[602](寄稿)この国は一体全体どうなっているのだろう

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ペンギンドクターより
その1

皆様

 立て続けですが、送信します。新型コロナウイルスの拡大、特にデルタ株の猛威が世界中を覆っていて、優等生中国・台湾・イスラエルなどでも危機感をもって対応をしているようです。日本の感染拡大も専門家が予測したように、当然来るべきものが来ていると言えます。オリンピックそのものが、感染の拡大に関与しているとは断定できないという意見を私は否定しません。無観客ですし、相手がデルタ株ですから、オリンピックを中止していたとしても、感染拡大はあり得たと思います。

 ただし、問題は昨年の2月以来の日本のCOVID‐19に対する対応の拙劣さが、そのまま今も続いているということだと私は考えます。つまり、予定通りの2020年オリンピック開催と中国の習近平主席の来日を「忖度」して、水際作戦が遅れたこと、PCR検査能力の不足を「隠蔽」するためと疑われかねない、厚労省感染症関連学会の共同のCOVID‐19の症状の軽視作戦、安全・安心のオリンピックに見せかけるための実態に反する緊急事態宣言の発動と解除など、さらには折角買い付けたアストラゼネカ製のワクチンを、安倍前首相の肝いりとやらで台湾に無償供与して、挙句の果ては、ワクチン供給の不足や遅延が起こり、今またお粗末なことに、40歳以上にはアストラゼネカ製を使おうという話も出てきている・・・・・・。

 この国はいったい全体どうなっているのか、全国の鉄道を99.9%乗車して、こよなく日本の自然を愛している私としては、日本の政府は、「美しい日本」「美しい鉄道の車窓風景」を破壊しようとしているとしか思えません。日本百名山・日本百名城・日本の秘湯を守る会の宿・日本の国宝建築物を巡っていた私は、観光地の疲弊を知りつつ、今テレビでイライラしながら旅を追体験するだけの日々です。


 日本の選手たちの日頃の努力の賜物であるオリンピックでの快進撃を喜ばないわけではありません。実際にテレビで活躍を見ているわけではなく、結果をテレビニュースで知るだけですが、「ヒトというのは凄いものだ。空中でクルクル回って鳥みたいだ。水泳というより、あの速さは魚類に近いな」などと感心しています。


 今日は前回も転送した大西医師のアメリカのワクチンについての報告を送りますが、アメリカのワクチン接種については以下のような報告もあります。

●接種拒否の153人退職 米ヒューストンの病院

  2021年6月23日 記事:共同通信社 
提供:共同通信社 

                

              M3にて配信

 【ダラスAP=共同】米南部テキサス州ヒューストンを拠点とする病院グループ「ヒューストン・メソジスト」で22日までに、新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否した職員153人が退職した。同グループの広報担当者が明らかにした。

 職員らは、接種要求に反発して病院側を提訴していたが、裁判所は今月初めに訴えを棄却。153人の一部は22日までの猶予期間中に辞職し、残りの一部は同日付で解雇された。

 米国でワクチン接種を巡って勤労者の大量処分が明るみに出たのは初めてとみられている。



 いかがですか。ちょっと古いニュースですが、気になっていて印刷しておいたので、ここで取り上げました。アメリカでは共和党支持者(いわゆるトランプ支持の強い人びと)にワクチン忌避が強く、州別、支持政党別でワクチン接種率が分かれているようです。州によっては接種率を上げるために接種者対象に一億円が当たる「くじ」まであるようです。

 私の義理の従兄で88歳で死亡したアメリカ在住の医師も、生前私に「ワクチン」は打たないと広言していました。彼は、優秀な内科医でしたが、パーキンソン症候群になっても薬剤を使わないようにしていました。ただし大腸がんの手術は受けましたし、心筋梗塞の後、冠動脈のステントは留置していましたから、生きていれば、新型コロナのワクチンは受けたかもしれませんが・・・・・・。

 医療従事者は職業上やはりワクチンは接種した方が穏当でしょう。クリニック関連の施設のナースで一人、原因不明のアナフィラキシーショックの経験者がいて、彼女はワクチンを接種していませんが、その人以外に私のまわりの医療従事者でワクチン未接種の人を私は知りません。

 日本で上記のアメリカの病院チェーンの職員解雇のような状況は起こりうるかどうか、私には予測がつきません。


 もう一つ言いたいことがあります。ファイザーとモデルナのワクチンはmRNAワクチンですが、このワクチンの開発の功労者にカリコー・カタリン博士がいます。ハンガリー人の女性です。先日、といっても6月ですが、山中伸弥さんとNHKで対談していたのを録画してみました。皆様の中にもご覧になった人がいると思います。

 カリコー・カタリン博士は1955年生まれの66歳。ハンガリーに生まれ、優秀なRNA研究者でしたが、ハンガリーの研究所が資金不足から消滅したので、1985年に一人娘と旦那と離れ、一人アメリカの大学に移りました。私は大変興味深く山中さんとカリコー博士の対談を聞きました。彼女は近いうちにノーベル賞を受賞する可能性があると思います。彼女の一人娘がボートでオリンピック金メダルを取ったとかで、以前はその有名人アスリートの母という紹介だったが、これからはワクチン開発のカリコーと言われると嬉しそうに話していました。DNA研究は以前から花形としてもてはやされていましたが、RNAの研究は日陰者だったようです。彼女の研究が花開いて良かったですね、と心からの拍手を送りたいと思いながら、見ていました。

 私たち夫婦が西ドイツで親しかったハンガリー人のがん研究者にギュラ・コバッチという今生きていれば84歳の人がいますが、彼も苦難の道を歩んだ人です。ハンガリーと聞くと彼を思い出します。でもしぶとい男で、研究に日本のがんセンターに一年来ていた時は、私の家にも恋人(私たちが西ドイツのフライブルクの研究所にいた時のドイツ人の事務員と仲良くなった)を連れて遊びに来ました。


 脱線しました。

 一年前に私が読んだ感染症や免疫学の先生たちの本には、どれにもワクチンは通常実用化に10年はかかり、どんなに急いでも2年以上は必要だと書かれていました。それがこんなに早く接種されているというのは、驚きです。人間の能力の高さを改めて知りました。もちろん、今後ワクチンによる有害事象が現われてくる可能性はありますが、それにしてもまずは世界中でワクチン接種が進んでいるのは驚異的だと思います。

 朝日新聞だったか、ネット情報だったか、日本がワクチン接種が遅くなったのは、野党のワクチン懐疑論も原因の一つとありました。確かに、ある時期までは野党やリベラル系のマスコミは、副作用の点からワクチン否定論者でしたが、いつの間にか、ワクチン接種を急げ急げという論調に変わってしまいました。 

 それも仕方ないことでしょう。新型コロナウイルスSARSCoV‐2)がめまぐるしく変異するように、人類の対応も変化せざるを得ません。日々のCOVID‐19情報には目が離せません。上京はできませんが、駅ビルの書店で、週に一度は、本をチェックしています。また面白い本があれば、紹介します。

 では、今日はこのへんで。そうそう、NHKは総合(今はオリンピック一色)にもBSにもいい番組が多く、番組スタッフや記者の人には頑張ってほしいと応援しています。受信料は倍でも払いますと言いたいぐらいです。

つづく