[765]郵政職場、格差是正を理由に正社員の労働条件改悪を提案、闘いの渦中

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 有給休暇などをめぐって2020年10月の最高裁判決で「正社員と非正社員の待遇に不合理な格差がある」と認定された労働条件について、日本郵政グループが格差の「是正」提案を労働組合に提案しました。会社は格差をなくすためにと称して正社員の待遇を悪くして非正規社員の待遇をあげてはどうだといっています。
 
 労働組合が正社員の待遇引下げを撤回させる

 会社側が見直しを提案したのは、夏期・冬期の有給休暇、年始(1月2~3日)の祝日給、有給の病気休暇の3点です。夏冬の有休は現在、郵便業務につく正社員で夏と冬に3日ずつ、アソシエイト社員(期間雇用から無期雇用に切り替えられた社員)で1日ずつだが、期間雇用社員はゼロ。
 会社提案は、期間雇用社員に夏冬1日ずつ与える一方、正社員は2日ずつに減らす内容で、正社員にとっては不利益な変更になります。 また、年始の祝日給では正社員の割り増し分を廃止し、年始勤務手当を正社員・非正社員ともに増額するという提案です。案だと正社員は賃金が下がります。
 有給の病気休暇は新たにアソシエイト社員にも15日与えるが、正社員も含めて31日以上の療養が必要な病気に限るという内容です。
 朝日新聞によればこの提案に対し、グループ内の労組、日本郵政グループ労働組合JP労組、約24万人)は議論を始めています。年始の祝日給については、会社側が正社員の待遇を維持するよう提案を修正し、JP労組は受け入れを決めました。
 また、郵政産業労働者ユニオンのホームページは、非正社員の年始の祝日給について、組合の闘いによって会社側が正社員と同等の割り増しを認めたと報じています。一方、夏冬の有休や病気休暇については結論が出ていません。
 最高裁判決を受けた会社の提案は労組をバカにしたような提案でした。そのうちの一つに正社員の休暇を減らす内容が含まれており、郵政グループの組合がこの提案のうち一つを団体交渉で撤回させました。組合員は頑張り当面の勝利をかち取りました。
 日本労働運動は総体として労使協調路線に転換してひさしく、労働者の権利を剥奪したり、弱くする攻撃を団体交渉やストライキ闘争など組合の団結力で阻止することができなくなりました。労使協議会で経営側に押しきられてしまうことが多くなりました。JP労組は住居手当に関しては一般職に支給していた住居手当の廃止提案を2018年に受け入れてしまっています。会社の「もぐら叩き」のような提案を唯々諾々として認めているのです。組合幹部が「労使運命共同体イデオロギーにからめとられ会社のために協力することが労働者の利益になると信じ第二総務部的な機能を果たすことすらあります。
 解雇、雇い止め、労働条件改悪にたいして裁判に頼るほかなくなっているのが日本の労働組合運動の現状だといわざるをえないのです。
 しかし裁判の勝敗は重要です。郵政労働者は2020年10月の最高裁契約社員の待遇格差は不合理であるという判決をかち取りました。この結果を逆手に取った当局の正社員の待遇改悪提案を交渉で撤回させたのは画期的です。
 組合員ひとりひとりの利益を守るために職場討議を積み重ねてたたかう意思をつくっていくことが勝利の基礎なのです。
ガンバロー‼️
 

資料:2020年10月18日の当ブログ[216]最高裁判決、非正規労働者への待遇格差「不合理ではない」⁉️を参照してください。
以下一部を抜粋します。
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日本郵便訴訟、契約社員の待遇格差不合理――10月15日最高裁判決

 最高裁は、扶養手当、夏休み冬休み・病気休、年末年始勤務手当、年始祝日手当など正社員と契約社員との格差は「不合理」という判断を示しました。
 郵政非正規労働者の闘い(郵便産業労働者ユニオン)は当面の勝利をかちとりました。この判決は労働組合の闘いを通じていかされるならば、約19万人の郵政非正規労働者と全国の2000万人の非正規労働者の労働条件改善に大きな影響を与えるものとなります。わたしたちの職場でも郵政ユニオンの闘いと連帯して非正規労働者の待遇改善を実現していきましょう。 

労働組合の闘いにかかっている

 賃金抑制の対象を契約社員から正社員にかえることを労働組合が認めてしまってはダメです。労働組合はほんとうに格差是正を実現するために非正規社員と正社員の垣根をこえた労働条件改善闘争をやるべきなのです。
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      以上、たたかう労働組合員より