[744]「思いやり」から「強靭化」へ

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 呼び名の変更は大きな意味をもっています。
 日米軍事同盟を強化する予算が日米政府間で実質合意されました。2022年から5年間の在日米軍駐留費の日本側負担を年2110億円、5年で1兆円を超えます。質的にも変わります。政府はこれまで「思いやり予算」と呼んでいた在日米軍駐留経費の日本側負担を「同盟強靭化予算」と呼びかえます。
 今年までは在日米軍の設備維持や兵士の生活に関わる水光熱費などの費用負担を行ってきましたが、来年からは日米共同軍事訓練にかかる費用を負担するということです。具体的には共同作戦の訓練に使う資材調達にかかる費用を日本政府が負担することになります。「訓練資材調達費」という支出項目を新設し、5年で最大200億円を計上します。
 それで予算の名も「思いやり」から「同盟強靭化」に変えたのです。日本自衛隊が米軍の機能の一部を肩代わりすることになり、同盟関係は質的に転換します。

日米軍事同盟の実質的強化

 安倍内閣は2015年7月に集団的自衛権行使を容認し、憲法に違反しないという閣議決定を強行しました。労働組合市民団体、反対野党は闘いましたが敗北しました。この閣議決定を結節点として政府は「戦争法」関連諸法を制定し日本自衛隊の米軍との共同作戦は是とされてしまいました。
 台湾周辺の中国の軍事行動を日本政府が「重要影響事態」とする場合に米軍との共同作戦は可能となります。つまり日本自衛隊が参戦することになるのです。
 これまでは有事の際、考え方としてアメリカ軍が前線で戦闘を担い日本自衛隊が後方で支援するという形でしたが、それを崩し共同作戦を担うというように同盟関係を転換するということです。
 林芳正外相は記者会見で次のようにいいました。
在日米軍の駐留の支援にお重きを置いた経費負担だったが、自衛隊の即応性、米軍との相互運用性の向上を含めて日米同盟を一層強化する基盤となる」
 政府はすでに新たな日米軍事同盟を担う自前の軍事力をの強化にむかって歩を速めています。敵基地攻撃能力の保有などの安保戦略の策定をはじめ防衛大綱や中期防衛計画の策定に着手しました。総仕上げとして憲法改悪をもくろんでいます。
 反対運動を強化しなければなりません。
 戦争は準備過程を止めなければだめです、戦争になってからでは遅いのです。