[784]中国農民工の賃金未払い

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 中国は春節を迎え、今年も農民工と呼ばれる約3億人の農村からの出稼ぎ労働者にたいする賃金未払いが起きそうです。毎年、特に年末にかけて、製造業や建設業、飲食業、介護などの労働集約型業界で問題が常態化しています。 農民工は、3割が製造業、2割が建設業、その他5割が様々なサービス産業で就労しています。
 特に、就業者の8割が農民工という建設業の賃金不払いが深刻で、建設業ゆえの構造的問題をはらんでいます。 建設工事は、何層にも下請けが重なり、工事費用は下請け施工者が立て替えなければなりません。農民工が建設会社や施工会社に直接雇われることは稀で、通常、農民工は建設会社や施工会社と契約を締結した労務下請け会社や「包工頭」(いわゆる親方)に雇われ、建設現場の仕事に従事します。建設会社や施工会社と労務下請け会社や「包工頭」との間は、施工後に工事代金を決済します。(独立行政法人 労働政策研究・研修機構の資料による)
 問題は、農民工賃金の特殊な支払い形式にあります。労務下請け企業や「包工頭」は、「農民工」に対して一般に宿舎と食事を与えますが、旧正月の前に1年分の賃金を一括して支払うのが慣行とされています。もしも工事代金が未納となれば、雇用主が農民工たちに賃金を支給しない確率は極めて高いのです。
 2019年前半、中国各地の労働人事争議調停仲裁機構が処理した労働争議案件総数は99.1万件で、前年同期比19.2%の上昇、最高記録を更新しました。賃金未払いに関していうと2019年には全国で82万人の労働者の賃金79億5000万元(約1429億円)が未払いになり、農民工が1344件のストライキ(中国労工通信)に立ち上がっています。新型コロナ危機のなかでさらに賃金不払いとそれにたいする闘いが広がっていることは明らかでしょう。
 今年は賃金を払わなかった企業はブラック企業としてリストアップされ政府調達や融資を制限することになったようです。中国企業はそこまでしなければならないほど逼迫しているのです。とくに政府は北京五輪を前にして問題が表面化することを避けたいのでしょう。
 さらに今年は出稼ぎ労働者だけではなく恒大集団の危機によって不動産業は経営危機におちいっています。また学習塾への規制によって多くの講師や職員が失業していますが、経営者は賃金を払わない可能性があります。
 日本は2022年の春闘の最中です。賃金不払いに抗議したちあがる中国の労働者と連帯してたたかいましょう。

ーー連合内でたたかう労働者より