[746]習近平思想研究センター

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 いま習近平指導部は中国の大学に習近平思想を研究するセンターを相次いで開設しています。北京大学は「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義研究院」のもとに、経済、法治、外交、生態文明の4つの研究センターを開設しました。
 2020年秋の党大会に向け学生、教員の思想教育を強化するのでしょう。しかし、哲学がない。4つの課題の内実は定かではありませんが、「中国の特色ある社会主義」の研究は本質論探求の匂いがしません。今の中国共産党にそんなことをいってもしかたないのですが、つい言いたくなります。こっそり勉強するしかないですね。
 2021年の共産党6中全会の「第三の歴史決議」では一帯一路構想にもとづいて改革開放を永続的に進めていくことが謳われました。そこでは中国の資本主義化がマルクス主義の中国化というように呼ばれています。
 しかし労働力が商品化された資本主義中国では労働者は労働力を商品として資本家に売らなければ生きられません。低賃金で非正規雇用が多く、いわゆるギガワーカーが2億人にのぼります。この現実はどう見ても「社会主義」社会とは言えません。
 中国の学生がマルクスのたとえば『共産党宣言』や『賃労働と資本』だけでも真面目に読めば、中国が社会主義だとは思わないでしょう。さらに『資本論』や『ゴータ綱領批判』を読んで、現代中国の分析に適用すれば習近平のいう「新時代の中国の特色のある社会主義」とは党官僚に統制された資本主義であることは容易にわかることでしょう。
 そして学生が中国社会を根底的に変革するという立場にたって学問すれば、彼らは大学のなかで成長し変革的実践に踏み出す可能性があるのです。
 習近平はそれを恐れ、大学教育の統制にのり出しているのです。習近平は2018年の1月に北京大の4つのセンターの上部組織として習近平思想研究院を設置し、10月には北京市のスパイ活動の取り締まりの責任者である邱水平を大学のトップに据えました。北京大は中国の学生運動の拠点として伝統があり、1919年の「五・四運動」に多数参加し、1989年の天安門事件を主導しました。
 邱水平はホームページで「第19期中央委員会第6回全体会議を受けて、習近平思想のさらなる学習を徹底する」と言いました。
 精華大学、復旦大学、南京大学、上海交通大学でも習近平思想を学ぶ研修施設やカリキュラムがつくられています。
 中国の学生たちの良心と理性と知性がふるいにかけられます。
若者よ!がんばれ✊‼️