[824](寄稿)コロナ情報

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ペンギンドクターより
その1

皆様
 このところ、すっかり春めいてきました。いかがお暮しでしょうか。
 ロシア軍のウクライナ侵攻で、新型コロナ感染症(COVID‐19)もどこかへ吹っ飛んだ感があります。マスコミは連日プーチンに対する憶測で持ちきりです。しかし、マスコミの扱いのパターンとしてはどこかコロナと似ています。つまり、俄か専門家が突如登場して連日テレビや雑誌・新聞、さらにネット上でどこまで信じていいのかわからない情勢分析が乱れ飛んでいます。便乗した政治家の「核共有」議論などの際どい話まで出てきて、私の憂鬱は深まるばかりです。
 人類の滅亡が早まったなと思います。しかし、この話は後回しにしてまずはコロナ情報です。

 ちょっと古いのですが、2022年3月6日発表の直近一週間の都道府県別の10万人当たり感染者数です。全国平均は349.7人です。数字は100の位が5,4,3,2,1と変化する都道府県を数字を記載しました。多い順番です。
 大阪府(563.79)・東京都・奈良県・神奈川県(475.95)・兵庫県・埼玉県・滋賀県(398.70)・千葉県・愛知県・沖縄県・福岡県・京都府茨城県(350.19)、ここまでが全国平均を超えています。富山県(308.85)・福井県佐賀県(289.85)・香川県・石川県・青森県徳島県・北海道・静岡県熊本県群馬県三重県・栃木県・岡山県岐阜県大分県宮城県(195.70)・高知県和歌山県山梨県長崎県・鹿児島県・岩手県広島県秋田県愛媛県山口県・宮崎県・鳥取県山形県福島県・長野県・新潟県島根県(108.18)
 印象としては、突出していた大阪などがやや減少したものの、全国に満遍なく広がったといえるでしょう。

 私が検診の仕事をしている病院でも受診者にコロナ陽性で自宅待機したという人が結構いるようになりました。市では連日100人前後の陽性者がいるので当然でしょう。
 一昨日は、在宅医療中心のクリニックで54歳の女性の美容師さんが陽性でした主訴は発熱と風邪症状です。本人は予測していたらしく、「報告書を保健所に送るから連絡を待つように・・・・・。こちらからもチェックの連絡を入れる」と伝えました。冷静に受け止めていました。
 別のケースです。いつも私が往診していた85歳の男性が腰痛で1月半ばに入院していました。2月半ばに退院の予定でしたが、クラスターが発生してPCR検査をしたら、陽性で10日間余り退院が遅れました。でも高齢にもかかわらず、奇跡的に無事退院して一昨日往診しました。何とか杖をついて自宅のトイレに行っています。認知症がないのが幸いでした。

 日経メディカルの連載をしている大阪梅田駅前開業(太融寺町谷口医院)の谷口恭医師はユニークな経歴をもち、いつも私は興味深く連載を読んでいます。彼が以下のようなことを述べていました。
 オミクロン株は若い人にとっては「ただの風邪」、高齢者にとっては「死に至る病」である。若い患者さんは、コロナ感染らしいが、検査しないという人がいる。旦那はコロナ感染、しかし自分は子供を保育園に送らないかんし、パートの仕事いかないかんし、検査はしないという人もいたと。
 「正直者は馬鹿を見る」というコメントで次の報告がありました。クリニックに通院している10人の医療関係の試験受診者にアンケートすなわち、国家試験の日に発熱したらどうするかと聞くと「ロキソニンなど解熱剤を先に飲んで試験はそのまま受ける」とのことでした。代替試験があるわけではなく、受験を逃したら、一年棒に振るしかないので、仕方ないかもと思うが、医療従事者の試験でこういう結果だから、許されないことかも・・・・・とのコメントでした。
 彼の意見としては、オミクロン株については、感染者や濃厚接触者を隔離するよりも、感染の有無を問わず「高齢者を隔離すなわち公共交通機関も高齢者専用車両を作る」「人が集まる場所も高齢者と若者を分ける」「若者の受験については試験官なども若者に頼んで監督してもらう」などの方策がいいのではないかとのことでした。

 つづく