[552](寄稿)ワクチン接種で日本は二等国、三等国に墜ちた

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ペンギンドクターより
その1

皆様

 暑くなってきました。皆様いかがお暮しでしょうか。コロナワクチン接種の一回目はすみましたか。今日は5月に経験した「心房細動」の男性のケースを中心とした医療あれこれ(その58)を添付ファイルとします。

 新型コロナウイルスワクチン接種も徐々に進行しているようです。しかし、オリンピックを開催する国でありながら、ワクチン接種の遅れは、日本の危機管理の脆弱性を世界に知らせる結果となっています。

 2021年6月7日配信のメディカルトリビューンのニュースを紹介します。


●ワクチン接種本格化から半年 累計20億回超、格差広がる

 英国オックスフォード大学研究者らのデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」の集計によると、2日時点で世界全体の接種回数は累計20億回を超えた。

 少なくとも1回の接種を受けた人の割合は、主な国別に、イスラエル(63%)、カナダ(58.97%)、英国(58.31%)、米国(50.45%)など、日本は8.67%で、経済協力機構(OECD)加盟38カ国の中で最も低い。

 地域別では北米が37.62%、欧州は32.36%だが、アフリカは1.87%にとどまる。

 世界保健機構(WHO)は、3日、アフリカ全体の感染者数が増加傾向にあるとして、接種が進んでいる国に対し、「ワクチンを供与し、アフリカの最も弱い人びとが重症になるのを防いでほしい」と呼びかけた。

 当初抑え込みに成功していた台湾は、変異株の流行で5月中旬以降に感染が拡大した。しかし「中国の介入」(蔡英文総統)などでワクチン調達が難航し、接種率は2.36%と苦戦。外出自粛要請などの措置を余儀なくされた。


 台湾へのアストラゼネカワクチンの無償贈与を行なった日本に対しては、台湾も感謝しているようですが、実際は現地では、いろいろ複雑な状況のようです。日本の現状では他国にワクチンを進呈する状況ではないと思うのですが、中国寄りの二階自民党幹事長に対し、台湾寄りの安倍前総理の暗躍など、相も変わらず危機感のない日本人同士の角逐が取り沙汰されています。

 私が最も日本がダメ、ここまで落ちたかと思うのは、ワクチン接種の騒動です。日本自身のワクチン開発が遅れているのは仕方ない、ワクチンを調達するのが容易でないことも仕方ない、しかし、なぜワクチン接種で混乱が起こるのか、まったく理解できません。時間は十分あったはずです。すなわち、ワクチン調達が遅れているから、それまで時間があったはずだということです。「政府」、といっても「厚労省」ということになりますが、日本医師会日本看護協会日本歯科医師会日本薬剤師会などを集め、さらには日本病院会などの病院の団体も加えて、接種協力・接種命令を出せばいいだけだと思うのです。

 感染の危険があったPCR検査の普及と異なり、ワクチン接種には危険はまったくありません。要するにインフルエンザとほぼ同様(皮下注と筋注の違いはあるが)に注射すればいいだけですから。私は大規模接種よりもインフルエンザと同じように、開業医が中心になってやれば一番良かったと思います。副反応などの有害事象の責任はすべて「国が負う」と菅総理が大見えをきればいいだけのことです。患者さんが減少して困っている開業医は、しかるべき費用で喜んで接種するでしょう。

 なかでも主役は厚労省日本医師会日本看護協会です。多分、厚労省はまったくやる気がなかったのでしょう。菅総理周辺の人々では、そのへんの状況に頭の回る人がゼロということでしょう。

 私は日本は本当に二等国・三等国に落ちたと思います。録画してテレビ東京の「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」を女房と二人毎週夕食時に見ていますが、取りあげられる企業(身近な食品やニッチな中企業が多い)はなかなかよくやっています。でも大企業の活躍はあまり見られません。「モノづくり日本」も三菱重工の旅客機の失敗など、さらには電気自動車・風力発電などで後れを取っているようで、私が云々するのは不遜ですが、展望は望めません。「民度の高い」はずの日本で、せめてワクチン接種ぐらい、スムースにできないのか、と嘆かわしく思います。

 日本医師会都道府県医師会(私がその役員でした)、各郡市医師会という三層構造は、それなりに国や都道府県、郡市の衛生行政の中核だったはずです。ただ、私が1998年から6年間役員を務めている間、私は何もしていない開業医の集まりだった県医師会の中で次々とやるべきことをやったことは今振り返っても獅子奮迅の活躍だったなと思います。古い昔の自慢話になるので、今のような危機的状況で話すことではありません。とにかく今はワクチン接種を粛々と広げていくことだろうと思います。

 では、今日はこのへんで。