[717]広がる”中国化“(その1)

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NHKスペシャル

中国新世紀ー一帯一路

 11月21日のNHKスペシャル「広がる“中国化”一帯一路の光と影」をみました。中国の資本家と、中国共産党・政府の貪欲さにあらためて驚くとともに、現代中国はマルクス主義とは無縁の社会に変質したと思いました。
 
 かつて毛沢東の秘書であり中央委員でもあった李鋭は、1978年鄧小平によって改革開放政策によって設けられた経済特区で、党員による不正蓄財や汚職が頻発したことにたいして次のようにいいました。

「現在の情勢について、社会主義をやっているのか、資本主義をやっているのか、憂慮している。経済分野の犯罪行為は、こんなに酷くなっている。この党は純粋さを失い、変質している。今やっているのは、マルクス主義でもなく、社会主義でもなくなった」(李鋭日記・1983年7月26日)

 それから40年後、習近平のいう「中国の特色ある社会主義」がしめす現実は中国型資本主義というべきものになっていることを私はこのドキュメントで改めて確認しました。

 習近平政権の「一帯一路」戦略はアジアー中東―アフリカーヨーロッパの140か国にヒト・カネ・モノを送りこむ巨大経済圏構想です。

① 番組はまずカンボジアにたいする中国の政治経済軍事上の進出の具体例を映しています。

 中国の投資は5年間で1兆円を超します。たとえば国立競技場は中国の支援で建設されたインフラのひとつです。総工費170億円、6万人を収容する国立競技場は中国の無償援助で建設されました。

 2021年9月中旬、カンボジアの首都プノンペンの空港周辺は道路や建物の洗浄作業が行われ、まもなく中国の特別機で王毅(おうき)外相が到着した。王毅外相は中国の援助で完成した、巨大施設の寄贈式に出席したのです。

カンボジアのワクチンは、ほとんどが中国製ですでに人口の8割が2度の接種を終え、東南アジアでは異例の摂取率だといいます。
 ワクチンを打った女性は「ワクチンが打ててうれしい。中国には感謝しかありません」という。

経済特区への中国の企業進出。沿岸部の都市シアヌークビルは、以前は寂れた漁村でしたが、この10年、中国による投資で大きな変貌を遂げました。新型コロナ以前は年間7%に上ったカンボジアの経済成長を牽引。2万7千人の雇用も生み出しました。ここではアメリカ向けのスーツやフローリング床材も生産されアメリカに輸出されています。
 いま中国企業は、アメリカに関税を引き上げられ、経済的な打撃を受けています。たとえば床材は中国から輸出するより、カンボジアから輸出したほうが、関税が25%低いのです。

つづく