[647](投稿)エネルギーコスト計算

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コスト計算
07/19 05:00(北海道新聞デジタル「卓上四季」より)

定価20銭で月に5千部発行し、5百円の損が出るとする。1万部なら収支が合い、1万5千部ならもうかると考えるなら危険千万―。講談社の創業者野間清治が昭和初期、雑誌発行についてそう書いた▼発行部数を増やすには原稿の質を上げなければならないので、原稿料がかさむ。人手もページも広告も増やす必要が出てくる。「こういう事は十分に考えてかからねばならぬ」(野間著「栄えゆく道」)とコスト計算の大事さを訴えた▼原発のコスト面の優位性を訴え続けてきたエネルギー政策の担当者には、耳の痛い話かもしれない。経済産業省の試算で、2030年時点の「最も安い電源」が原発から太陽光に取って代わるという▼福島事故を踏まえた安全対策費などがかさんだことが原因のようだ。専門家の間には、再生エネルギーにも施設整備などで多額の費用がかかるとの見方もある。だが、米投資銀行の昨年の試算によると、原発のコストが太陽光の3~5倍と、歴然とした差がついている▼さらに、原発の新増設や原子炉小型化などの技術革新を進めても時間がかかりすぎ、急速に進む気候変動への対策としては効果が薄いという主張も勢いを増している。世界の潮流を見ても、原発にあまり分はない▼政府はこの夏、電源構成の目標を示すエネルギー基本計画を見直す。野間の戒め通り「十分に考えて」方向性を定めるべきだろう。2021・7・19



※※※ 夏目僧子規のコメント:菅政府は今秋の総裁選挙で勝てるか?また総選挙で自民党がどこまで議席を保持できるかということと同じく、原発を併用しながら代替エネルギーでどこまで脱炭素化を図れるか?はなはだ疑問です。「卓上四季」の筆者は「米投資銀行の昨年の試算によると、原発のコストが太陽光の3~5倍と、歴然とした差がついている◆さらに、原発の新増設や原子炉小型化などの技術革新を進めても時間がかかりすぎ、急速に進む気候変動への対策としては効果が薄いという主張も勢いを増している。世界の潮流を見ても、原発にあまり分はない」と的を得た発言をしています。

 原発から出る「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」の管理費用は計算されていません。もちろん、原発の燃料であるウランの採掘や精製や運搬にかかる費用なども恣意的に除外されていると思います。◆太陽光・風力・水素などの利用や水素エネルギーなどの代替エネルギーに要する費用計算は原発を凌ぐのかということも全く示されないままに、原発代替エネルギーとして使われようとしています。しかし、現在は原発代替エネルギーとしてのイメージだけが先行しているだけで、実際には、現在のコスト計算では後者は必ずしも優位ではないようです。◆しからば、今、私たちは何をすべきかとしばらく立ち止まり、考えてみようではありませんか。原発だけは利用しない方が良いと思います。後始末に莫大なコストが必要になるからです。都市化が進んだところに鉄筋コンクリートなどの高層ビルとアスファルトでできた道路などができ、それらが太陽の熱を吸収し、保温器の役割をしていると思いませんか。◆私は環境原理主義者ではありませんが、とりあえず空き地や山に草木を植え、町場では太陽光を遮る庇(ひさし)の長い木の家に住まい、打ち水をし、庭にも水を撒くことから始めませんか?借家でも、下町では素焼きの鉢に朝顔を植えたりして、水を与えて育てると、草木や素焼きの鉢から水が蒸発するときに熱を奪い、気温を下げてくれるでしょう。暖簾(のれん)や簾(すだれ)が太陽光を遮断してくれるでしょう。これらを用いる人が増えれば、多少とも涼やかなそよ風があなたにそっとささやいてくれるような気がします。