったぐらいでした。それに持病がある人だからワクチンを打った方がいいのです。年寄りや持病のある人は本物のコロナにかかると死ぬことが結構ある。だから死なないためにワクチンを打つ、持病があるからワクチンを打つ・・・・・・。皆さん、こんなに密集していると本物のコロナになってしまう。予約したらサッサと帰りましょう。まだ個人的に質問したい人は聞きに来てください。······」

 私の演説のおかげで、ナースが心配していた時間の半分足らずで皆さんの予約が終わったそうです。キャンセルが出た場合のことを考え、別の日の予約の人に代わりに接種できるようにそれぞれの電話番号や予定を詳しく聞いたりして事務とナースは大忙しでした。その日は合計35名の患者さんでいつもより、30名近く多かったようです。一応お話した内容を電子カルテに記載しました。大部分はパターン化した内容を事務に記入してもらいましたが。

 当クリニックでのワクチン接種者はかかりつけの人で、みなお馴染みさんであり、老人です。実際に半日3時間で6人接種ですから、その時、予診票のチェックもします。その予診票の問題点は和田医師の危惧する通りです。極めて頻度は低いのですが、アナフィラキシーの危険があります。日本の予診票のいい加減さはアメリカのそれと比較するとよくわかります。PEG(ポリエチレングリコール)は化粧品の一部に含まれるとかで、若い女性にアナフィラキシーが多いのはそのせいだと医師のネットワークで話題になっていました。真偽について、私には確信がありません。

 以下の転送する文章が間接的に少しでも皆様のお役に立てば幸いです。わかりにくいでしょうが。

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コロナワクチンの予診票には明記されていないけれども事前に確認しておくべき大切なことは


わだ内科クリニック

和田眞紀夫


2021年6月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp

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令和3年5月21日付けの厚労省健康局健康課予防接種室からの通達が巡り巡って当院にも届いた。コロナワクチンの予診票の質問で、かかりつけ医師の確認が「いいえ」となっていても予診医の判断で接種してよいことになっていること、接種希望者の基礎疾患や服薬状況は接種の判断や接種後の処置に影響する状況は限られているので・・(中略)・・・すべてを明らかにする必要はないことを改めて周知してきた。そして、「新型コロナワクチン予診票の確認のポイント(Ver2.1)」(以下)を参照するようにと指示された。

https://www.mhlw.go.jp/content/000786185.pdf ( ver.2.1 5月28日版 )

必ずしも必要のないことがなぜ予診票に書かれているのか、この通達に違和感を覚えた。

現在使われているコロナワクチンの予診票は型通りに作られたもののようで、本当に聞かなければいけない大事な質問事項が記載事項として抜けている一方で、ワクチン接種の可否判定とは直接関係ないような項目に紙面が割かれていて、判断材料となる予診票をかえって判定困難なものにしている。


比較のためにまず初めにアメリカCDCが作ったコロナワクチン接種に当たってのチェックリストをご紹介する。一言でいうと非常に合理的であり、聞かなくてはいけない重要な項目は非常に細かくしかも具体的に確かめられている一方で、ワクチン接種とは直接の関係のない質問は省いてあってとてもシンプルな印象だ。

https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/downloads/pre-vaccination-screening-form.pdf

紙面の関係で以下には内容を確認できる程度に要約して列挙していく。

1.今具合は悪くないですか。

2.コロナワクチンを接種したことがありますか。

ファイザー、□モデルナ、・・・・

3.コロナワクチンの含まれるポリエチレングリコールに対するアレルギーはありますか。

大腸カメラ前に使われる下剤などの成分です。

類似成分のポリソルベイトに対するアレルギーはありますか。

これはほかのワクチンや、錠剤の表面コート、静注用のステロイド剤に含まれる成分です。

4.コロナ以外のワクチンや注射剤に対するアレルギーはありますか。

5.以下のどれかに該当しますか。

□18歳~49歳の女性ですか。

□ワクチンや薬以外のものに対する強いアレルギーは

□コロナの治療で抗体や血清を使ったことは

□コロナ罹患後にMIS症候群の診断を受けた

エイズやがんなどで免疫が落ちている

免疫抑制剤を使っている

□出血傾向がある

□抗凝固剤を飲んでいる

□ヘパリンによる血小板減少の既往がある

□妊娠中・授乳中ですか

□皮膚補填剤を使っている


この問診内容で注目すべきはポリエチレングリコールやその関連物質に対するアレルギー歴、それ以外のワクチンや薬に対するアレルギー歴を具体的かつ詳細に問いただしていることである。それ以外では当日の体調のほか、コロナワクチン接種歴、コロナの罹患歴や治療歴、免疫不全、出血傾向、妊娠・出産の有無などコロナワクチン接種の影響が懸念される事項について質問している。逆に意外なことはコロナ以外の病歴や服薬歴などは原則的には質問されておらず、食品アレルギーについても質問の項目がない。細かいことだが発熱の有無も聞いておらず、性別も聞いていない。

それでは現行の日本の予診票はどうなっているだろうか。質問事項として記載されているものを見ると、アメリカのチェックリストと共通するのは、当日の体調、コロナワクチンの接種歴、ほかのワクチンのアレルギー歴、ほかの薬品に対するアレルギー歴、出血傾向を示す薬の服用例、妊娠・授乳の有無である。つまり、アメリカのチェックリストで最も懸念されているポリエチレングリコールおよび関連成分へのアレルギー歴、コロナの罹患歴や治療歴、免疫不全、などに関しては具体的な質問としては記載されていない。

