[738]福島第一原発で増え続ける放射性汚泥

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 福島第一原発事故後、デブリとかスラリーという言葉が使われるようになりました。デブリとは溶け落ちた核燃料のこと、スラリーとは汚染水の処理で増え続ける放射性汚泥のことです。
 朝日新聞の記者が福島第一原発事故廃炉作業の現場に入りレポートしています。報告によれば廃炉作業は行き詰まっており先は見通せません。

スラリーの蓄積と放射線による容器の劣化

 スラリーは汚染水に含まれる放射性物質を薬剤で沈殿させる工程で発生します。泥状でストロンチウム濃度が1立方センチメートルあたり数千ベクレルの高線量のものもあるといいます。11月時点でスラリーの保管容器は3373基まで増えました。容器はスラリーから出る放射線で劣化し、東電は2025年7月以降に寿命を迎えるといっていますが、規制委員会はすでに31基が耐用年数を超え、さらに2年以内に51基が寿命を迎えるといいます。新しい容器に詰め替えるしかないのですが、東電が低線量のスラリーで詰め替えるテストをしたところ1ヶ月かかりました。このテスト用スラリーの1000倍の線量のストロンチウムを含むスラリーもあり非常に危険です。容器の蓋は遠隔で行わなければなりませんが、具体的な見通しがたっていません。
 しかも、詰め替えの過程で放射能をふくんだ埃もたち、空中に飛び散る恐れもあると規制委員会に指摘された東電は、周辺をビニールハウスで囲うことを検討中だといいます。
 スラリー容器は次々と寿命をむかえます。この間全国で原発再稼働を許可してきた原子力規制委員会ですら今年6月、東電に「詰め替えには時間がかかる。切迫性を共有してほしい」と迫ったそうです。
 私はそれを知りませんでした。
 危険なことはまだあります。
つづく