[557](投稿)核のごみどこへ

f:id:new-corona-kiki:20210622053820j:plain
<核のごみどこへ 国策の果て>3 貯蔵 地方にごり押し

 2月24日、東京都内の経済産業省別館2階の会議室。関西電力の森本孝社長は経産省資源エネルギー庁の保坂伸長官と向き合い、こう宣言した。「2023年末を最終期限に不退転の覚悟で取り組みます」

■再稼働の条件  森本社長が確約したのは、関電が福井県内に設置した美浜、高浜、大飯の3原発11基(うち4基は廃炉決定で運転終了)で保管する使用済み核燃料の貯蔵先を県外に確保すること。県がこれを美浜、高浜計3基の再稼働の条件としたためで、保坂長官も「しっかり取り組んで」と応じた。▼ 2人の念頭にあるのは、青森県むつ市で本年度中にも操業を始める使用済み核燃料の中間貯蔵施設だ。▼ この施設は東京電力日本原子力発電が自社の使用済み燃料を一時保管するために共同出資で建設した。そこに大手電力10社でつくる電気事業連合会電事連)が昨年12月、関電を含む業界全体で共同利用する案を表明。県外搬出を迫られる関電の救済が狙いで、電事連幹部は同月、エネ庁幹部とともにむつ市に宮下宗一郎市長を訪ね、受け入れ検討を要望した。▼ だが、18年にも同様の計画を拒否したばかりの宮下市長は度重なる一方的な申し入れに「むつ市は核のごみ捨て場ではない。全国の燃料を引き受ける必然性はない」と猛反発した。

■5年で満杯も  混乱の背景には、使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働が見通せず、燃料の行き場がないのに、原発再稼働を推し進める国と電力業界の矛盾した方針がある。各電力会社が各地の原発で保管する核燃料は収容能力の76%に上る1万6千トン(21年3月末時点)に達し、関電はその中でも余力に乏しく、福井県内の3原発はあと5~9年で満杯になる。▼ このため、むつ市が反発しても国や業界としては簡単には引けず、電事連の池辺和弘会長(九州電力社長)は「ご理解いただけるまで説明する」と強調する。関電の森本社長も2月、福井県の杉本達治知事を訪ね、むつ市を「選択肢」として23年末までに搬出先を決めると改めて約束した。▼ 福井県もかつて、小浜市などで中間貯蔵施設を誘致する動きがあったが、栗田幸雄知事時代の1990年代から一貫して「原発立地自治体だけでなく電力消費地も含め広く痛みを分かち合うべきだ」と県外搬出を基本方針としてきた。原発が立地する高浜町の野瀬豊町長も「だれかがジョーカー(使用済み燃料)を引いてくれなければ、立地自治体が持ち続けることになる」と県の方針を支持する。▼ 県議会最大会派の自民党は「他人のごみはだれも受け入れたくない」(田中敏幸元議長)と問題解決の難しさを認識しつつ、原発再稼働を支持。杉本知事も4月末、関電の説明を評価して再稼働に同意した。

■「埋まる外堀」 むつ市の宮下市長は「国策の重要施設を福井県青森県という地方同士が押しつけ合う構図になってしまっている」と嘆くが、大手電力関係者は「あとはむつ市が『うん』と言うのを待つだけ」とうそぶく。その言葉には原発マネーを投じれば、なし崩し的に解決できるとの本音が透け、青森県内でも「どんどん外堀が埋められている」(県議)との警戒感がくすぶる。▼ 「トイレなきマンション」との批判に目もくれず、核のごみの最終処分場建設という問題を先送りにしたまま原発稼働を進めてきた国策。そのつけの多くは地方が負わされている。(2021・5・30北海道新聞デジタルより)

※※※骨川筋衛門のコメント:

 今年2月24日、関西電力の森本孝社長は経産省資源エネルギー庁の保坂伸長官と向き合い「2023年末を最終期限に不退転の覚悟で取り組みます」と宣言しました。その中身は、「関西電力福井県内に設置した美浜、高浜、大飯の3原発11基(うち4基は廃炉決定で運転終了)で保管する使用済み核燃料の貯蔵先を県外に確保すること」です。そのわけは、「県がこれを美浜、高浜計3基の再稼働の条件としたため」だからです。

 青森県むつ市で本年度中にも操業を始める使用済み核燃料の中間貯蔵施設に、大手電力10社でつくる電気事業連合会電事連)が昨年12月、関電を含む業界全体で共同利用する案を表明しました。東京電力日本原子力発電が自社の使用済み燃料を一時保管するために共同出資で建設した経緯もあり、電事連幹部は同月、エネ庁幹部とともにむつ市に宮下宗一郎市長を訪ね、電事連の核のごみの受け入れ検討を要望しました。しかし、18年にも同様の計画を拒否したばかりの宮下市長は度重なる一方的な申し入れに「むつ市は核のごみ捨て場ではない。全国の燃料を引き受ける必然性はない」と猛反発しました。

 これにもめげず、「原発を抱える各電力会社は引き下がりません。各電力会社が各地の原発で保管する核燃料は収容能力の76%に上る1万6千トン(21年3月末時点)に達し、関電はその中でも余力に乏しく、福井県内の3原発はあと5~9年で満杯になる」ため、焦りを覚えているのです。しかし、原発立地県内に核のごみを置くあるいは埋め立てることは反対するけれど、他県ならかまわないという虫のいいことしか原発立地県の県議たちも考えていません。しかも、受け入れ先が決まらなくても原発の再稼働には賛成しているのです。福島第一原発事故はまるで他人事のようにしか考えていないのです。耐久年数が40年ということで設計されている原発をより危険なMOX燃料で再稼働させる県も、とにかく再稼働をさせて、原発マネーを引き入れたいという思惑しか見えてきません。第二第三の福島第一原発事故がおこることなど、原発を抱える自治体も国も全く想像もしていないとしか言いようがありません。

 ここにも自分の庭には核のごみは置いておけないという、勝手な「自分ファースト」しか見えてきません。だから大手電力関係者は「あとはむつ市が『うん』と言うのを待つだけ」と余裕を見せています。「その言葉には原発マネーを投じれば、なし崩し的に解決できるとの本音が」見えていると記者は言います。しかし、東通村の例があるように、原発マネーは「逃げ水」のように、行けども行けども捕まえられない「幻影」です。一時の繁栄に見えたものが、蜃気楼だと分かるのに時間はそうかからないと思います。原発を稼働させている限り、核のごみは猛スピードで増え続けていきます。しかも、いつ「福島第一原発事故」と同じ轍(てつ)を踏むかもしれず、その放射能の散乱で山河や海洋が汚染され、回復不可能になることは経験済みで、これだけは間違いないものです。言い古されている「トイレのないマンション」というのも真実です!!10万年経ても高レベル放射性物質原発のウンコ)は消えてなくならないのです。

 多くの人と連帯して、原発稼働反対、核のごみの持ち出し反対の声を上げて行きましょう!!