[593](投稿)菅首相、「黒い雨」判決上告断念

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黒い雨訴訟、上告を断念 首相表明、救済策早急に
07/26 22:41 更新
 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、一審に続き原告全員に被爆者健康手帳の交付を認めた14日の広島高裁判決に関し、菅義偉首相は26日、上告断念を表明した。内部被ばくを含め広く被爆者認定すべきだとの同判決が確定する。上告期限が28日に迫る中8月の終戦76年を前にした政治決断。首相は原告84人にすぐに手帳交付するとし、同じような立場の被害者の救済に関しても「早急に検討したい」と述べた。高齢化した黒い雨に遭った人たちに救済の道が開けた。▼ 菅首相は官邸での湯崎英彦広島県知事と松井一実広島市長との面会に先立ち、記者団に表明。上告見送りの理由について「多くの方が高齢者で、病気の方もいる。速やかに救済すべきだと考えた」「県、市としっかり連携する」と述べ、法務省厚生労働省に必要な指示を出したと述べた。▼ 黒い雨に関する被爆者認定について政府関係者は要件の明確化を図る考えを示した。運用見直しは広島だけでなく長崎にも影響する可能性があるという。▼ 菅首相は、判決内容に関し「政府として受け入れがたい部分もある」と主張。政府関係者によると、上告断念に伴う首相談話を27日の持ち回り閣議で決定する方針だ。▼ 菅首相は午後5時からの知事と市長との面会では「熟慮に熟慮を重ねた」として被爆者援護法の理念を重んじる考えを伝えた。湯崎氏は面会後の取材に「黒い雨を浴びた方々の痛みを理解してもらい、感謝したい」と述べ、松井氏は「英断だ」と歓迎した。▼ 訴訟では、手帳交付の事務を担う県と市は被告、制度設計した国は訴訟参加の立場。県と市は、住民救済を重んじ昨年7月の一審判決時に控訴を望まず、今回も国に上告断念を求めた。前回は、有識者検討会の設置とセットで国の控訴方針を受け入れた経緯がある。▼ 被爆者援護法は、爆心地周辺にいた人らに手帳を交付している。黒い雨に関しては、降り続いたとされる「特例区域」にいた上で、放射線に起因する病気を発症した人を被爆者と認定している。▼ 今月14日の広島高裁判決は、黒い雨の範囲を特例区域より広く捉えた。また空気中の放射性微粒子を吸い込むことなどによる内部被ばくで健康被害が出る可能性を指摘。病気の発症にかかわらず広く被爆者認定すべきだとの判断を示した。
(2021・7・26北海道新聞デジタルより引用)

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 
 厚労省の田村大臣は高裁の判決に渋っていましたが、菅首相は、26日、上告断念を表明し、内部被ばくを含め広く被爆者認定すべきだとの同判決が確定しました。厚労省の幹部は「これが政治だよ」と、つぶやいたそうです(本当は天を仰いだのかもしれません)。おそらく田村厚労省大臣もそう思っていることでしょう。訴訟に参加していない被爆者にも長崎の被爆者にも朗報だと思います。◆黒い雨は原水爆の放射性微粒子を含み、直接雨粒を飲み込まないにせよ、雨の後、日が照れば乾燥し、放射性微粒子(セシュウムやストロンチウムなどなど)を含んだ塵埃(じんあい)=埃(ほこり)を人々が吸い込んだり、飲み込んだりして身体の内部に入り込み、放射能内部被曝を短期間~長期間浴びることになったでしょう。(このことは北海道新聞にも触れられています)◆このブログにも書かれているように、北海道癌センターの現在は名誉院長の西尾正道氏の上梓した著書に、内部被曝の問題に気付い肥田舜太郎医師の著述が紹介されています。広島県の公務員だった人の妻がお産で実家の島根県に帰っていましたが、広島が壊滅したことを知り、夫を探しに広島に帰り焼け跡を1週間ほど探索した後に急死し、原爆炸裂時たまたま地下室にいた夫は足を骨折したものの助かりました。急性原爆症を発症した松江の夫人を当時診察にあたった肥田医師の記録が、西尾氏の本に紹介されています。(注1)              

菅内閣は支持率低下に歯止めがかりません。菅首相は、広島県で生起した「2019年の参院選をめぐる大型買収事件で、元法相の河井克行(58)と妻の案里元参院議員(47)から現金を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)の疑いで告発」され有罪になった事件のことを鑑みたり、また、自民党幹事長二階氏が出したことを認めた1億5千万円の使途不明金の件やこれからも感染者が増えていくであろうオリ・パラの関係者並びに日本中の急激な感染拡大にも頭を悩ませ、来る秋の総選挙と首相の選挙で頭がいっぱいなので、これ以上裁判に関わっているわけにもいかず、致し方なく「被爆者健康健康手帳」を早期に認めることを選んだと推定されます。ここに至るまで40年以上要しています。これが長崎の被爆者の方々にも早期に適用されることを祈念したいと思います。


注1:西尾正道 著 『被曝インフォデミック 』トリチウム内部被曝――ICRPによるエセ科学の拡散  単行本 – 2021/3/13 (寿郎社 刊) 【注:「インフォデミック」とは、「偽情報の拡散」という意味です。】