[564](投稿)見えない人形峠ウラン鉱の後始末

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<核のごみどこへ 国策の果て>5 
「10万年」責任先送り
06/01 10:36

 鳥取岡山県境の人形峠にある日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター(岡山県鏡野町)。1950年代、国内初のウラン鉱床の開発を始め、2001年まで国内の原発に燃料として供給する濃縮ウランを生産した。役割を終えて20年、センターはこの4月、ウランを取り扱った施設の廃止作業を始めた。▼ 機構はウラン濃縮工場など約30施設の解体などで生じる低レベル放射性廃棄物1万1千トンを原則、浅い地中に埋設処分する構想で、センターの日野田晋吾主幹(54)は「40年程度で廃止を終えたい」と説明する。

■処分法見えず
 だが、国は処分法などの議論に20年以上を費やし、2018年に具体的な規制基準の検討に入ったばかりだ。ウランは代表的なもので放射線量の半減期が45億年と地球の年齢並みに長く、処分法の確立が難航しているためで、専門家として原発政策を批判してきた元京大原子炉実験所助教小出裕章さん(71)は「ウランの始末の付け方が分からないまま掘削を始めたツケが出る」と指摘する。▼ 人形峠のウラン鉱床は55年、国産核燃料の確保を目指す国の主導で発見され、「宝の山」と注目された。ただ、安価な海外産の輸入が容易となって鉱床開発は87年に終了。掘り出したウランは85トンと、原発1基の1年分の燃料にも満たないのに大量の放射性廃棄物を生み出す結果となった。

■消えた活用先
 廃止作業は国の規制基準ができても順調に進むかは見通せない。厄介なのは濃縮過程で残った2千トン超の劣化ウランだ。空気に触れると猛毒ガスを発生するため鋼鉄容器内で保管中だが、機構は「廃棄物」ではなく、核燃料の原料になる「資源」とし、28年度までに譲渡先を決める計画だ。▼ ただ、海外企業にウラン濃縮を委託する電力大手は劣化ウランを事実上のごみとして引き取っておらず、「簡単に引き受けられない」(関係者)と慎重だ。そもそも活用先と見込んだ高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉で行き場を失ったもので、小出さんは「引き受け手がなければただのごみ」と述べ、原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物並みの厳重な埋設処分が必要になるとみる。▼ 一方、周辺では88年、ウラン採掘で生じた大量の残土の放置が発覚。特に高い放射線量が記録された鳥取県湯梨浜町方面(かたも)地区では住民が撤去を求めて提訴し、06年までに一部は撤去された。だが今も、20カ所に計22万立方メートルの残土が残され、放射線量が規制値を超える場所も少なくない。▼ 機構は覆土して放射線量を下げる計画だが、「どの程度の土をかぶせれば安全か検証中。終了に30年はかかる」と明かす。方面地区の撤去運動に関わった農業近藤明さん(72)は「安全に管理するというが、センターがなくなったら誰が責任を持つのか」と案じる。

■全国で48万トン
 深刻な事故が起きた東京電力福島第1原発の6基を除く国内の原発51基が廃炉となれば、48万トンの低レベル放射性廃棄物が生じ、事業者は浅・中深度の地中に埋めて最長数百年の管理を義務づけられる。このうち比較的放射能レベルが高い8千トンは10万年は地震や火山の影響を受けない地盤への埋設が求められる。 
 「10万年の安全」は高レベル放射性廃棄物の処分でも求められるもの。遠い未来まで後始末の責任を先送りし、原発は動き続ける。
=おわり=(この連載は佐々木馨斗、川崎学、山田一輝、長谷川裕紀が担当しました)(北海道新聞デジタルより)

※※※骨川筋衛門のコメント:鳥取岡山県境の人形峠にある「日本原子力研究開発機構JAEA))」の人形峠環境技術センター(岡山県鏡野町)は、1950年代にウラン鉱床の開発を開始し、2001年まで濃縮ウランを生産し、今年4月にウランを取り扱った施設の廃止作業を始めました。機構はウラン濃縮工場など約30施設の解体などで生じる低レベル放射性廃棄物1万1千トンを原則、浅い地中に埋設処分する構想で、その処分を「40年程度」で廃止させたいと考えているという。しかし、「ウランは代表的なもので放射線量の半減期が45億年と地球の年齢並みに長く、処分法の確立が難航しているため」、専門家として原発政策を批判してきた元京大原子炉実験所助教小出裕章さん(71)は『ウランの始末の付け方が分からないまま掘削を始めたツケが出る』」と指摘しています。人形峠のウランの生産量は原発の1年分の燃料にも足りないくらいで、大量の核のごみを残しただけで、海外の安価なウランに追いやられてしまい、また、「もんじゅ」の廃棄で核燃料サイクルも頓挫し、核のごみ=高レベル放射性廃棄物の廃棄に難渋しています。しかも、ウランの残土が大量に残りこれの始末に困っています。機構としては覆土して=土をかぶせて、放射能の力を弱めるといいますが、最低でも10万年以上は待たなければ放射能の力は薄まりません。その経過と未来をだれが見守るのでしょうか?まただれがそれを見届けることができるのでしょうか?

 全国で48万トンの高レベル放射性廃棄物が生み出されると「覆土」する場所は国内では無理というものです。幌延(ほろのべ)では地面を掘り進む計画を伸ばしに伸ばすことにしましたが、ここで何トンの高レベル放射性廃棄物を埋葬できるのでしょうか?(今は「研究中」だということですが…)

 残された道は、原発の廃止と原発の敷地内での永遠の見守りしか、今のところはないのではないでしょうか?最も心配されることは、第2第3の福島第一原発事故が起こることです。狭い土地に高レベル放射性廃棄物の微細な粒子が飛び散り、地面も海も汚染され、人体にも外部から放射線が浴びせられ、同時に微細な放射性物質の粒子が体内に入り込み、様々な病を引き起こすことです。

 諸原発の即時停止、高レベル放射性廃棄物の廃棄をどうするかは、もっともっと真剣に考え、被害を最小限に食い止めることを、「利益」よりも真っ先に考えなくてはなりません。新型コロナでも危ないオリンピックですが、そのような『お祭り』に浮かれている場合ではないと思います!!皆様はどのようにお考えになられますでしょうか?