[848]「核のごみ」で揺れた 高知・東洋町は今

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 4月3日の朝日新聞が「フォーラム」面で「本土から遠い沖縄」を特集しています。
 そのなかで「国レベルの問題 引き受ける難しさ」というテーマで、15年前に核のごみ問題で揺れた、高知県東洋町について前田健汰さんがレポートしています。前田さんは「核のごみと基地の問題は同一視できないことは分かっているが、国全体の問題を一地域が担おうとする時のリアルを東洋町に見た。」と言います。
 15年前に核のごみ最終処分場問題で東洋町は町を二分する争いに揺れました。東洋町は処分場として適しているかどうか国が審査する「文献調査」を一旦はうけいれました。全国ではじめてのことでした。けれども多くの町民の反対の闘いによって町長は辞職し、出直し町長選で反対派が勝利して応募は撤回されました。
 当時、町の税務課長だった松延現町長は「町民の心に残した傷は今も消えない」と話しています。冷静な話し合いは遠のき、「どんどん知らない町になっていった。ここまで町民の生活を変えるなんて想定外だった」「どこに火種がくすぶっているかわからない状況は今もつづいている」と言います。
 松延町長は沖縄の基地問題にもふれ「過度な基地負担を背負っている現状は良くないが」、「小さな町が国レベルの社会問題を引き受ければ町のその後は変わってしまう。極端にいえば、国に町を売ることになってしまう」と言います。
 
寿都町神恵内村は東洋町の声に耳を傾けてほしい

 2022年現在、寿都町神恵内村が核のごみ処分場に応募し、文献調査が始まっています。苦い経験をした東洋町の方々の話を良く聞いてほしいものです。
 前田さんのレポートによれば、東洋町で農業を営む男性は「財産は自然だと気づいた。引き受けていたら今の暮らしはない」と話したそうです。