[863](寄稿)本当の専門家は今の段階で「沈黙」しているのではないか

ペンギンドクターより
その1

皆様
 以前の私は大体月に一回か二回「医療情報」を送信していましたが、新型コロナ以来、何やかやと新しい情報が多く、ふり返ってみますと週に一度の高頻度となっています。もちろん私は専門家ではありません。しかし、医療や医療行政の実態を経験してきた者として、乱れ飛ぶ情報の真偽を疑う感覚だけは、一般人の方より優れているだろうと自負しています。
 数か月前になるでしょうか、NHKBSの「ヒューマニエンス」で人類とパンデミックの問題を取り上げて、キャスターの織田裕二が言った言葉が印象に残っています。彼は、「今回の新型コロナについては、誰も専門家はいなかった。感染症の専門家も新型コロナについては何もわからなかった」という意味の発言をしたのです。いいことを言うと思いました。図星です。
 そしてロシアのウクライナ侵攻です。こちらは、コロナよりはまだ「専門家」と言える人がいるかもしれません。しかし、本当の専門家は今の段階で「沈黙」しているのではないかと想像しています。つまり軽率なことは言えない、きわめて憂うべき状況だと認識しているが故の沈黙です。ですから、今マスコミやネット上で語っている人々、一般の人びとおよび自称専門家の人々の発言は、信頼できるか否かという以前の、状況が変われば、すぐに自分の以前の発言などなかったかのように豹変する人々のそれだと思います。そう考えながら、それを無視するわけにもいかず、毎日情報を収集している私です。今のウクライナおよびロシアの情報で信頼できるのは、アメリカからの情報すなわち米軍によるロシア軍の今後の動きに関する情報ぐらいだと思います。すなわち、軍事衛星によれば、ロシア軍の動きは詳細にわかるだろうと思うからです。
 プーチンの性格や考え方、クーデターの可能性などは全く当てにならない。以前にも言いましたが、プーチンはロシアの一般国民からは評価されているはずです。特に1992年のソ連崩壊のトラウマを経験した人々にとっては、欧米のいう民主主義より、食うこと、そしてロシア国家の威信のほうが重要だと考える人は多いのではないかと想像します。それはそれとして、佐藤優が言っていましたが、ゴルバチョフの失脚の原因は、ウオッカを禁止したことだとのこと、ロシア国民のウオッカに対する情熱すなわち愛着は、他国民の想像を超えていると。中村悦郎教授もそんなことを言っていました・・・・・・。
つづく