[832]賃上げ闘争

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 ウクライナ戦争が続き多くの労働者とその家族、兵士が犠牲にされています。一刻も早く戦争を止めなければなりません。連合は事務局長談話と連合会長声明を出しましたが、プーチンウクライナ侵攻は国際法に反するものであり国際社会に平和を求めるというものでした。しかし日本政府をはじめ国際社会はアメリカによる反ロシアの戦時プロパガンダに唱和し、ロシア•ウクライナの戦争に油を注いでいます。
 連合は傘下組合にロシア・ウクライナの戦争に反対する反戦平和運動に立ち上がることを是非とも訴えるべきだと思います。
 ゼレンスキー政権の18歳から60歳までの戦争動員令でウクライナの労働者は強制的に戦争に動員され、戦争を忌避する労働者が逮捕され始めています。
 日本の労働者は賃上げ闘争の中で、プーチンウクライナ侵略とNATOにバックアップされたゼレンスキー政権の戦争政策に反対しましょう。
 
2022春闘

 2022春闘は大手企業が昨年を上回る回答を出しました。自動車、鉄鋼などの労働組合は満額回答で妥結し、中小の組合でつくるJAMも昨年を上回るベア回答を受け妥結しました。
 物価上昇に加え、ロシア制裁の影響でさらに物価が上がることが予想されます。今年こそ大幅賃上げを実現すべく頑張らなければなりません。
 17日の日経新聞によれば、日本の労働者の賃金は2020年までの20年で0·4%しか増えていません。同紙は、米国は25%、ドイツは18%上昇した、とした上でその背景には生産性の低迷があると述べています。労働生産性は付加価値を総労働時間で割って求めるとされ、賃上げには付加価値の増大が不可欠だといいます。賃上げの原資となる付加価値を増大させないと賃金は上がらないという理屈です。
 労働生産性を上げるためには労働者の意欲と能力を高めなければだめだといいます。この主張は賃金が上がらないから労働者は労働意欲を高められないという論理です。この説は政府、経団連の意見を代弁しています。また、連合の賃上げ闘争方針でも同趣旨のことが言われています。
 
「人への投資」というけれど

 日本企業は人件費削減を続けて来ました。
 日経新聞によれば、1990年代以降、民間の「人材投資」のGDP比は2008年〜18年の平均で0·26%で日本のその前の10年平均より20%低下しました。米国の半分、ドイツの3分の1です。日経新聞は「細る人材投資」が生産性を低迷させているから「人への投資」を増やすべきだと言うのです。
 賃金を上げてやる気を出させ、生産性を向上し付加価値を増やせば労働者に分け前をこれまでより多く配れるということなのですが、これは賃金(賃上げ)は付加価値の分け前だという意見です。

毎年のようにいわれるパイの分け前論

 このブログで書いたことがありますが、賃金は資本家が商品を売った儲けの分け前をもらっているわけではありません。商品=労働市場で労働力と生産諸手段を買った資本家が生産過程でそれらの使用価値を消費してつくった生産物は資本家のものです。いわれている付加価値とは生産過程で労働が生みだす剰余価値を意味します。剰余価値は資本家が搾取します。
 本質論的にいうと賃金はその時代の平均的な労働力の再生産費および生産費によって決められ、商品=労働市場で労働力は資本家に買い上げられます。賃金はあと払いされるため、賃金は労働の対価という仮象をとります。私たちはこの仮象に惑わされ、賃金を剰余価値をふくむ商品を資本家が売ってふところに入れる儲けの分け前であるかのように感じるのです。
 賃金闘争は労働力商品をより高く売るための労働者階級の資本家階級にたいする経済闘争です。この闘いは本質的には賃金をできる限り低く抑えようとする資本家階級と生活を維持するために大幅賃上げを要求する労働者階級の間の階級闘争です。

経済規模の維持•拡大のために賃上げをという主張が資本家の本音

 「個々の働き手の生産性の改善がなければ経済規模の維持もおぼつかない」と日経新聞はまとめています。これが資本家、経営者の考えです。しかしわれわれ労働者は生産性を向上し経営者の経営を改善するために賃上げを要求するのではなくありません。今春は特にガソリンをはじめとして物価が上昇し生活が苦しいから賃上げ闘争に取り組みます。
 賃金=パイの分け前論に惑わされることなく、一律大幅賃上げをかちとるために団結して闘いましょう。
労働組合員より