逆に日本の予診票にだけ記載されている項目は以下の5点である。

[新型コロナワクチンの説明書]を読んで効果や副反応について理解しましたか。

現在、何らかの病気にかかって、治療(投薬など)を受けていますか。

最近、1か月以内に熱が出たり、病気にかかったことがありますか。

けいれん(ひきつけ)を起こしたことがありますか。

薬や食品などで、重いアレルギー症状を起こしたことがありますか。

2週間以内の予防接種をうけましたか。

説明書の理解に「はい」と答え、そのあとの質問にすべて「いいえ」と答えてあれば、敢えてポリエチレングリコールのことも、免疫不全の有無も、コロナの罹患歴や治療歴もないものとみなして敢えて積極的には聞かないわけである。実は事前に配布されている[新型コロナワクチンの説明書]の中では、ワクチンを受けられない方として発熱、重篤な急性疾患とならんで、コロナワクチンの接種液に含まれている成分に対してアナフィラキシー(中省略)を疑わせる複数の症状を起こしたことがある方(後略)と書いてあり、事前によく相談しなくてはならない方としても出血傾向、肝臓、腎臓、心臓、血液疾患などの基礎疾患がある方、コロナワクチンに成分に対してアレルギーを起こす可能性のある方などと記載されている。しかし、ポリエチレングリコールという具体的な成分までは明らかにしていないし、それが含まれている製剤の説明もない。不親切でわかりにくいこと甚だしい。また、「説明書は理解したか」とは聞いてはいるが、「ワクチンを受けられない方」に該当する点があったかどうかは聞いていない。

高血圧などの治療を受けていても「説明書を理解しましたか」と聞かれれば「はい」と答えるし、説明書では「事前に相談しなければならない」と書かれていても、多くの人は自分からは敢えて相談はしないだろう。地上波テレビに出演していた感染症専門医は慣れた医師なら予診票のチェックは10秒で終わると豪語していたが、すべて「はい」(前半)「いいえ」(後半)と書いてあればそれ以上のチェックはやりようがないということだ。やはり、アナフィラキシーショックの頻度が比較的高いことが懸念されているコロナワクチンでははっきり予診票に具体的に明記して、危険を回避する対応を取るべきなのではないだろうか。

また、被接種者がたとえいろいろな病気を抱えていたとしても、あるいは食品のアレルギーやけいれん歴があったとしても、日本の質問に書かれている多くのことはそのことですぐに接種を断念させる根拠にはならない。であれば接種の可否を問う質問表にこの項目があっても、あるいは高血圧などの慢性疾患があることをその場で相談されたとしても、判定を依頼された医師にしてみれば如何ともしがたい。予診票自体に重要なポリエチレングリコールの記載が全くなくて、このような如何ともしがたい既往歴の質問が書かれていることはいかにもバランスが悪い。

十分注意をして接種する必要があるというのならば、それは集団接種会場では難しい。考えられる対策としては、リスクのある人を3段階ぐらいのグループに分けして、最もリスクの高いグループは救急処置がすぐに行える総合病院で接種するようなシステムを構築するべきである。繰り返すが集団接種会場で「十分注意して接種するように」と要請されても口で言うのは簡単だがそれに対応してできることは限られている。

予診票の改定までは今更できないが、国は事前に予診票の判定基準を国民の前にきちんと公表・説明して、接種会場に来る前に自己チェックできる体制を整えるべきである。ちなみにアメリカで用いられているチェックシートには被接種者のサインも、医師のサインも求められていない。チェックを行った係官の名前と日付を記載して記録を残すだけである。集団接種会場における律速段階となっている予診票のチェックと医師のサインは修正・簡略化できるのではないだろうか。

(参考)

「新型コロナワクチン予診票の確認のポイント(Ver2.1) 5月28日版」より抜粋

https://www.mhlw.go.jp/content/000786185.pdf

ファイザー社のワクチンと武田/モデルナ社のワクチンに含まれるポリエチレングリコールや、交差反応性が懸念されているポリソルベートを含む医薬品については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで検索することが できます。また、ポリエチレングリコールは、大腸の検査をする時に用いる腸管洗浄剤、医薬品・医薬品添加物、ヘア ケア製品、スキンケア製品、洗剤など、さまざまな用途に使用されています。

ポリエチレングリコールと交差反応性をもつと言われているポリソルベートを含むワクチンは、沈降 13 価肺炎球菌 結合型ワクチン(プレベナー13)、インフルエンザ HA ワクチン「第一三共」、組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様 粒子ワクチン(ガーダシル)、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(エンセバック)、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン (ロタテック)、不活化ポリオワクチン(イモバックス)等です。

*本稿の投稿(5月27日)後、5月28日付けで厚労省が予診票の様式を変更しました(かかりつけ医の許可の欄を削除)。

通達文章:

「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言わ れましたか」の設問があることにより、事前に医師への問い合わせが必須で あるとの誤解を生じている例があること等を踏まえ、円滑な接種に資するよ う、今般、当該設問を削除した予診票をお示しすることとしました。


新しい予診票:

https://www.mhlw.go.jp/content/000739379.pdf

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