[786](投稿)岸田首相も菅と同じ

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読者より
 新型コロナの感染が広がっています。
 ダイヤモンドオンラインの2月1日配信記事を送ります。
 小生も菅の時と同じ世の中になったと思っていました。効果的な手はなく、「社会を回す」という「社会を殺す」手しか見えません。自宅待機は危険がいっぱいです。感染対策を手探りしているうちにオミクロンの蔓延が起こっています。

以下ダイヤモンド・オンラインより

岸田内閣の支持率低下、菅政権へのコロナ対応「痛烈批判」が大ブーメラン
小倉健一
2022/02/01 06:00

 高い支持率を維持してきた岸田文雄政権だが、世論調査内閣支持率に陰りが見え始めている。新型コロナウイルス感染拡大「第6波」が猛威を振るう中、岸田政権と専門家との間に吹くすきま風も目立ってきた。菅義偉前首相の情報発信力と説明力のなさを痛烈に批判して宰相の座に上り詰めた岸田首相。しかしその時の言葉は今、自らに対する「大ブーメラン」となってしまっている。(イトモス研究所所長 小倉健一)

 「政治判断重視」の岸田政権と 専門家の間にすきま風  

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が爆発的な拡大を見せる中、岸田文雄首相とコロナ対策を助言する政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長との間にすきま風が吹いている。  
 これまでの政権は尾身氏ら専門家と十分に意思疎通を図りながら対策を発信してきた。一方、社会経済活動との両立を目指す岸田政権は「政治判断」に重心を置く方針に転換したからだ。 両者間の乏しいコミュニケーション故に、政府の「公式見解」と尾身氏らの提言が異なる事態も生じ、現場の混乱に拍車をかけている。    
 年始から猛威を振るうオミクロン株の感染急拡大で、1月27日には北海道や大阪府、福岡県など18道府県に新たに「まん延防止等重点措置(まん防)」が適用され、同措置の対象地域は計34都道府県となった。全国で1日の感染者は8万人を超え、これまでに国内で新型コロナの感染が確認された人は250万人超、死者は2万人近くに上る。  
 感染者の急増とそれに伴う濃厚接触者の爆発的増加によって企業は人手不足の危機に陥り、臨時休校や学級閉鎖などの措置に踏み切る学校も後を絶たない。しかし、国から発信されるのは「基本的対処方針」という対策の中身のみで、国民に今後の見通しと安心感を与えるようなメッセージは見られない。その理由について厚生労働省を取材する全国紙記者が語る。
 「昨年秋の経済対策で社会経済活動との両立を打ち出した岸田政権と、尾身氏ら専門家とのコミュニケーションがうまくいっていないからですよ。専門家もやりづらいとボヤいています。岸田首相のコロナ対策は『自治体の判断に任せる』が多く、国民とのコミュニケーションもすっかり減りました。これでは司令塔機能を果たせていないと言っても過言ではないでしょう」

 菅前首相の発信力と説明力を批判した 岸田首相に大ブーメラン

 岸田首相は昨年9月の自民党総裁選への出馬に際し、新型コロナの感染拡大などで内閣支持率が急落した当時の菅義偉政権について痛烈に批判。「政権全体としてしっかりとした発信が大事だった」「コロナ対策は国民の協力なくして結果を出せない。協力いただくならば納得感のある説明が必要だ」などと語り、菅前首相の発信力と説明力をやり玉に挙げた。  
 だが、宰相の座に就いた岸田氏は1月9日に沖縄、広島、山口の3県に「まん防」が適用された際も、13都県や18道府県への適用を決めた日も記者会見を行うことはなかった。首相官邸で記者を前に対策を説明する「ぶら下がり」取材に応じたことで十分と考えたようだ。「会見とぶら下がりはどちらも国民にしっかり説明しようという意味では同じ目的」(磯崎仁彦官房副長官)なのだという。 だが、十分に質疑応答などの取材に応じることなく、国民から納得感を得ようとする姿勢には疑問が残る。  
 さらに、内閣支持率の低下も見え始めた。 共同通信社が1月22、23日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は55.9%。21年12月の前回調査から4.1ポイント下落した。  
 また、日本経済新聞社テレビ東京が1月28〜30日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は59%という結果が出た。21年12月の前回調査から6ポイント低下し、政権発足から初めて下がった。一方、「支持しない」と答えた割合は40%で、4ポイント上昇している。

 安倍元首相、菅前首相と違って 尾身会長と共に情報発信しない岸田首相  

 前述の岸田首相と新型コロナ対策分科会との距離の遠さは、会見対応でも明らかだ。 安倍晋三元首相や菅前首相は在任時、記者会見でコロナ対策を発表する際、尾身氏を同席させてきた。緊急事態宣言などの決定理由をトップリーダーが説明し、国民に協力を要請。感染拡大の分析や今後の見通しなどは尾身氏が専門的見地から質疑応答に応じた。 しかし、岸田首相は記者会見を開かないばかりか、尾身氏と共に発信する場を設けていない。その結果、尾身氏が専門家による分科会の後に取材に応じ、その「見解」を独自に記者団へ披露しているのである。
 1月19日には「オミクロン株の特徴に合ったメリハリのついた効果的な対策が重要だ」と言及。その上で、これまで人流抑制を呼びかけてきた方針から転換し、「ステイホームなんて必要ない」と言い切った。  
 だが、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部がこの日決定した基本的対処方針は「不要不急の都道府県間の移動」「混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出・移動」を極力控えるよう都道府県が促すと明記していた。政府の「公式見解」とは食い違う事態を招いた。

 岸田政権と専門家の距離感を危惧する 関係者が吐露した言葉とは

 尾身氏の発言は「国と専門家で整合性をとってもらいたい」などと自治体の混乱を招き、尾身氏ら専門家有志が公表した提言では「知事の判断により、“人流抑制”を加味することもあり得る」と軌道修正を余儀なくされた。提言に名を連ねたメンバーの一人は岸田政権と専門家の距離感をこう危惧する。 「感染対策としては、人流抑制をやった方が良いに決まっています。ただ、岸田政権は『菅政権の轍を踏まない』と専門家を遠ざけて首相官邸とのパイプが詰まっているため、事前にすり合わせができなかった。政府の分科会もろくに開かせてもらえず、仕方なく厚労省のアドバイザリーボードで『有志』として提言しましたが、本当にこうした距離のままで良いのでしょうか…」  
 これまでの政権はコロナ対策を担う西村康稔前経済再生相と尾身氏らが連日のように現状分析と効果的な対策を議論し、積極的な発信に努めてきた。ところが、それが岸田政権で失われたと専門家は口をそろえる。  
 現在の山際大志郎経済再生相は「岸田首相が唱える『新しい資本主義』の具体化で忙殺されている」(全国紙記者)といわれ、堀内詔子ワクチン担当相は自民党内からも国会答弁や情報発信力で不安視されている。毎日会見している松野博一官房長官も「官僚が作成した想定問答を読み上げているだけ」(同)で、その役割は期待できない状態だという。  
 岸田首相は「オミクロン株」対策の鍵を握るワクチンの3回目接種を前倒しする考えを表明した。しかし、1月末の接種目標である1470万人に対して1月27日時点の接種完了者は約342万人と、2割強にしか届かない。国民全体の接種率はわずか2.7%にとどまる。 自治体の接種体制が整っていないことを遅れの原因にしているが、どうやら後手に回る岸田政権のコロナ対応の理由は別にありそうだ。